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コンクリート・ユートピア

2024年01月05日 18時52分57秒 | 映画 か行
満足度★★★★【4.0点】



予想以上の出来に他国でリメイクされたら嬉しい。



突然の大災害で一瞬にして壊滅したソウル。
その中にあって“ファングンアパート”だけは奇跡的に倒壊を免れ、
生存者たちが周辺から押し寄せていた。
都市機能はマヒし、救助隊の到着も期待できぬ中、治安が急速に悪化していく。
危機感を抱いたマンションの住人たちは自衛の必要に迫られ、
団結して対応していくことを決め、臨時代表に902号室のヨンタクを選出する。
そして住人以外をマンション内から排除すると
新たなルールを作り、安全な居住環境を取り戻していく。
そんな中、誠実な公務員のミンソンは、
ヨンタクから防衛隊長に指名され意気込む一方、
妻のミョンファはヨンタク心酔していく夫に不安を覚え始めるのだったが…。
<allcinema>



冒頭、
1970年代のニュースで韓国ソウルで高層アパートの建設ラッシュがあり
便利で優雅な生活を夢見る人々が抽選会でごった返す映像が紹介される。

そこから時が経ち、分譲と賃貸との格差社会がこの一帯で出来上がってしまう。

そんなある日、
地下プレートの歪によって地盤が突き出るくらいの大地震が発生する。
この未曽有の大災害により、ソウル中心部の高層ビルは軒並み崩壊していくが
ファングンアパートの一棟だけは凛としてそびえ立っていた。
(イメージ的にはWBCメキシコ代表のアロザレーナみたいだ)

この状況から周辺で生き残った人々が助けを求め押し寄せてくる。
だが、ファングンアパートの住民らは自分たちの限られた物資を確保するため
押し問答となり力ずくで追い返そうとする。
これってもうウォーキング・デッドの世界観が一瞬で構築された感じだ。

そして、アパートの住民らは治安の悪化に伴い生活の安定を図るべく
臨時選挙を開き責任者を立てることにする。
そこで任命されたのがヨンタクという冴えない男というのがミソとなる。

この映画は、冴えない男が権力を握ったことで起こる異様な事案や
徐々に独裁的な行動に変貌していく様はとても怖い。
デザスター映画なんだけども中身は人間の本質という部分に切り込んでおり
リーダーとしての資質や格差社会の逆転現象など盛り込みつつ
902号室のヨンタクの本当の姿が暴かれていく件は注目したいところだ。


ちなみに、石川県能登地方の地震でまだまだ行方不明者がいるなか
よくこの映画が日本で公開されたな~というのが率直な感想ですけどね。



【今週のひと言】

・イ・ビョンホンが段々と遠藤憲一に見えていってしまう(笑)

・冴えない男ヨンタクは騙されやすくて実は。。。

・ハリウッド大作映画並みのVFXでした。

・序盤から地鳴りのような重低音でいきなりの状況に持っていく。
 前半の構成が目新しくなかなかスタイリッシュ。

・巨大地震の揺れや音も気づかずいつもと変わらない朝を迎える若夫婦。
 彼らの高層アパートは特別仕様??ココ本当にそう思ってた。

・韓国ならではの徴兵制度が作品に関連付けられており
 臨時選挙では除隊から間もない若者が物資調達隊長に。
 
・梨泰院クラスのお兄さんがヨンタクに心酔いしていくプロセス怖い。

・臨時選挙の議長は婦人部長さん。いいキャラしてます。

・902号室の隣人であるキュートなオネーさんがキーマンとなる。
 生きてたのね。で、今度は生きてるの?

・電気と水に加え通信手段もなく、上空に災害ヘリも飛んでないことで
 国家、もしくは世界規模の崩壊を予想させますね。

・この映画は災害時のマニュアルとして参考になりそう(←ホントか)
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監督:オム・テファ
脚本:オム・テファ、イ・シンジ
音楽:キム・ヘウォン
出演:イ・ビョンホン、パク・ソジュン、パク・ボヨン

『コンクリート・ユートピア』






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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは (ここなつ)
2024-01-17 15:39:13
こんにちは。

まあ、この時期日本での公開は、予想していなかったとはいえ多少不謹慎な感じがなきにしもあらず、ですよねぇ。

私もイ・ビョンホンが遠藤憲一に見えて仕方なかったですよ。イ・ビョンホンも中年のおっさん(しかも最初は地味)の役が似合うようになったんだなぁ、と少し感慨深いです。
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ここなつさんへ (ituka)
2024-01-17 18:57:39
公開中止するまでの期間がなかったというのもありますしね。
どこの支配人も躊躇ったと思います。

>私もイ・ビョンホンが遠藤憲一に
ですよね!(笑)
ワタシなんか予告編から遠藤憲一に見えてましたから、劇中では常にそれがノイズとなってました。いい意味で(←どこが)
にしても、韓国の格差思考はいつまでたっても変わらないですね。
返信する

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