映画1ヵ月フリーパスポートもらうぞ~

映画でシミュレーションしておけば何処かで役立つはず

レオニー

2010年11月21日 01時29分16秒 | 映画 ら行
評価:★★★★☆【4,5点】



鑑賞前の個人的不安要素は、鑑賞後にはすべて消えていた。

何が不安って、まずレオニーを演じる女優さんの容姿が
あまりに地味っぽくて、どこにもミューズな雰囲気がないこと。

夫となる米次郎を中村獅童という明治の時代がとても似合う俳優を
キャスティングしたこと。
これはワタシ的に明治の日本に魅力を感じないことへの
反発精神とでもいいますか、言い方は変ですけど
なにかトラウマ的な拒絶感があるんですね^^;

ということで主演の夫と妻の両方に作品キャストととしての
魅力がないことで、鑑賞はスルーしようかとも思ってたのですが
巷の評価があまりにも高かったことから地雷を踏む覚悟で
鑑賞に臨んだという次第です。
また、他の作品『リトル・ランボーズ』『100歳の少年~』に
イマイチ鑑賞意欲が出なかったことも本作を選んだ理由ですね。



1901年。
フィラデルフィアにある名門女子大学を卒業したレオニー・ギルモアは、
ある日ニューヨークで、日本から来た詩人ヨネ・ノグチと出会う。
編集者として彼の英詩を手伝うようになり、やがて2人は恋に落ちる。
しかし、レオニーの妊娠を知らされたヨネは、
突然ひとりで日本に帰国してしまうのだった。

悲嘆に暮れながらも出産することを決意し、無事元気な男の子を産んだレオニー。
次第に日本人への風当たりが強くなる中、手紙でヨネからの
熱心な誘いを受けたレオニーは、息子と共に日本へと向かうのだったが…。
<allcinema>



これって、日米合作映画?純粋な日本映画ではないんですね。
それにしても、序盤の映像は舞台がアメリカということもありますが
完全なるハリウッド映画という感じ。
これは多分に白人のルックスはもちろん、映し出す映像の色温度を下げ
セピア色に振っていたことがそう思わせたのかもしれない。

ただ、かの米次郎と貧困地域で出会う辺りから徐々にテンポが悪くなり
っていうか、その出会いも偶然とは言え、かなり大味な展開な気がした。
それ故に、ここからはウトウトし始め、かなり気を引き締めないと
普通に記憶が無くなってしまう所だった^^;

ところが物語はレオニーが子を連れ日本に着いたところから
まさにレオニー神話がここから作りだされたと言ってもいいくらいの
周りの日本人を翻弄し始める。
彼女自身、さすらい人と公言するくらい自分に正直に生きようとする。
う~ん、これはなかなか真似できないですね。

夫である米次郎の援助もあり順風満帆な生活がスタートしたかに見えたが
実は米次郎はすでに別の女生と結婚していたことを知る。
ここからですよ。彼女の底知れぬ強さを感じていくのは。
そう、彼女は与えられた環境から躊躇なく脱却し母子ふたりで
生きていくことを決意する。

幼少期、少年時代のイサムがこの映画をより感動的にしていた。
また、後に生まれる妹も映画の中で母レオニーに対する世間体を
幼いながらも感じとっていたシーンを演出した監督がスゴイ。

本作は、レオニー目線で描かれているので、後に有名になる
イサム・ノグチのサクセス・ストーリーにはほとんど触れてません。
母ひとりで育て上げ、時に医師を目指そうとする子に向かって
「あなたは芸術の道を進みなさい」と言い切る信念に驚愕するばかり。

こういう決断力のある親のもとで育った子は大物になるのでしょうか。
とにかく、なにごとにも即決する、ある意味、自己中ともとれる彼女の
その奥底に秘めた壮大な意思があったが故、作品にもなり
多くのひとから共感を呼ぶのでしょうか。


波乱に満ちた人生であったが、そこには満足げに空を見上げるレオニーがいた。


追記)
・日本の名脇役ここに見参!少年のイサムに父親のように厳しくもやさしく
 接した大工の棟梁を演じた大地康雄氏に思わずウルウル。
 レオニーの第二子となる日本での出産シーンで、苦しむレオニーと
 お産婆との鬼気迫る演技合戦に鳥肌が立った!
 またそのときに飛び交う罵声の嵐に劇場は笑いと涙で盛り上がっていた。

・戦争による影響は異国の地にいるものにとって致命傷にもなる。
 14歳のイサムが単身アメリカへ渡り、その時の学校が閉鎖され
 日本に居る母との唯一の連絡手段の手紙が局によって途切れたこと。
 以降、ホームレスになったイサムが野良犬と居たところへ
 ある男が手を差し伸べる。そこには音信不通の母からの伝達があり
 ここでまたウルウル。

・立派に成長したふたりの子がとてもいい!長男は芸術家として
 個展を開くまでに、長女はダンサーとして、自分を表現する芸術の世界に
 レオニーが望んだ通りに立派になっていったことで親として
 こんなに満足できるものはないでしょう^^;

・失恋した長女のエピソードをワンシーンだが、入れるとは恐れ入った。
 そのときにレオニーが問い詰められ、答えを言わなかった理由は?

・子は数年で日本語がペラペラになったのに、レオニーは生涯
 日本語が話せなかった。覚える気もなかったのでしょうね。
 それにより嫌な言葉も判らないからいいんだとか。
 なので米次郎の斡旋した家から出るとき泣いていた女中に向かって
 「ありがとうがざいました」ってなっちゃうんでしょうね^^;

・レオニーとココ・シャネルには通じるものがあるような気がしてならない。

・レオニー役のエミリー・モーティマーの地味目なルックスが真価を発揮。
 後半の50代以降の老け役に大袈裟なメイクもなしで自然と馴染んでいたこと。
 これは良い意味であり、純粋にストーリーに没頭できたことが大きい。

・ただひとつ本作で気に入らなかったのは、場を盛り上げる効果音として
 音楽が挿入されていたんですが、その音量が少々耳触りな感じも^^;
 ハッキリ言って、ここぞ!というところだけに絞った方が効果があるけど
 その辺りは女性名監督の弱点だったりして(←何をえらそうに)
------------------------------------------------------------
監督:松井久子
脚本:松井久子
撮影:永田鉄男
音楽:ヤン・A・P・カチュマレク


出演:エミリー・モーティマー/中村獅童/原田美枝子/竹下景子/大地康雄/
    勅使河原三郎/中村雅俊/


『レオニー』

コメント (16)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« [リミット] | トップ | デイブレイカー »
最新の画像もっと見る

16 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
テレビで (笛吹働爺)
2010-11-21 02:54:13
イサム・ノグチの伝記のような番組は見たことがあるので、本作も近々見たいです。
さて、昨日は「ハリー・ポッターと死の秘宝Part1」吹き替え版を見ました。3作目以降見て無かったのですが最後の映画くらいは見ておこうと思ったので。
これは原作本も読んでなくストーリーの予測がつかないため多少ドキドキしたが、テンポ感はなく静かなシーンが多い。ますます暗くなる内容だが、仕方のないことでしょう。Part1という性格上スッキリしない最後、というより”To be continue"そのもの。
それでも2時間半は長く感じなかった。
返信する
これは普通にお薦めです (ituka)
2010-11-21 17:34:20
笛吹働爺さん こんばんは。

なんの派手さもありませんが、心に響く良作だったと思います。
お~!『ハリー・ポッター』ですか~
そうですね。今回をもって長いシリーズに終止符が打たれるんですよね。

ワタクシ、自慢じゃないですが本シリーズは最初の第1作、2作を観ただけで、以降、まったくの未見です^^;
たぶん、彼らの誰にも感情移入できなかったというのが避けてしまう部分だったかもしれません。

原作本読まれたのですね。自分の中で出来上がったイメージと映画の見せ方にうまく合致すると最高ですよね。
ひとそれぞれ『アバター』に嵌まるのワタシのようなのもいれば
『ハリー~』に嵌まる方もいる。映画ってほんとうに面白いですね(←水野晴郎かい!)^^;
返信する
☆ちょいと期待してる本作です☆ (TiM3)
2010-11-21 21:44:01
イサム・ノグチと言いますと・・こちら高松にも
縁のある方ですし・・

エミリーと言えば・・以前観た作品でデミ・ムーアに似てると思ったことのあるしとだったかなァ??
返信する
期待し過ぎに注意とか (ituka)
2010-11-21 22:49:05
TiM3さん こんばんは。

案外と賛否両論となる本作ですので注意が必要かもしれませんよ^^;
でもワタシは劇中に4回ほどウルウル来てしまいました。

この監督の演出はハリウッド映画のように感じました。
日本映画を超越している。
特に大人になったイサムを捉えるシーンで感じました。

>エミリーと言えば・・以前観た作品でデミ・ムーアに似てると

それって『ラースとその彼女』でしたか^^;
先日録画した『暴走特急/シベリアン・エクスプレス』でも上手い演技を見せてくれました。
エミリー・モーティマーって言いにくいです。
どうもエミリー・マイティーモーとなってしまう(爆)

※マイティー・モー=サモアの格闘家^^;
返信する
わたしもきました(泣) (mariyon)
2010-11-22 18:23:41
映画はほんとうに順当ですよね。
でもって、最初のあたり睡魔・・・わかります(苦笑)。
でも、なんなんでしょうか?
あのあまりに1本気な彼女に振り回される
息子、娘、周りの人々。
うるっときました。

レオニーは決して、自分の母親とか子供にいてほしくない人ですが、傍観者として見ると、その生きざまに感動します。
返信する
気高さ。 (BC)
2010-11-22 21:14:28
itukaさん、こんばんは。

>とにかく、なにごとにも即決する、ある意味、自己中ともとれる彼女の
その奥底に秘めた壮大な意思があったが故、作品にもなり
多くのひとから共感を呼ぶのでしょうか。

私は考えてから行動する事が多いからなのか
何事も熟考しないレオニーの浅はかさや
身勝手さにどうも共感出来なかったかな?

だけど、どこかレオニーの生き方を羨ましいと思っている自分がいました。
人に媚びたり馴れ合ったりしないレオニーの気高さが
多くの人達から共感を呼んでいるのかもしれないですね。
返信する
mariyonさんへ (ituka)
2010-11-22 21:50:49
mariyonさん、こんばんは。

昨日から何度もTB飛ばしてるんですが、何故か反映されないです^^;
最初の大学のシーンは良かったんですが
段々と「ヤバいな」とココロの奥で思ってました。
ココ最近、眠りが浅いのか常に眠いです(汗)

>あのあまりに1本気な彼女に振り回される
>息子、娘、周りの人々。

そうですよね。でも、唯一振り回されなかったのが茶道の先生でしたよね。
レオニーに金の召し物をプレゼントし、そのお礼が・・・でしたもんね^^;

身内には居てほしくないって、まったく同感です(笑)
返信する
BCさんへ (ituka)
2010-11-22 22:03:27
BCさん、こんばんは。

週末は渋谷に行かれたのですね。羨ましい^^

>私は考えてから行動する事が多いからなのか
>何事も熟考しないレオニーの浅はかさや
>身勝手さにどうも共感出来なかったかな?

実はワタシも行動を起こす前段階にかなりの情報を取り入れるタイプなんです。
なので、レオニーの行動には感心する半面、ヨネの「今の社会情勢を考えたのか!?」に
「そうだそうだ!」とヨネに共感してました。

でも、あのレオニーが居たからこそ、天才芸術家のイサムが誕生したのも確かですしね^^;
世の中、なにが正解なのかは判らないですね^^

返信する
絶対(笑) (オリーブリー)
2010-11-23 12:58:44
『リトル・ランボーズ』『100歳の少年~』だと思ってました(爆)

我が道を貫く決断力は凄いと思いますが、最初からどこか可愛げない感じを受けてしまい、親切な日本人に触れているのに、日本語覚えようとしないとか、日本人として一抹の寂しさを覚えてしまいました。
なのでitukaさんのように優しい目線ができず残念でした(苦笑)

こちらの作品化には長い年月が掛かったり、監督の強い意志(まるでレオニーのような)もあってとのことで、私設応援団(?)があるのですね~。
ちょっとビックリ。
返信する
ギリギリまで迷った末にこれ!(笑) (ituka)
2010-11-23 21:32:29
オリーブリーさん、こんばんは。

実は、当日朝まで迷ってたんですよ。
この3本をシャッフルしてパッと開いたら『レオニー』だったみたいな^^;
ということで、時間的に効率よくハシゴすればよかったのに出発が遅れ、出来なくなりました(爆)

我が道を貫きましたよね(爆)
でも、そこに欲がなかったので彼女を否定することなく観られました。
行動は早いけど、かなり大雑把^^;

郵便配達員への暴言を直訳して伝えろって、愛娘に断られてましたよね(爆)
ワタクシ、その姿を茶道の中村先生に見せてやりたかった^^;

熱血応援団みたいですね。映画の製作段階などをブログで紹介したり
作品にエキストラで出演したりでかなり盛り上がっていたようです。
脚本家がそのまま映画監督をするって、自分のイメージ通りに映像化されるので
こういうのに良作が多いのかな~と感じましたよ^^


返信する

コメントを投稿

映画 ら行」カテゴリの最新記事