Posie Graeme Evans. 2010. The Dressmaker. Simon & Schuster Australia.
ヒストリカルフィクション
1850年代、ロンドン。
ケンブリッジ大学出身で村の牧師である父を持つEllen Gowanは裕福ではないものの、愛情に恵まれた子供時代を過ごします。
しかしEllenの13歳の誕生日に悲運が訪れます。
父が急死し、Ellenと母は家を追い出されることになってしまい、母の親戚の元に身を寄せます。そこで肩身の狭い生活がしばらく続きます。
Ellenの人生は紆余曲折を得て、少女から若き女性へと成長していきます。
そしてとてもハンサムで口のうまいRaoul de Valentinと出会い、結婚。
が、ちょうどEllenが妊娠していると分かった頃、RaoulはEllenを捨て家を出て行きます。
芯の強いEllenは何としてでも生き延びる、この子を育てるんだと自分に言い聞かせ、ドレスショップで仕事を得ます。
ここで初めてEllenはドレス作りのセンスを発揮することになり、数年後には自分のドレスショップをオープンするまでに至ります。
何年かするとEllenのセンスや技術が買われ、彼女の店は貴族などの間ですっかり有名になり、ビジネスは軌道に乗っていました。
がしかし、Raoulが再び彼女の前に姿を現し、Ellenが愛するものや築いてきたもの全てを奪い取ると脅し始めるのです。
Posie Graeme-Evansのこの一冊は、ビクトリア期に生まれながら、器量にも才能にも恵まれたばかりにその時代の逆風に合うが、時代の先を行き強く生きていく女性の姿を描いたもの。
最初はナカナカ話が進まなかったけど、Ellenの父親が亡くなる辺りから本が置けなくなります。
Ellenの恋に恋する少女時代のロマンスや大人の愛が話に盛り込まれているし、時代背景では豪華絢爛な舞踏会の様子から場末の売春宿までビクトリア期の様々な場面が展開し、この本を読み終わった後もタイムスリップしたような余韻が残ります。
情熱さに欠け、終始単調な物語調なところが物足りなさを誘うかもしれませんが、私は十分楽しめました。
物足りないと感じる人は結構いるようで、 goodreads.comでの評価は3.5です。
Suzanne Enoch. 1998, 2008. By Love Undone. Avon.
再版。
私はこういう昔のEnochの作品のほうが好きです。
これもオススメ。
Story:
Dialogue:
Hero:
Heroine:
Sensuality:
過去のスキャンダルがもとで家にいられなくなり、Mr.Bancroftという初老の男性のコンパニオンをしていたMadeleine Willits。
しかし、Mr.Bancroftが脳梗塞(か何か)の発作で下半身や片腕などが麻痺し、邸宅の管理に無理が生じてきたので、甥であるQuin(公爵家の跡継ぎWarefield侯爵)がやってくることに。
スキャンダルが起きた時、自分のせいではないのに、ロンドン社交界から村八分にされたMaddieは、貴族というものとはもう一切係わり合いになりたくもありません。
貴族なんて名ばかりで、高貴な部分はどこにもないと学んだMaddieは、侯爵のような位の高い人が自分が唯一平和に暮らすことができる屋敷へ来るのが気に入りません。
鼻から冷たい態度で、何かというと間接的とはいえ彼の身に危険が起こることに関係しているMaddieが気になるQuin。
美しい彼女を一目見た時から気になってはいたけど、どうしてこんなに嫌われているのかどうしても知りたくなってきます。
それに、彼女と言い合いするのもなんだか楽しい…。
お話の中盤ほどまではMaddieとQuinの対決が続きますが、本の裏表紙に書いてあるようにQuinはMaddieの魅力に負け、婚約寸前の女性がいながら、Maddieにキスしてしまいます。
そこをMr.Bancroftに目撃されてしまい、Quinは彼の取った行動の責任を取るという理由で、Maddieをロンドン社交界に復活させるべく、彼女をひきずりロンドンへ。
いいところの娘が家出をして、初老の男性のコンパニオンという職についていたことや、キスした(失礼なことをした)お詫びに社交界復活のサポートをするとか、なんだかイマイチしっくりこない理由付けが目立ちます。
後半は、Quinの両親が決めたいいなずけというのが邪魔をするのですが、これがまた、たちが悪い女なんです。
この辺のことは明るみには出るし、Quinも詳細は知らないけどどんなに嫌な女かはきちんと気づきます。
でも、恨み深い私。この許婚に対する制裁が物足りなかったような。
という上二つの理由でハートマークはちょっと減りましたが、H/H間のロマンスは最高。
楽しめます。
前半の二人のガチンコ対決もおもしろいです。
Enochの他の作品のレビューは>>Spotlight on Suzanne Enochからどうぞ。
表紙の絵、すごいのばっかり…。
Enochがやっとコンテンポラリーから戻ってきてくれました。
The Notorious Gentlemanシリーズ。このAfter the kissは1作目。でもまた盗人絡みなんだけど…。
Story:
Dialogue:
Hero:
Heroine:
Sensuality:
Sullivan Waringが1作目のヒーロー。
半島戦争で半死の思いで戦っている間に彼の母は亡くなってしまいます。そればかりか英国に戻ってくると、彼女のものや彼女から受け継ぐはずだったものまで全て無くなっているのです。
これが自分のことを認知してくれない貴族である父の仕業だとわかり、復讐の思いからSullivanは上流社会を脅かす泥棒となります。
画家だった母が描いた絵を父が友人知人にあげてしまったため、それを取り戻すべくSullivanは盗みを繰り返すのです。
そしてある晩忍び込んだ邸宅でヒロインLady Isabel Chalseyとバッタリ。
彼女の気をそらすつもりでキスしたのが、実はSullivanは一瞬で彼女の美しさの虜になっていたのでIsabelがSullivanのマスクを剥いでしまったのに気づきませんでした。
顔を見られ逮捕処刑の日も近いかと思いきや、次の日に馬市場タッタソールで兄に同行してきたIsabelとバッタリ。
恐ろしさのあまり気絶するようなタイプでないIsabel。それどころかあのセクシーでハンサムな盗人のことが頭から離れなくなってしまいます。
そしてタッタソールでその彼と再会し、Isabelは彼の謎を解き秘密をあばきたいという強い衝動に駆られ、彼の招待を明かさない代わりに、人の言いなりになるのが嫌なSullivanにIsabelの馬の調教師兼乗馬の先生として邸宅に来させる契約をします。
一目ぼれの設定だけど、全く説得力がないのでがっかり。
結局途中から「もう二人は恋に落ちたんだ」と自分に言い聞かせながら読みました。
いわゆるChemicalが足りないってやつですね。
それと、今回のヒロインIsabelはあまり成熟していなくてわがままな印象が強いので、落ち着いた感じのSullivanとはどうしても釣りあわない印象が。
でもそうやって自分で勝手に思い込むロマンスをがまんすれば、後半は身分の違いのせいとSullivanの裏の仕事のせいで切ないロマンスという展開になってきます。
それと、ロマンスとは別にこの1作目で楽しめるのは、Sullivanの人間的成長。彼と庶子のことを嫌がる貴族の父とその長男との確執が原因で泥棒となるわけですが、どうやって事の収拾をつけるのかのほうがロマンスより楽しめました。
というわけで、ロマンスとしては点数が低くなった新シリーズの1作目ですが、ヒーローの生い立ち、成長の様子はこの1作目も2作目も楽しめます。
Book2: Before the Scandal
Enochのほかの作品はこちら:
>>Spotlight on Suzanne Enoch
The Notorious Gentlemen3連作の2冊目。
半島戦争で助け合い活躍した紳士達がヒーローです。
Story:
Dialogue:
Hero:
Heroine:
Sensuality:
半島戦争で活躍したPhineas Bromleyは、昔起こった事故のせいで兄とは疎遠。でもその兄が病気で長くないと妹から帰ってきてほしいと懇願する手紙を受け取り、急遽帰国。
が、兄危篤はPhinを英国に呼ぶための究極の手段でした。
帰ってくると、子爵家の財政が傾いてきていることも知り、その背後には誰かの悪質な企てがあることにも気づきます。
家や家族を助けるために奔走するPhinですが、その一方で子爵である兄との確執は深まるかのよう。
その傍ら、唯一、彼の帰還を歓迎してくれたのは幼馴染のAlyse Donnellyでした。
今回のシリーズでは、ヒーロー達がもったいぶって「謎」の過去を明かさないということが共通しているんでしょうか。
この1作目のヒーロー、Phineas Bromleyは兄との確執の原因となった過去の悲惨な事故のことが徐々に徐々に明らかにされていきます。
Phin自身の若かった頃の考えのない行動のせいで彼はいつも勘違いされるけど、家族を助けるために奔走するPhinが大人として責任あるれっきとした紳士となっていく様子が描かれています。
が、盗人(Highway man)は良くないですねー。
この1作目も盗人つながりなんだけど、このシリーズはこの路線でいくのかな。
理由は何であれ、犯罪を犯すヒーローとかヒロインって魅力半減するんだけど…。
1作目ももうすぐレビューするつもりですが、私はこの2作目のほうが好きです。
Enochの他の作品はこちらからどうぞ:
>>Spotlight on Suzanne Enoch
Christina Dodd. 1996. Once a Knight. Avon Historical Romance.
ロマンス小説専門店でオススメされたこのKnightシリーズ1作目は、アンチヒーローな騎士物語です。
Story:
Dialogue:
Hero:
Heroine:
Sensuality:
Lady Alisounは彼女の城を守るために、用心棒のような存在になる騎士を雇うことにします。
選んだのは、数々の功績を残しかつては大変有名だったSir David of Radcliffe。が、彼を探し出してやっと見つけたと思ったら、この伝説的な存在の騎士はただの飲んだくれで剣を持って戦うこともできるのか疑わしいほどに変貌していました。
しかし、何か他の思惑があるAlisounは、それでも彼を雇います。
かつては王に仕え、数々の戦いをこなし伝説の騎士としてチヤホヤされたDavidですが、今では彼に残っているのは「過去の遺産」である名声だけ。
母親のいない娘のためもあり、棚からぼたもちのようなAlisounの依頼を引き受けます。
城につくと早速、Alisounの命が狙われていることがわかり、Davidは伝説の騎士のイメージ通りに強さと威厳を見せつけて振舞わなければいけなくなります。
領地の民のことを思うAlisounは美しく大変人気がありますが、表向きは「氷の女」のイメージがあり、実際あまり笑うこともありません。
が、一旦Davidは彼女を危機から救うと、彼女を守ってやりたい思いに駆られ、実はとても情熱的な一面も持つ彼女の側にずっといたくなります…。
どうして白馬の騎士的なお話を想像してたのか自分でも分からないのですが、このお話は全くそんなのではなくてびっくり。
Davidは確かに数々の功績を持つ本当は優秀な騎士です。でもそれは過去のお話。このお話の中では、騎士になるための訓練をしていた少年に練習で負けっぱなし。徐々にみんなの憧れのまなざしが冷めていき、ヒーローとしてのプライドも威厳もあったものではありません^^;
でも、彼が徐々に地の底から這い上がってきてみんなからまた尊敬されるようになる様子や、ヒーローとしての素質に欠けるDavidのとっても人間らしいお話はユニークで、随分前に読んだのですがかなり印象に残っています。
ハートマークがいまいち増えなかったのは、ロマンスの要素が薄かったからです。
Alisounに関しても、私もこうなりたいと思うような強くて賢い女性ですが、フレンドリーさに欠けているし感情移入できる部分も少なく、Davidが惹かれた理由というのは今となっては覚えていません。
"Once a Knight"という題名から、Once a night(一晩に一度)という二重の意味とか、OnceというからにはTwiceなんとかとか、裏表紙にあるように"Always a lover"などと深読みさせる題名ですが、お話を読み進むうちにこの題名の意味は直に「かつては騎士」のままか…と苦笑。
良くて、「クサっても騎士」?かな。(笑
でも、結果的にはAlisounにとっても城の民達にとっても、みんなを守る騎士となったDavidです!
こういうお話もたまにはいいですね。
Book1: Once a Knight
Book2: A Knight to Remember
シリーズといっても2作品だけですね。これからも続きが出る可能性はあるのかな?
Georgina Devon. 2007. The Rake's Redemption. Quills Harlequin Books S.A..
HQリージェンシーです。
Story:
Dialogue:
Hero:
Heroine:
Sensuality:
妹のシャペロンをしているMiss.Emma Stockton。
女たらしのCharles Hawthorneが、Emmaの妹にちょっかいを出しに来るので、妹と彼の間にうわさは立つし、まだ若い妹は社交界一の放蕩ものだけどハンサムな紳士にかまってもらってのぼせ上がる一方。
でも、実家の家計を立て直すためには妹にお金持ちと結婚してもらわないといけないので、何度も何度もEmmaは放蕩者で有名なHawthorneに、妹には近寄るなと警告します。
Emmaの妹に気を払うのは最初は暇つぶしのつもりだったけど、Hawthorneはいつの間にか、妹に接近すればするほど怒るEmmaの顔が見たくなっていてやめられなくなっていました。怒ると彼女の顔はとても情熱的に見え、もっと怒らせてみたくなるんです。
二人は顔をあわせればドンパチやりますが、HawthorneはEmmaに触れたい欲望に駆られ、EmmaはHawthorneがいない時でも彼のことを考えてしまいます。
そしてついにHawthorneは人気のないところでEmmaからキスを奪います…
G.Devonは前に一つだけ読んだことがあり、結構気に入ったので、今回たまたま図書館で見つけたものを読みました。
いじめっ子の男の子の心理を見せるHawthorneはかわいかったし、家族思いのEmmaも良かったです。わがままに見える妹も、若いなりに姉の苦悩を理解してみせるなど、よくできてました。
でも、お話自体が短かったせいもあるんでしょうけど、HawthorneがEmmaに対する自分の気持ちをもっと詳しく描写してほしかったので、イマイチ、物足りなさを残してます。
Christina Dodd. 2004. Some Enchanted Evening. Avon Historical Romance.
Lost PrincessesシリーズBook1です。
革命のため国を失い、敵から逃げながら英国でほそぼそと暮らすプリンセス3姉妹のシリーズ。
Story:
Dialogue:
Hero:
Heroine:
Sensuality:
お金持ちアメリカ人令嬢がヒロインのお話と、架空の国の王子・お姫様という設定は、HRHでは自動的にハートマーク評価がガクンと下がります。
オーナーの好みではないので。
挽回するためにはかなり印象的なストーリーが必要です。
今回の1作目のヒロインClariceは、化粧品の行商のようなことをして町々を渡り歩いているというありえない設定。
そのClariceは、ロンドンでヤバイことになったので、スコットランドへ渡ってきます。
次の行商の場所に選んだのは、Robert MacKenzie(Hepburn伯爵)が治める町でした。
町の真ん中で人を集めて化粧品を上手に売るClariceに惹きつけられるMacKenzie。どこの国とは言えないけど自分はPrincessだなんて言い張る彼女に、興味津々。
それに、彼女の言っていることがウソにしろ本当にしろ、MacKenzieは自分の復讐計画のコマにするにはもってこいだと思い、彼女を自分の城に招待します。
いつか自国に戻りプリンセスとしての任務を果たさなければいけないClariceと、復讐計画にとらわれたMacKenzieのお話です。
この二人の間のロマンスというのが、私には全く存在しているようには思えませんでした。
だから印象に残らないし、すでに読んでから数週間経ってしまってるので、今回のレビューはこれだけっす。スミマセン。
でもAmazonでの評価はかなり高く、気に入った読者は結構いるようです。
私の好みではなかったというのが今回がっかりした一番大きな理由でしょうか。
なんにせよ、Doddはそんなに波のある作家ではないので、2、3作目もまた今度チェックしてみるつもりです。
Book2: The Barefoot Princess
Book3: The Prince Kidnaps a Bride
>>Spotlight on Christina Dodd
私の次のDoddは再出版の"Once A Knight"です。
National Readers' Choice AwardsでEroticaの部門で最終選考まで残ってます。最優秀賞は例の"Sin"です。(色んな言葉が検索でヒットして怪しいウェブサイトからたくさんメッセージやTBを送りつけられました…)
Story:
Dialogue:
Hero:
Heroine:
Sensuality:
ある事件で殺害された夫が残した暗号日記を所持しているElizabethは、この日記を手に入れたがる何者かに命を狙われています。
極秘任務を遂行するエージェントであるWestfield伯爵は、そんなElizabethを守る任務を任されます。
ただ、Westfieldがこの仕事を引き受けたのには特別に個人的な理由もありました。
Elizabethは4年前、伯爵の婚約者だったのですが、ある日突然Lord Hawthorneと駆け落ちしてしまったのです。
4年前も4年経った今もElizabethに対する情熱は消えることがなかったWestfieldは、今度こそElizabethを自分のものにすると心に誓います。
極秘任務のエージェントがヒーローで、危険にさらされたヒロインを守るというありきたりの設定で、お話の展開は良くもなく悪くもなくです。
ただ、H/Hの心の変化のようすがさっぱり理解できませんでした。
二人は本当はお互い好きなんだけど・・・というのは分かるのですが、色々事情があって「別れる」「わかった」とかいうやり取りがあったかと思うと、すぐ後で以前と変わらず二人でまた会ったり。でも重要なその間の心の変化があまり描かれておらず、せっかく見ていた良いTVドラマが電波のせいでプツプツ途切れ途切れになってしまったような印象を受けました。
ヒーローのWestfield伯爵は、Thorntonの"To Love an Earl"以来の"Obsess”型と言ってもいいほど、Elizabethを執拗に求めます。
あまり二人の会話は良くありませんでしたが、伯爵の情熱はよく伝わりました。
ラブシーンはだんだんお話が進むにつれ飽きてきますが、最初のほうはホットホット
"Sin"にはドン引きだったヮ・・・という方でも、こちらのリージェンシーEroticaなら楽しんでもらえるんじゃないかと。
お断り
ただ今この記事へのコメントは受け付けていません。
Story:
Dialogue:
Hero:
Heroine:
Sensuality:
Miss Sarah Moorehouseが中心になって作った読書クラブでは、最近出版されたフランケンシュタインが話題。レディーが読むものではないので外部の人たちにはもちろん内緒。
Langston侯爵主催のハウスパーティーでも夜中にこっそり集まってフランケンシュタインの話に花が咲きます。
そして、なぜかそこから理想の男性の話になり、じゃあ自分達で(フランケンシュタインのように)お人形を作ろうという話になります。
メンバーのみんながそれぞれ、パーティーに出席している紳士達の部屋に忍び込み、一枚ずつシャツや靴下などを「お借りしてくる」ことに。
Sarahが取ってこなければいけなかったのは、Langston侯爵のシャツ。夜中に彼のベッドルームに忍び込み、シャツも簡単に見つけ、さぁ早くずらかるゾという時に、Langstonが部屋に戻ってきます。
お約束。
そして、なんと、お風呂に入り始めたのです。
お約束。
結局、Sarahは見つかってしまい、二人の距離は一気に縮まります。
全体的にはお約束尽くめです。
ヒロインはどちらかというと、男性からは一見地味でブスと思われる容姿。「醜いアヒルの子」系のお話と言っていいでしょうか。
結局は、実際の見た目は美しい白鳥にはなりませんが、彼女をよく知っていくうちに、表情がクルクル動いて「あ、魅力的」とみんなが気づく。ヒーローから見たらそこがたまらない、というやつです。
私はこういう筋書き好きなんですけど、この作品がたいしておもしろくないと思ったのには、今までにもたくさんあったこういうお話と区別できるような工夫がなかったことでしょうか。
本筋のほうでは、フランケンシュタインから頭が離れないSarahが、夜な夜な庭を掘り起こしているLangstonを見て「怪しい」と決め込みます。
ありふれた展開。
Langstonのこの庭を掘り起こしている秘密の理由も簡単に想像がつく上、やっぱりどっかですでに使われたネタ。
そして殺人事件がおこるとSarahが彼を怪しいと思い込むのも、お約束で、以外な展開がありません。
さらに、「殺人犯かもしれないのに!」と思いながら彼に惹かれていく様子も、ベタすぎ。
とにかくロマンスのお約束だらけなので悪くはないはず?
でも工夫も特徴もなく平凡すぎ。
しばらくHRを読んでいなくて飢えている!という時だったら、もしかしたらもう少し楽しめたかも。
Christina Dodd. 2000. Rules of Surrender. Avon Historical Romance.
Distinguished Academy of Governessesシリーズ。
>>Spotlight on Christina Dodd
Story:
Dialogue:
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Sensuality:
ワケのわかんないRuskin子爵を相手にがんばったCharlotteはハートマーク4つです
Ruskinは13歳だかの時、父親を失った悲しみから旅に出ます。というか、家出です。そして中東あたりの砂漠で成長し、結婚し、二人の子を授かりますが、「全く愛してなかった」妻が亡くなると部族に居づらくなったためイギリスに帰ってきます。
Ruskinの母親は子供たちの家庭教師としてCharlotteを雇いますが、実はRuskinを紳士に仕立て上げてもらうためでもありました。
まったく上流社会で通用するようなマナーがなっていない子供たちですが、この子たちをしつけるのはお手の物のCharlotte。問題は父親のRuskin子爵です。ちょっと知恵のついた原始人を相手にしているようで、ああ言えばこう言う。Charlotteの我慢強さには脱帽。
それにしても、なんでCharlotteがこんなのに惹かれたのか、私にはさっぱり、でした。彼女自身は賢くて美人で我慢強くて、Ruskinがすぐに惹かれたのはわかるのですが…。
Ruskinを私風に例えると、中東あたりからきた留学したての英語を文字通りでしか理解できない、世間知らずなくせに自惚れた男の子、です。
比喩や小難しい表現は通じないし!(こんな生徒いるんだ…)
「あ、この子オレに気がある」と思い込んだらしつこく、相手のことを考慮せず「オレ様」の思い通りにしようと躍起になるうざいタイプです。
Amazon.comでの星4つ評価は信じ難いです~
でも、反対意見もたくさんあるようだし、私だけではないようです。
主人公2人のロマンスも納得の行くものでもなかったし、全体的に読者を引き込むよなお話でもありませんでした。
他の作品に期待します。
P.S. Spotlight on Chistina Doddの記事内の文字の大きさが揃わなくて、読みにくくなってます。申し訳ありません。(どうやっても直せなかったの)
Suzanne Enoch. 1997, 2006. Lady Rogue. Avon Historical Romance.
最初の数章を読まないとお話に入っていけない作品ってよくありますよね。
でもこれは読み始めたら止まりません!久々のオススメ。
<Spotlight on Suzanne Enoch>で他の作品もチェック
Story:
Dialogue:
Hero:
Heroine:
Sensuality:
Christine "Kit" Brantley は男の子に変装したフランス側のスパイです。 ハンサムで女たらしのAlex(Everton伯爵)が自分達の邪魔をしてるんじゃないかと、彼を見張るためにKitの父親はあれこれ理由をつけてKitをAlexの家に置いて、自分は兵器の密輸入をアレンジしにロンドンの下町に消え去ります。
何かある、とKitを一目見た瞬間から悟ったAlexは、もちろん、ウスノロなんかではありません。すぐにKitが実は女だと見破りますが、何が目的でここに来たのか探りださなければいけません。
しかし、男装の下に隠された彼女の肉体や、冒険心が強く自立した性格、且つ、女性としての酔ってしまうような魅力に惹かれていきます。
何が良かったって、Alexが徐々にKitに惹かれていく様子です。家にいろ、と言いつけてあるのに、一人でフラリと出て行ってしまうKitにイライラ、でもかわいい。
敵とは寝ちゃいけない!でもついつい手が出てしまう…。
実はKitは、父親が何か危険なことをしようとしているのは知っているのですが、はっきりと何かは知らないんです。
貧乏なため、ウィスキーやお茶などの密輸でボチボチ生計を立ててきた親子なのですが、前回邪魔が入ったんです。
それがどうもイギリス側のスパイで、そのスパイはAlexなんじゃないか、もしそうだったら彼がまた自分達の邪魔をするのを阻止しなければいけない、というのがKitの知るかぎりでのミッション。
Alexのことがだんだん好きになりはじめるKitは、父親かAlexか、と敵同士の二人への忠誠心の板ばさみとなります。
Enochならではのユーモアも冴えていました。
二人の会話や、Valetが加わったときの会話は爆笑もの。
さらに、仕立て屋がKitの寸法を測るのをAlexが窓ガラスの反射を通して見ているシーンがあるのですが、この思春期の男の子のような行動には大爆笑!!!
今でも思い出し笑いしてしまうほど、私の中では大ヒットです。
A Must Read!
Suzanne Enoch. 2006. Something Sinful. Mass Market Paperback.
Spotlight on Suzanne Enochで他の作品もチェックしてみて下さいね。
今回のSomething SinfulはGriffin家の次男Charlemagneのお話。この名前、カタカナではシャルルマーニュ、西ローマ帝国の皇帝の名前に由来(Charles1世とも)。
英語発音をカタカナに直すと、シャールメイン。このお話ではShay(シェイ)というニックネームがついてます。
Story:
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Hero:
Heroine:
Sensuality:
ある舞踏会でLord Charlemagneはエキゾチックな美人、侯爵令嬢Lady Sarala Carlisleと出会います。
Shayは当時の男性なら誰でも信じていたように、レディーはビジネスに関しては無知と思い込んでいます。でもSaralaは色々質問してくれるから、仕事ができるかっこいい男としての印象も与えたいという男の性から、Shayは質問にベラベラ答えます。
中国から何千というシルクの反物が明日届くのだけど、それを買い付けて一儲けするんだ、などだけではなく、どこで、何時に、どの船、などの詳細も教えてあげます…。
そして、はい、読者の予想通り、次の日Shayがいざ港へ行ってみると、あの昨晩の美女Saralaが文字通り、一足先に全部買い付けて行ってしまったところでした。
Saralaが自分のシルクを盗んだ!と憤るShay。なんとしてでも取りもどさないと男のプライドが許さないし、もしこの話が誰かにばれればなんとも恥ずかしいことに。
ShayはSaralaの行く先々に現れ「ビジネス交渉」を始めますが、周りから見れば二人は交際しているよう。本人達も「ビジネス」よ、なんて言いながら、かなりドギマギ。キスして相手のスキをついたり…。(それか、キスしたいだけか…。)
でも、このビジネス交渉が終わってしまうと二人が会う理由は無くなってしまいます。
お互いビジネスの才能を認めて欲しいという気持ちが強いので、なかなかストレートにはいきません。
今回はEnochの売りのラブシーンがちょっと残念でした。全然ロマンチックじゃないんです。簡単にスルスルっと終わってしまって。
全体的には十分楽しめるお話ですが、これといって記憶に残るような特別なロマンスというわけでもありません。こういうビジネス好きの主人公のやりとりを楽しみたいなら、リージェンシーではなく、Enochのコンテンポラリーを読んだほうがおもしろいかも。
Suzanne Enoch. 2006. Flirting with Danger. Avon Romantic Suspense.
ヒストリカルロマンス作家イーノックの初のコンテンポラリー作品。
大人気のようです。
Story:
Dialogue:
Hero:
Heroine:
Sensuality:
ヒーロー、Rick Addisonはイギリス出身の億万長者。かっこいいです。
ヒロイン、Samantha Jellicoeはプロの泥棒。キャットウーマン。
Rickのアンティークコレクションからある貴重な刻板を盗むよう依頼されたSam、彼の家に侵入して二人は爆発的な出会いをします。
てか、本当に爆弾が爆発するんです。
Samは誰かにはめられてRickの豪邸の中でもう少しでつかまってしまうかも!というところで、爆弾が爆発します。
危機一髪でRickを救い、Samは彼の前から姿を消します。
その後Rickは、体を張って自分を爆発から守ってくれたSamを必死に見つけ出そうとしますが、あまり成果はありません。
2、3日その後の経過を見ていたSamですが、爆発でセキュリティーが一人亡くなってしまい、Rickがその場にSamがいたと証言したことからSamが殺人容疑者候補に挙げられてしまいます。
プロの泥棒は人殺しはしないというプライド(?)から、Samは自分の無実を証明するためにも再びRickの豪邸へ侵入。
Rickに誰が爆弾を仕掛けたのかや誰が結局刻板を盗んだのか見つけ出すのを助ける代わりに、自分が殺人容疑者リストからはずされるよう協力してほしいと願い出ます。Rickの書斎の天井から侵入して。
爆弾、泥棒、とイライラがつのるRick。いくらきれいで魅力的なキャットウーマンでも、泥棒と「ビジネス」はできないと、最初は断りますが、数日後考えが変わり、二人の「ビジネス」交渉が成立します。
普段ヒストリカルばかり読んでいるので、現代のアメリカ風の会話表現にとまどってしまいました。 Swear Wordは、自分だってある程度は使うくせに、いざコンテンポラリーロマンスのヒロインが使うとぎょっとするやら「お里が知れるわネ」なんて口うるさいおばさんみたいなこと思ったり。ヒロインは結局は泥棒だし、とか。
あと、最近の20,30代の人たちはこんなこと言うのかな、と思わせる表現もいくつか。"You rock"とか恋人に言う?アメリカでは言うのかな。(言わないと思う・・・。)
ヒロインの泥棒という職業、もちろん、Rickは好きじゃありません。結局最後の最後で「引退」することになりますが、でもずーっとお話の中でRickがSamの職業のことで何か言おうもんなら怒り出すSamが好きになれませんでした。
色々、彼女が盗む理由は正当化されていましたが、どう考えても犯罪以外の何物でもないので、やっぱり最初の印象どおり、泥棒ヒロインのお話は完全に満喫できませんでした。
基本的にコンテンポラリーは好きじゃないので意見は偏ってしまうし、途中でお話の展開がダラダラしてしまいますが、それでも読み応えのあるセクシーで緊張感のあるお話でした。
コンテンポラリーのロマンチックサスペンスが好きな方にはオススメだと思います。
2作目"Don't Look Down"ももうすでに出ています。
なんと、この二人のその後のお話。
Christina Dodd
Governess Bridesシリーズ7作のうち4作だけ要約しました。
字数制限のため記事2つ分にまたいでいます。
Rules of Engagement (Oct., 2000)
Story:
Dialogue:
Hero:
Heroine:
Sensuality: 8
Hurrah! ミステリーあり、アクションあり、ジョークありの上に、もちろん激しいロマンスあり、と読み始めたら中断不可能の一冊! Kerrich伯爵は宮廷での自分の株を上げるために孤児を一人引き取ることにしたのですがGovernessが必要となります。ちょうどAcademyに納める大金を盗まれて途方にくれていたPamela(一度はロンドンの紳士達をキャン!と言わせた美人)は、気前の良い伯爵のオファーを受けます。実はワケありの彼女、白塗りとビン底メガネとつめものをした小太りという醜女(シコメ)に変装して行きますが、伯爵がPamelaの隠された魅力に気付くのにそんなに時間はかかりませんでした…。
Rules of Attraction (Mar., 2001)
Story:
Dialogue:
Hero:
Heroine:
Sensuality: 7.5
The Distinguished Academy of Governessesの校長‘Miss.’ Hannah Setteringtonは学校を売り、LancahireにあるRaeburn伯爵の叔母の世話係としての仕事を引き受けます。屋敷についてみて始めて、新しく爵位を引き継いだ伯爵とは自分が捨てた夫だとわかります!実は愛していたのだけど彼の元から去らざるを得なかったヒロインには苦い生活の始まりです。伯爵は実はどれだけ自分が苦しんできたかを彼女に思い知らせるために綿密に計画して彼女を呼び寄せたのでした。Governessのお話ではありませんが、再開した二人の間によみがえる愛、それを阻む9年間という過去と伯爵の命をねらうミステリーと、ダークで緊張感のあるお話です。
Christina Dodd
Governess BridesシリーズのタイトルはIntermission 10にリストアップしてあります。
In My Wildest Dreams (Oct., 2001)
Story:
Dialogue:
Hero:
Heroine:
Sensuality: 7
ヒーローGarrickの弟Elleryに長年思いを寄せるヒロインCeleste。接近するためにGovernessとなり、Elleryの気を引こうとします。そんなことはさせられないとGarrickがアノ手コノ手でCelesteの気をそらそうとします。もちろん、魅惑的なアノ手コノ手です。が、実はドギマギしてしまうのはCelesteの魅力に抵抗できないGarrickの方だったりして。
My Favourite Bride (Sept., 2002)
Story:
Dialogue:
Hero:
Heroine:
Sensuality: 7
サウンド・オブ・ミュージックとジェーン・エアを混ぜたようなお話。元スリのSamantha Pendregastは何度も首にされたあげく、Academyから最後のチャンスだということで、田舎に住むWilliam Gregory大佐の6人娘の家庭教師の仕事を請けます。子供たちは厳しい決まりにのっとってしつけるのが基本だという大佐に対し、Samanthaはもっとのびのびとした教育をさせるのだと、二人はことごとく対立します・・・。ドタバタ、ラブコメ風。