ヒストリカルロマンスアワー

Historical Romance Hour

Laird of the Mist

2008年12月05日 | P-Q
Paula Quinn. 2007. Laird of the Mist. Grand Central Publishing.

Story:        
Dialogue:   
Hero:          
Heroine:     
Sensuality:  

高貴な生まれだけどKate Campbellは剣も使える勇気あるヒロイン。彼女の住む城が襲われたとき、Kateも剣を持って戦いに突入。
が、もう少しで敵の刃の犠牲になるという危機一髪のところで謎のハイランダーに助けてもらいます。
なんとそのハイランダーとは、彼女の氏族の宿敵Callum MacGregorでした。
が、徐々にこのThe Devilの異名を持つ宿敵のやさしさや誠実さを知り、彼に惹かれていくKate。

Callumはこれまで何人も敵であるCampbellを殺してきたけど、Kateだけは戦場で目にした瞬間から別でした。これまでに感じたことのない魅力に惹きつけられます。
が、Kateの虜になるということは彼自身の氏族を裏切ることに。

                        

楽しめます。お話自体はそんなにものめずらしい筋書きではないんだけど、Quinnが創り出すハイランドの雰囲気は他のものとは一味違いました。
キャラクターも、特にヒーローが印象に残っています。

Blood Red

2008年11月14日 | P-Q

Sharon Page. 2007. Blood Red. Aphrodisia.

最近ではすっかりEroticaの大御所となったSharon Page。吸血鬼ものです。
えー、下の評価のところ、「Hero1」「Hero2」に注目…。ヒロインが超ハンサム双子のバンパイアをお相手します…。清純な方はスルーしてください。(どうせ私はヨゴレです。)

Story:      
Dialogue: 
Hero1:     
Hero2:     
Heroine:   
Sensuality:


1818年、英国。
バンパイア・スレイヤーであるMiss Althea Yatesは夜な夜な二人の男性とこれまで想像もできなかったようなことをする夢に見舞われます。経験のない自分がこんな夢を見るなんてどうしたことだろうと、恥ずかしい思いでいっぱい。
でも、ある日夢でみた紳士のうち一人、Yanickと対面。
彼は夢で見たとおり、バンパイアでした。

人間に悪さをする吸血鬼の中でも最も冷酷で知られる悪者吸血鬼をやっつけるためにAltheaは、その鍵を握る吸血鬼のYanickの協力を得なければいけません。
が、スレイヤーである自分が吸血鬼を信頼して協力なんてできるのか、でも彼の魅力には抗いがたい…とジレンマに駆られます。


ま、とにかく、興味があれば読んでください。
悪者吸血鬼はどうした?もうどうでもいい、って感じになります。
そのうちYanickの弟も参加し始めて、すごいことになります。
とにかく、ホットホット


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The Lost Duke of Wyndham

2008年07月04日 | P-Q
Julia Quinn. 2008. The Lost Duke of Wyndham. Avon Historical Romance.

Bridgertonシリーズ最初の頃に戻ったみたい。Quinn独特のユーモアたっぷり。楽しめます。

Story:       
Dialogue:  
Hero:        
Heroine:    
Sensuality: 

今回のとってもひょうきんで口の上手いヒーローJack Audleyは元軍人で、現・盗賊…。
まさか貴族と血のつながりがあっただなんて夢にも思ったことはありません。

ある晩、Wyndham公爵未亡人とそのコンパニオンMiss. Grace Eversleighの馬車を襲うと、なんと公爵未亡人は何年も前に死んでしまった息子そっくりのJackに言葉を失いますが、Jackは彼女の孫だと確信します。

Jackの父親は先公爵になるべきはずだった人。
もし公爵未亡人が言っていることが本当なら、Jackは現公爵でなければいけません。


両親が急に亡くなってから過去五年間の間、気難しい公爵未亡人のコンパニオンとして言いたいことも我慢しておとなしく過ごしてきたGrace。
ユーモアがあり思いやりのあるJackと出会い、またもう一度声を上げて笑いたい気持ちにさせられます。


公爵になんてなりたくないJack。でも、彼の両親の結婚に違法性も何もないのは確か。それに現Wyndham公爵(Thomas)には許婚のAmeliaがいます。
始めてあった瞬間からGraceに惹かれていたJackは、Graceと一緒になりたい気持ちでいっぱいになっていきます。

父親そっくりのJackの容貌に加え、彼が本当の公爵だということを示す法的な証拠も集め始めるのに従い、JackとGraceの気持ちは募ります。
でもGraceは、もしJackが本当に公爵になってしまったら身分の低い自分との結婚などありえないので距離をおくしかありません…。

                          

Bridgertonシリーズの最後のほうがちょっと尻すぼみだったので、なんだかこの新刊は「待ってました!」という感じはなかったんですよね。
でも、うちのGがまたここ最近家事をサボっていて、腰が痛かった私の不満爆発。
一切家事は無視(←あまりおすすめできない…キッチンやバスルームがすごいことになります)して、ロマンス小説専門店でどっさりまとめ買いしてきたものをずっと読んでたんですけど、この新刊がその中の一つです。
「なんでもいいから気になったものは買う」の衝動買いでした。

と、あまり期待していなかったんですけど、前半はすごく楽しめました。
後半になるとちょっとペースダウンで、Quinnユーモアをこれでもかと見せつけるためだけで無駄?とも思えるような会話などにイライラ。

あと、もうちょっとヒロインに勢いが欲しかったですね。

さらにもうちょっと言わせてもらうと、全体的にH/Hのロマンチックな場面が少ないのが一番の不満でしたが、最初の頃のQuinnを思わせる軽快でユーモアたっぷりのお話は楽しめます。
ロマンチックコメディを読みたい気分の方にはオススメ。

この次は、ThomasとAmeliaのお話。この調子でもうちょっと盛り上げて、ロマンス度も高めていって欲しいですね。

>>Spotlight on Julia Quinn

Naughty by Nature

2007年12月11日 | P-Q
Barbara Pierce. 2007. Naughty by Nature. St.Martin's Paperbacks. Historical Romance.

RT Timesでは評価4ですが、ここは全体的に気前がいいように思います。私からは3つ半です。

Story:         
Dialogue:    
Hero:          
Heroine:      
Sensuality:  

Patience Winlowは男爵家の娘でしたが、14歳の時に美形の旅芸人Julian Phoenixにそそのかされ、何もかも捨てて、実は詐欺泥棒も働いていた彼の一座に加わります。

それから2年経ち、足を洗ってせめて普通の舞台女優になろうとがんばっていたPatienceですが、彼女の人を読む聡明さが買われて、Ramscar伯爵の妹のコンパニオンとして雇われることになります。
この伯爵の妹、Meredithは数年前にあった大火事のせいで顔と心に傷跡が残っており、屋敷から足を踏み出すこともままならないほどでしたが、RamscarはPatienceの力でなんとか改善できないかと希望を抱くのです。

が、一つ屋根の下で家族のように暮らすことになったPatienceは美しく魅力的で、Ramscarと親密な関係になるのは時間の問題でした。

                   


以前、Tempting the Heiressをケチョンケチョンに評価して以来避けていたのですが、ずーっと避けている間にすっかりこの作者のことを忘れてしまってました。
でも今回RT Timesで評価4と出ていたのを見て、「聞いたことある作家だナ…」とも思いながらこのNaughty by Natureを手に取りました。

今回のは良かったです。エンターテイメント性は十分あります。

が、Wallpaper historicalだし、Baloghのような複雑な感情の描写を期待するとがっかりするはめになります。
Patienceの生い立ちを考えると、もっと別のお話が書けるはずなのに、彼女の過去にたいする感情面はおろか、H/Hの人物像を掘り下げるような描写はほとんどなく、お話は全体的に深みに欠けています。
Patienceは一度、一座を抜けて実家に帰ろうとしましたが、両親からひどく拒絶されます。そのことに関しても、結局最後まで何の進展もなければ、Patienceの気持ちも「傷ついた」だけで終わっています。


ザザザーッと簡単に読めて、そこそこ楽しめるものを求めているならこの1冊で十分でしょう。

The Secret Diaries of Miss Miranda Cheever

2007年07月20日 | P-Q
Julia Quinn. 2007.
The Secret Diaries of Miss Miranda Cheever. Avon Historical Romance.

大ヒットを出した人気作家の宿命でしょうか。
Quinnのいいものを知っているだけに、この新作の欠点が目立ちます。

Story:      
Dialogue: 
Hero:       
Heroine:   
Sensuality:

Miss Miranda Cheeverは、ブサイクだとからかわれ落ち込んでいた時に、幼なじみの兄であるTurner子爵に「将来、絶対きれいになるよ」と言われた10歳のあの日からずっとTurnerを思い続けていました。
そしてTurnerが予言したとおりMirandaは、絶世の美人ではないけど、美しい大人の女性へと成長します。

Turnerのほうは、思いもかけず苦しい人生になっていました。美女と激しい恋に落ち(たと思い)、若くして結婚。しかし、妻のウソ、不倫と、絶望的な結果に。
昔はよく笑い暖かい人柄だったTurnerはすっかり変わってしまっていました。

そんなTurnerとMirandaは彼の妻のお葬式で再会します。

前妻のせいでもう純粋さはなくなり、もう誰も愛することなんてできないと思っているTurnerですが、人の真の部分を見抜くことが出来るかのようなMirandaの純真な目を覗いた時から何かが変わり始めます。

        

「Quinnだから」という先入観なしに読めば、平均的なお話かなとも思います。いつものユーモア有りで軽快な感じでお話は進みます。

でも、Quinnのベストを知っているファンの評価は厳しくなると思います。私もBridgertonシリーズのViscountとか単行ものでいくつかものすごく印象に残ってるものがあるから、この新刊の欠点には「Quinnどうしたの?」と思わざるをえません。

Spoiler
気になった点を挙げるとネタバレになるので、この先は読みたくない方はここでストップ!



全体的にH/H間のドキドキはあんまりありません。Mirandaの妊娠がわかってからの後半にQuinnのいいところがチラホラ出てきますが、充分ではありませんでした。

Mirandaの日記がもっとMirandaの心のうちを明かすのかと思ったら、別にそうでもなかったし。Turnerとの新婚生活の最初の数ヶ月なんて、日記1ページ分でまとめられてるんです…。
もっとこのMirandaがTurnerを一生思い続けてきたことが綴られている日記が、後になってTurnerの心を開く助けになるのかと思うと、最後のほうでTurnerがこれを見て「あぁ、本当に愛してくれてたんだね」の一言。
そ、それだけ!?

Mirandaが愛のない結婚はしないとずーっと心に決めていたのに、別にそんなに押しが強くもないTurnerの求婚にあっさりと3日で折れるのには脱力。
流産のことも、「祖母も母も経験した」であっさり終わっているのには「???それだけ!?」と何度もその周辺を読み直してしまいました。Turnerのコメントもなし…。
どうなってるの?

さらに、Turnerが「愛してる」と言えない理由は、Quinnの理屈は理解できても、私にはどうしても「言語障害!?」("L"だけ発音できないとか?)としか思えませんでした。普通そこまで態度で示したり心に感じていたら言えるもんでしょ、って。

Quinnは家族愛を描くのがうまくて、幼なじみや兄弟姉妹達のやりとりがとってもほのぼのとしているし、ひょうきんな部分も忘れてません。
でも、今回は過剰といえば過剰、それだけにうすっぺらな感じがしました。
毎回「絵に描いたような」ステレオタイプしか映し出さないせいでしょうか、単にウソっぽすぎるようにしか見えなくなってきました。
兄弟姉妹同士のやりとりも、今回のは特に幼稚すぎます。

もっと以前のようにドキドキさせるリージェンシーロマンスに戻って欲しいです!


(Spoiler終わり)


と、今回は辛口批評になりましたが、テンポがいいのでお話自体はスラスラと読めます。あまり細かいことをきにしなければ、もっと楽しめるかもしれませんね。
Bridgertonシリーズの最終回に比べたら挽回したほうでしょう。


>>Spotlight on Julia Quinn

Sin

2007年07月11日 | P-Q

Sharon Page. 2006. Sin. Aphrodisia Erotic Romance.

リージェンシー!
リージェンシー時代のふりをしたVシネマのようなものだと思っていただければ…。

Story:        
Dialogue:   
Hero:         
Heroine:     
Sensuality:  

Venetia Hamiltonの父はエロティカ専門の画家。でも手の自由が利かなくなってしまった父の代わりに密かに自分がその仕事を引き継いでいました。
実体験はないけど、これまでの父の仕事を見てきているので大丈夫なんだそうです。このお話にはそういう細かいつじつまが合わない部分もあるのですが、この本のポイントはそこではないので、悪しからず…。

この仕事で母親と妹を食べさせていたVenetiaですが、ある日突然、Trent伯爵(Marcus Wyndham)の訪問を受けます。
MarcusはVenetiaが密かに父の名前を借りて絵を描いていたことを知っていたばかりか、彼女に経験がないことが絵に出ているとズバリ指摘。
Venetiaはもうこれで自分のキャリアは終わりだ、妹や母にはどうやって食べさせていこうと愕然としていると、Marcusは生まれたばかりの彼の甥の肖像画の依頼をします。そしてこれからVenetiaの肖像画家としてのキャリア設立を手伝うことも約束します。

(ここまで平和に見えるあらすじですが、最初からすでにホットです)

が、しかし。Venetiaは後日ある娼婦から手紙を受け取ります。
手紙は、Venetiaと父の秘密を知っている、ばらされたくなければ金をだせという恐喝の手紙でした。

この娼婦なんですけど、ちょっと前にHRHでチョロっと紹介したHarriette Wilsonというリージェンシー時代No1の実在した高級娼婦のやったことをそのままお話に絡ませてありました。WellingtonがHarrietteの恐喝に対して送った返事もそのまま。

そして、こんなお金は払える可能性はない、なんとかこの娼婦と話をつけてこようと、彼女が参加するハウスパーティーへVenetiaも乗り込むことに。
もちろん、普通のハウスパーティーじゃぁないです
そして、もちろん同行してVenetiaを「守る」ことになったのはMarcusでした。

     

今までエロティカはそんなに読んだことがあるわけではないんですけど、その中でもこのお話は特に私にとっては「禁断」盛りだくさんでした。
これぞ、Sin…。
個人的には「私はこれはしない…」ということを作者は普通にお話に盛り込んでいるので、私のようにタジタジしてしまう読者もいるかもしれません。
とにかく、お尻を使ったシーンが多いんですが、これが大丈夫という方や嫌という方、興味がある方、と色々別れるかもしれません。

自分がタブーだと思っていることを読んだりして、しかも楽しんでしまったらなんだか自分が変体のようだと思ってしまうかもしれないですけど、実際に自分でやってるわけじゃないですからね!
私にとっても「これはチョッ…」って思うシーンは最初から最後までたくさんあったんですけど、でもとってもエロチックで楽しめました。

これを読んで解放されて下さい
色んな意味で…


From London with Love

2007年05月28日 | P-Q

Jenna Petersen. 2006. From London With Love. Avon Historical Romance.

Wallpaperだし、映画"Ch*lie's An*els"のヒストリカル版のような感じでオリジナリティーはありませんが、楽しめる部分はあります。

Story:     
Dialogue:
Hero:      
Heroine:  
Sensuality:

Meredith Sinclairは英国に仕えるスパイ。若くて美しい未亡人で、社交界では人気者です。
彼女の新しい任務は、小さい頃の遊び友達だったTristan Archer、Carmichael侯爵が絡んでいる謀反計画を探り反逆人を捕まえること。

十代の頃Meredithは、ゴロツキから襲われそうになったところを危機一髪のところでTristanに助けてもらって以来、実は彼に片思いしていました。が、なぜかTristanはそれ以降彼女をあからさまに遠ざけたため、傷つき、ロンドンデビューしてからすぐに別の男性と結婚していたのです。

Tristanのほうはと言えば、実はもちろん、Meredithのことをその頃から思っていました。彼女に対する気持ちがあまりに強く、自分を見失いそうになったのが恐くて彼女を遠ざけてしまったのです。

あと、バレバレなので書いてしまいますが、Tristanが謀反容疑者リストに入っているのは、もちろん彼が悪者だからというのではなく、実は彼にも事情があってこの悪者達に接近しようとしていたのです。

でも、彼のそんな裏事情を知らないMeredithは、事件を探れば探るほど、そして二人の距離が近くなればなるほど、Tristanの容疑を確証する証拠ばかり出てきてしまい、悲しい決断に迫られます。

       

ミステリーはかなり陳腐です。最初からなんでTristanがこの事件に関わっているのか、スパイ活動はしたことのない私がすぐに推察できました…。
誰でも分かるかと…。

Wallpaperだし、セリフも他のロマンス小説から借りてきたようなものばかりだし、全く目新しい筋書きじゃありませんが、でもヒストリカルロマンスで女スパイが主人公というのはめずらしいです。

ロマンス小説お決まりの筋書きにそってお話が進むし、ありきたりだけど女の子が一度は聞いてみたいくさいセリフなどが散りばめてあるところは以外にも楽しめるかもしれないし、
…はたまたウンザリしてしまうかも?

暇つぶしにどうぞ。


Tempting the Heiress

2006年08月13日 | P-Q
Barbara Pierce (2004) Tempting the Heiress
St.Martin's Paperbacks

Story:  
Dialogue:
Hero:    
Heroine:
Sensuality:

タイトルはお話の内容と全く関係ありません。
あと、シリーズ最初から読むことをおすすめします。
私は読んでなかったので全然楽しめませんでした。読んでいたとしても、ハートマーク3つくらいに収まったと思いますが。

Mr.Brock BedegrayneはずっとAmara Claegのことを好きでしたが、両家をまきこむスキャンダルのせいで、Brockはイギリスを去りインドへ渡りそこで数年を過ごします。
このスキャンダルというのは、Amaraの親が決めた婚約者がBedegrayneとケンカした直後にアクシデントで火事が起こり死んでしまうというようなことなのですが、結局詳しいことは最後までわかりませんでした。それにBedegrayneがその直後イギリスを去った理由はシリーズを全部読んでいないと全ては分からず、何がなんだか。
とにかく、数年後、再びAmaraが結婚するかもしれないという話を聞きつけ、今度こそは絶対に彼女を自分のものにするぞと決心してBrockは帰ってきます。

二人の過去が徐々に分かってくるにつれ、Brockのつらい片思いやAmaraの不幸な人生などがわかり同情もしますが、ロマンスファンの満足がいくようなロマンスがなく、シリーズを読んでいないとさっぱり分からない状況ばかりで、あまり楽しめません。
ネタバラシしてしまうと、この死んだはずの婚約者というのが生きていたのですが、このあたりのつじつま合わせが全く納得のいくものでなく、最後はダメ押しのオチにならないつまらないオチになっています。

私の好きな長年の実らぬ片思いのお話のようなあらすじだったので選びましたが、期待はずれでした。

On The Way To The Wedding

2006年07月14日 | P-Q

Julia Quinn. 2006. On The Way To The Wedding. Avon Historical Romance.

ユーモアたっぷりのラブコメ仕立てのリージェンシーならQuinnにおまかせ。
今回のはBridgertonシリーズ最終回。

Story:        
Dialogue:  
Hero:        
Heroine:    
Sensuality: 

Bridgerton家の末の弟、Gregoryがついに恋に落ちます。と、少なくとも本人はMiss.Hermione Watsonを一目見た瞬間、思い込みます。

が、Hermioneは別の男性の虜でGregoryのことも他の誰も目に入りません。

Hermioneの親友Lady Lucinda Abernathy(Lucy)は、Hermioneに一目でボーっとしてしまう紳士達には慣れっ子。
でもGregoryはこれまでHermioneに言い寄ってきた紳士達とは違い、うんと魅力的(とLucyの目には映る)。
Hermoineを身分の低い男性との悲恋から救うためにも、LucyはGregoryの恋の成就の手助けをすると申し出ます。

そしてGregoryを助けるうちにLucyは彼を好きになってしまいますが、婚約者のいるLucyにはどうすることもできません。
さらに、裏表紙のあらすじが全てネタばらししているように、GregoryがLucyのことを愛していると分かったときには時すでに遅し…。


随分楽しみにしていた今回の作品、シリーズ最初の方の作品ほどのおもしろさはありませんでした。
プロローグで、GregoryがLucyの結婚式に乱入するところから始まるのですが、これはお話におもしろみを与えるには逆効果でした。

さらに、GregoryがLucyのことを好きだと認識するのが残りのお話が3分の1くらいになってからなので、あまり二人のロマンスがありません。
あと、Gregory自身、ロマンス小説のヒーローとしての魅力があまりなく、これもお話に物足りなさを与える要因になったかな~。

それでもQuinnならではのユーモアは相変わらず冴えています。
ちょっと尻すぼみのシリーズ最終回ですが、軽快なラブコメものが好きなかた・飢えている方はお試しアレ。

>>Spotlight on Julia Quinn


Ravished

2006年07月03日 | P-Q

Amanda Quick (1992, 2005) Ravished.
Bantam

ずっと気になってた作品ですが、たまたまスーパーで見かけたので買いました。

Story:    
Dialgoue: 
Hero:     
Heroine:  
Sensuality:

Miss.Harriet Pomeroyは考古学にどっぷりはまっている天然ボケヒロイン。彼女のお気に入りの採掘場所である洞穴を、泥棒達が盗んできたものを隠す場所に使っていることを知り、領地主であるSt.Justin子爵、Gideon Westbrookを呼び寄せます。

しかし、村の人達が実はGideonのことを、過去に婚約者をレイプし妊娠させたあげく自殺に追い込んだと信じており、The Beast of Blackthorne Hallと呼んでいたことを後から知り、Harrietは少し戸惑います。
が、HarrietにはどうしてもGideonがそんな人には見えません。彼のことをまっすぐに信じるそんな彼女は孤独なGideonの心を少しずつ開いていきます。
             
他にも色々起こりますが、それは読んでからのお楽しみ…。

             
ずっとお話を通して、誰もGideonの言い分を聞こうとしないのに、Harrietだけが彼のことを信じて疑わないのは良かったです。尊敬します。

でもこの作品だけでなく、天然ボケのヒロインの突拍子もない言動には、個人的にヒロインとしての魅力を感じないので、評価が下がりました。

ミステリーのほうはQuickにありがちな予測可能なお話の展開ですが、その分、安心してロマンスを楽しめます。

An Enjoyable Read


Everything and the Moon by Julia Quinn

2006年06月22日 | P-Q

Julia Quinn (1997) Everything and the Moon.
Avon.

Story:     
Dialogue:  
Hero:       
Heroine:    
Sensuality:

Quinn自身も「一目惚れ」には懐疑的だったけど、お話を書き進むにつれ信じるようになったと読者へのメッセージで告白しています。私もこれを読んで信じるようになりました。

牧師の娘であるVictoriaと伯爵家の息子Robertは、一目で恋に落ちましたが、双方の父親が介入し、二人の仲は悲劇的に切り裂かれます。
そして7年後二人は再会します。

7年前あんなひどい形で自分を捨てた男のことはもう二度と好きになんかならないゾとRobertを避けようとするVictoria。一方、自分を裏切ったひどい女だと思っていたけど、昔より女らしくきれいになったVictoriaを忘れることができず彼女を追い掛け回すRobert。

やっぱり自分にはVictoriaしかいないんだ、とRobertは彼女を説得しようとがんばりますが、Victoriaはまた傷つくのが怖くて、かたくなです。
これが切ない

Spoiler
書かずにはいられない・・・。
ずっと前に読んだんだけど、このシーンはずっと心に残ってます。

RobertがVictoriaから借りたハンカチをお礼のお菓子と一緒に返し、そっと窓の外からVictoriaの反応をうかがっていたシーン。
ずっとかたくなに拒否され続けてきたので、Victoriaが
、Robertの残り香を探るかのようにそっとハンカチを顔に寄せたのを見て、彼女は自分のことをまだ少しでも思ってくれているんだ、もしかしたらまだチャンスがあるかもとしれない、と涙ぐむRobert。
男性をそこまで
切ない気持ちにさせるVictoriaがうらやまし~。

                      
Quinnらしいユーモアもたっぷりで、ありきたりのストーリーラインを個性的に仕上げた一冊。 オススメ。


The Viscount Who Loved Me

2006年04月28日 | P-Q
The Viscount Who Loved Me
By Julia Quinn (Dec,1, 2000) ジュリア・クイン

ずっと前にレビューしたと思い込んでいたらしてませんでした。大のお気に入り、ジュリア・クインです。
リージェンシーファンなら避けて通れないBridgerton Familyシリーズ!彼女の作品はラブコメ仕立てで楽しいです。
これももうずいぶん前に読みましたが、お気に入りなので。

Story:     
Dialogue:
Hero:    
Heroine:  
Sensuality: 7/10

最初主人公の二人はお互い嫌悪しあいますが徐々に惹かれあっていきます。 ヒーローはメチャメチャハンサムで上流社会では花婿候補一位なAnthony Bridgerton子爵。もちろんお金持ち。

ヒロインはちょっと地味なSpinsterでBluestockingなKate。このヒロインの設定私は好きです。

Anthonyは跡継ぎをそろそろ確保しないといけないというプレッシャーから重い腰を上げて結婚する決心をします。子爵婦人に最適だと自ら選んだ花嫁候補は、かわいくて大人気、ヒロインKateの妹です。
姉であるKateは純真な妹を「女たらし」の毒牙から守るため子爵が妹にアプローチするのをことごとく邪魔する決心をします。

ことごとく邪魔しなくても、結局、Anthonyは最初は少しイライラして見せたけど、すぐに頭が良くて機知に富んだKateに魅かれていきます。実はきちんと着飾ればきれいなKate。

Spoiler
結局二人が結婚した理由は二人がスキャンダラスな状態でいたのを発見されたから(この展開も好き)ですが、結婚後、二人が愛し合っていく様子も飽きることなく読むことができます。

二人ともそれぞれ、ある過去の記憶に悩まされていて、特にAnthonyは素直にKateとの関係に面することができません。お話の後半では二人が理解しあい関係を深めていくことによってそれぞれのつらい記憶から解き放たれていきます。 他のキャラ達も楽しめます。

本棚にキープしておきたい一冊です。

One Perfect Rose

2006年03月17日 | P-Q
One Perfect Rose
By Mary Jo Putney メアリー・ジョー・パトニー (Apr,1998)Ivy Books

Fallen Angelシリーズです。
Story:    
Dialogue: 
Hero:    
Heroine: 
Sensuality: 7

涙、涙の感動もので主人公たちの感情がよく描かれているので、星4つか5つが相応しいと思う人がアマゾンには多いのですが、私からはハート3つと半です。
お話はありふれたプロットなのでハート3つですが、作家の筆力のおかげでよく書かれているので小さいハート1つ付け足します。
これも別にHRでなくてもいいお話です。

ヒーローはスティーブン、Ashburton公爵です。ある日、お抱え医師から「不治の病」と診断されあと6ヶ月ほどの命と宣言されます。気持ちの整理をするために身分をかくして出た旅先で、ヒロインのロザリンと出会います。

フランス革命で両親を無残に殺され孤児となっていたロザリンは愛情深い旅芸人夫婦にロンドンの街角で拾われ養女として育てられました。優しくて思いやり深い女性です。

二人はスティーブンが気持ちの整理をつけるために出た旅先で出会い、恋に落ち、残りわずかな人生を共に過ごすために結婚します。二人のダイアログは大人の静かな恋を描いており、二人の魅力が引き出されています。性格や心理描写も優れているので「今死ななければいけないなんて不公平だ!」という絶望的な感情がよく伝わってきて、泣かずにはいられません。

ですがお話も中盤をすぎてくると内容の暗さがかなり単調になってきます。最初から最後のエピローグ寸前まで、スティーブンは「不治の病で残りの命あとわずか」の悲劇を繰り広げます。が、ハッピーエンドはロマンスノベルのお約束で、ヒーローが死なないのは分かっているので、早いうちに事件解決を持ってきたようが良かったかもしれません。

最初から最後まで、何が原因でスティーブンが病気なのか(=医師の処方した薬)、誰の仕業か(=医師)、最後はどうなるか(=死なない)が分かるので、あまりに暗いシーンの時はページを飛ばして早くハッピーエンドを読もうかと思いました。

しかも、あらすじでほのめかされているような身分の違いから生まれる悲哀はほんの一瞬だけで、話の展開にあまり影響はありません。
あと、危篤の時に「死後の世界」をスティーブンは経験しますが、これはメロドラマチックすぎです。

作者の表現力は優れているし、感動物のお話につられてつい星を4つ5つつけてしまいがちなのでしょうが、お話自体はありきたりで単調です。

この作品は泣きたい気分の時にどうぞ。

Desire

2006年03月10日 | P-Q
Desire
By Amanda Quick (1994)

Story:   
Dialogue:  
Hero:    
Heroine:  
Sensuality: 6

今回はリージェンシー時代ではなく、ヘンリー2世(在位1154-89)の頃のお話です。

ヒロインはDesireという島の所有者Lady Clare。独立した精神の持ち主で快活な性格です。

ヒーローはGareth。悪に対しては冷ややかで非情だというので有名な騎士。実はものすごく優しい性格で頭もいいという、ロマンスノベルの模範ヒーロー。

Clareは両親が亡くなってから一人で島を守る努力をしてきましたが、自分一人では限界にきたので、島や島の人たちを守るためにも、騎士と結婚しようと決心します。早速後見人に花婿の好みを書いた手紙を送り、リストに当てはまる相手を3,4人選んで送るようたのみます。
しかし後見人が選んだ相手とは後見人自身の息子Gareth一人でした。

Garethは庶子であるため土地財産を受け継ぐことができません。Clareと結婚すれば自分自身の土地を手に入れることができるのですんなりOKします。

しかし、GarethはClareが後見人に依頼した好みの男性像とはまったく違う野蛮そうなマッチョマンなので、Clareは最初は戸惑います。

全体的には、Clareが頑固にヒーローを拒むわけでもなく、ヒーローもヒロインを一生懸命説得しようとするわけでもなく、ライバルが現れるわけでもなく、ロマンスはあっさりとしています。あとは脇で殺人事件がありますが、お粗末です。

ヒーローの優しい性格というのはよく描かれていたのですが、容姿の描写が乏しかったです。ただただ「Large」「savage」という言葉をやたら使うので、ターミネーターのような体を想像してしまいます。また、どれだけ剣に長けるかとか、どのように悪者を成敗してきたかなどさんざん騎士としての名声を書いておきながら、期待させたほどヒーローは活躍しません。

あと、令嬢であるヒロインが香水を開発する仕事をしているのは信じがたいです。脇役もあまり存在感のない人たちばかりです。

これといって内容の濃いお話ではありませんでした。