ヒストリカルロマンスアワー

Historical Romance Hour

The Sins of Lord Easterbrook

2009年05月18日 | H-I
Madeline Hunter. 2009. The Sins of Lord Easterbrook. Dell.

Hunterのホームページでは「シリーズ」ではなくて"Linked"とされているけど、"The Rules of Seduction"から始まってるシリーズのようなもんですね。

Story:      
Dialogue: 
Hero:       
Heroine:   
Sensuality:

父の貿易会社を倒産に追い込み、父の死を早める原因となった張本人をあばくため、Leona Mongomeryはマカオくんだりから英国へやってきます。
そこでChristian(Easterbrook侯爵)と出会いますが、なんと彼は7年前にマカオで情熱的な初恋をした"Edmond"でした。

父の死の復讐をとげるためにはロンドン社交界へのコネが必要なので、Easterbrookの力を借りる(利用する?)ことにするLeona。が、よみがえる7年前の情熱的な記憶…。

Christianは、Leona自身は否定するけど、どうしてロンドンまでやってきたかお見通し。自分の力を借りたいことも。
でも今度こそ7年前に成就しなかった思いを遂げるため、彼は彼で思うところがあるのです…。

                   


M.Hunterは当たりハズレがあるのか、それとももう最初の頃のような激しさは期待できないのか…。

とにかく、今回のはハズレです。

7年前の二人の思い出というのがうまくお話と絡んでいないどころか、何があったの…?と希薄。
とにかく二人は惹かれあっていた、そして今も…と強引に持って行きます。
何年も何年も隔てて恋が成就するお話だということだったので楽しみにしていただけに、ちょっとがっかり。

そして、Leonaは7年前はあんなにも貞節を守ることにこだわっていたのに、今回はあっさり…。

サスペンスのほうは阿片密輸のことに集中し、ロマンスのお話としては印象深くありません。


Book1: The Rules of Seduction
Book2: Lessons of Desire
Book3: Secrets of Surrender

The Least Likely Lovers

2008年05月23日 | H-I
Victoria Hinshaw. 2005. The Least Likely Lovers. Zebra Regency Romance.

中篇もの。ロマンス要素が薄いロマンス小説。
私からは

裏表紙のあらすじと内容が違います。
裏表紙には、ヒロインMiss. Kitty Stoneは夢にまで見ていた公爵との結婚が破綻になり失恋…とあります。しかもかわいい妹が公爵と結婚し、もうすぐ子供も生まれる予定。Kittyは公爵邸に移り住むことになるのですが、そんな二人の幸せな姿を見ていられないので、何か気を紛らわしてくれるようなことが起こらないかと祈っている…、ということです。

が、実際は、かなり頼りない詩人気取りの公爵とちょっとオツムの弱い妹が結婚してくれてかなりホッとしているKitty。
ロンドン社交界で"Jilted"と後ろ指刺されゴシップのネタにされるよりは、田舎にある公爵邸へ行ったほうがマシ(本当は住み込み家庭教師になりたいけど)という感じです。


公爵邸では、公爵の母がKittyの妹をイジメていたり、Kittyと彼女達の母親を粗末に扱ったりするのですが、そんなお母様はかなりPsychoです。
戦争から帰ってきたばかりの公爵のいとこMajor Jack Whitakerを比べて自分の息子でさえもボロクソに批判します。

お話中では、KittyとJackはすぐに息が合い、公爵邸内のことを改善しようと協力し合います。

お話はそのサイコな母親のことに集中していて、ロマンス小説を読んでいる気持ちにはほとんどなれませんでした。
H/Hが関係を築く様子は分かったけど、ロマンチックとは言いがたいです。


「この時代にカウンセラーがいたらな~」と思いながら読む羽目になる一冊ですね…。

The Devilish Pleasures of a Duke

2008年02月25日 | H-I
Jillian Hunter. 2007. The Devilish Pleasures of a Duke. Ballantine.

「まさか少女小説に変わってないよね?」と思ったほどちょっと表現など幼稚な感じがしたのですが、ラブシーンが始まると「アワワ」。やっぱり普通のロマ小でした。

Story:      
Dialogue: 
Hero:       
Heroine:   
Sensuality:

公爵家の跡継ぎAdrian Ruxleyは放蕩者で有名ですが、女性が襲われそうになっているのを見て見ぬ振りするような輩ではありません。
友人に招かれて突如出席することになった結婚式の場で、Emma Boscastleがある男性からしつこく言い寄られているところに救出に入りますが、Adrianは大怪我をしてしまいます。
結果、Emmaの自宅・兼・学校がある邸宅(結婚式会場でもあった)で看護してもらうことに。

常に生徒の見本でなくてはいけないと信じていて、四角四面で厳しいと定評のEmmaですが、容姿端麗で本当は優しく、Adrianの好みそのもの。彼女が心配してくれるのが嬉しくて、回復してもずっと彼女の側にいたくなります。

Emmaは、生徒達の手前、こんな女たらしとは仲良くすることも許されないと分かっているのですが、Adrianに近づけば近づくほど彼に魅了されてしまう自分のことが信じられません。
同時に、教師としての気質から、彼をきちんとした紳士に改造しようと試みますが、ことあるごとにAdrianから誘惑に負けそうになってしまいます…。

              

全体的にこのお話はあまり深みがありません。
Emmaの魅力がこれといってないというか、どんなシーンからも伝わってきません。
Adrianのキャラクターや、彼の家族との問題もあまり掘り下げていないことなども原因かと。


Julia QuinnのBridgertonシリーズとまではいかないけど、このBoscastle家シリーズもボチボチ読まれているようですね。
Book1とこのBook6は比較的アマゾンでの評価がいいので読みましたが、あとは、うーん、どうしようかな…というところです。


Book1: The Seduction of an English Scoundrel
Book2: The Love Affair of an English Lord
Book3: The Wedding Night of an English Rogue
Book4: The Wicked Games of a Gentleman
Book5: The Sinful Nights of a Nobleman

Venetia

2008年02月22日 | H-I
Georgette Heyer. 1958/2004. Venetia. Arrow Books.

私からは大満足の!

25歳になるVenetia Lanyonは、Harrogate生まれ・育ち。でも必ずしも世間知らずというわけではなく、聡明で弟思いの優しさを兼ね備えた美人。求婚者も絶えません。

この求婚者2人というのが、少し自分勝手で冴えないんです。
この二人がこれ以上何も思い込まないように、でも怒らせないように適当に相手をすることにうんざりしながら、Venetiaは平穏な日々を送っていました。

そしてある日、Venetiaは悪名高いLord Damerelと劇的な出会いをします。

自分よりもずいぶん年上のDamerel(38歳)ですが、Venetiaは生まれて初めて自分の言っていることを理解してくれる人と出会えたと心から実感。笑いも共有できる友人ができたと、彼と過ごす時間が増えます。

一方Damerelのほうは、美しく、ユーモアもあり、曇りないまなざしのVenetiaに対し、初めてあった瞬間から友情以上のものを感じていました。

Venetiaの弟の怪我がきっかけで急激に親しくなる二人ですが、Damerelの過去のスキャンダル、Venetiaの周りの人たちの介入や、求婚者達のジェラシー、そしてVenetia自身の生い立ちのことなど影響し、二人のロマンスはイバラの道です。

                   

H/Hのウィットに富んだ会話も、Venetiaが求婚者達をうまくかわす様子なども、「ぶっ」と吹き出してしまうほどユーモアが冴えてます。

H/Hの絡みもラブラブ。
すごくロマンチックで二人の姿が今でも目に焼きついています。

二人の劇的な出会いをここでチラっとドウゾ:
  "Oh, how full of briars is this working-day world!
  Well, fair trespasser, you are justly served, aren't you?' he said. 'Stand still!'
  She remained obediently motionless while he disentangled her skirt from the brambles. As he straightened from himself, he said: 'There you are! But I always exact a forfeit from those who rob me of my blackberries. Let me look at you!'
  Before she had recovered from her astonishment at being addressed in such a style he had an arm around her, and with his free hand had pushed back her sunbonnet. In more anger than fright she tried to thrust him away, uttering a furious protest. He paid no heed at all; only his arm tightened round her, something that was not boredom gleamed in his eyes, and he ejaculated:
  'But beauty's self she is . . .!'
  Venetia then found herself being ruthlessly kissed.

馬小屋で子猫をの様子を見ていたVenetiaとDamerelのラブラブな様子もお気に入りの場面の一つです。
でも、こういう風に二人がいい雰囲気になってる時に限って、弟のAubreyがひょっこり顔を出すんです。その辺、コミカルでした。H/Hのウキーッ!というイライラが聞こえてきそう。特にDamerelの。

他の方の不評も耳にしましたが、私はこれ、お気に入りリスト入りです!

>>Spotlight on Georgette Heyer



先日、別の作品のオーディオを借りてきたのですが、最初の数分だけ聞いて返しました。朗読を楽しむどころじゃなくて、黙読のペースで読みたいとばかり思ってしまい、楽しめませんでした。
P&Pなど知っているお話なら朗読を聞いてもいいかなと思いましたが。

The Serpent Prince

2007年12月13日 | H-I
Elizabeth Hoyt. 2007. The Serpent Prince. Forever: Grand Central Publishing.

Princeトリロジー3作目。

Book1: The Raven Prince
Book2: The Leopard Prince

最終回の私の評価は、アマゾンで絶賛している人たちよりはいくらか冷めているハートマーク3つ半です。

Story:        
Dialogue:   
Hero:         
Heroine:      
Sensuality:  

田舎育ち・暮らしのLucy Craddock-Hayesはある日、道端で素っ裸で意識不明で倒れている男性を発見し、家につれて帰り看病します。
それ以来、Lucyの単調な生活は180度変化します。

殺される寸前まで殴られ道端に放置されていたのはSimon Iddesleigh(Iddesleigh子爵)でした。

兄の死に対する復讐の念に捕らわれたSimonの心はすさんでいたのですが、Lucyに看病されるうちに、彼女の純粋さに触れ、彼女のような人が自分の人生には必要なのではないかと思い始めます。

ですがSimonは実は、兄を死に追いやった人たちを探り、次々と決闘で復讐を果たすという目的があり、このことにLucyを巻き込むわけにはいかないので、距離をおきます。


赤いヒールの靴は履いてるけど、ニヒルで、洗練されたマナーのSimonに対し、Lucyが片思いし始めるのに時間はかかりませんでした。
Simonが身も心もすり減らして復讐する様を見て、Lucyは自分の愛で彼を救えないかという思いに駆られます。

                              

1作目のThe Raven Princeを読んでから、このSimon Iddesleigh(Iddesleigh子爵)のお話をちょっと楽しみにしていました。
実際、期待を裏切られた感はなく十分楽しめました。
Simonの奥深さがよく表されていました。(ジョージ1-4世期特有の格好もすごかったけど…
復讐のため、決闘、決闘の日々で心がやつれていくんだけど、「天使ではないか」と最初錯覚したLucyの存在のおかげて自分の暗い人生に一筋の光を見つけます。それにすがるような彼の気持ちは読んでいて切なかったです。
特に、後半はお話がガラッと変わって、彼のこういう部分に集中しています。
前半は、Simonのニヒルなユーモア目白押しのLucyとの会話が楽しめます。

でも、アマゾンで★★★★★を残している人たちの感動っていうのは一体どこから来るの?という感じもあります。
RT Book Reviewsでも★★★★1/2だけど、この雑誌は、前にも言ったけど気前がいいです。そこの読者からは★★★です。

後半が特に、H/Hの会話が少なくなり、二人の関係が深まっていく様子が十分ではありませんでした。
LucyがSimonを救うのかと思ったら、それも私が納得のいくような展開ではありませんでした。


<Spoiler Alert> ちょっとネタばらし

LucyがSimonをどうやってこの決闘や復讐の念のドツボから救うのかなーと思っていたのですが、結局、Simonは最後の最後まで決闘という名のもとに「殺人」を繰り返し、Lucyはそんな彼をキリスト教精神で許すことによって、二人はうまく行くんです。
あんた達は何様だー!!!て感じでした。

<Spoiler終わり>



Hoytの次のシリーズはThe Legend of the Four Soldiersだそうで、1作目は"To Taste Temptation"。2008年5月出版。
第1章の抜粋が彼女のサイトで読めます。


The Leopard Prince

2007年11月25日 | H-I
Elizabeth Hoyt. 2007. The Leopard Prince. Forever.

Princeシリーズ2作目。
Book1 : "The Raven Prince"
Book3 : "The Serpent Prince"

このシリーズはアマゾンでは人気のようですね。
でも私の中ではそんなに印象的ではありません。ずっと前に読んだというのもあり、お話の内容もその時感じたこともあんまり覚えていません。
悪くはないんですけどね。

Story:    
Dialogue:  
Hero:    
Heroine:  
Sensuality: 

Lady Georgina Maitlandは、裕福だし、独身女性にしては結構自由な立場にあるので、今の人生で十分満足していました。だから結婚して旦那に縛られるなんて嫌。結婚は考えていません。
そんなLady Georginaですが、敷地の管理のための執事が必要となりHarry Pyeを雇います。
でもGoerginaはこの召使として雇ったHarryの男としての存在感や色気に気づかずにはいられません。

Harryは貴族達の執事として働きながら、とある貴族紳士に仕返しをするための機会をねらっていました。
貴族達には全体的に良い印象を持ってなかったHarryですが、これまで出会ったたくさんの貴族の中でもLady Georginaは他の貴族達とは違い、自由奔放でユーモアがあり、魅力的。

二人ともお互いの立場や身分の違いは十分承知していますが、それでも、否定しがたい気持ちは膨らむ一方。

そんな中、領地内の羊が次々と毒殺されたり、村人の殺害事件がおこります。そして容疑はHarryにかかりますが、ただ一人、Lady GeorginaだけはHarryの味方でした。


         
召使とのいけない関係モノとでも言うんでしょうか(笑
ちょっと「チャタレー夫人の恋人」を意識?

最初に言ったとおり、このLeopard…は傑作とは言いがたいと思うし、私の興奮するようなあらすじではないので初めからあんまり「すぐ読みたい!」と思うほどではなかったのですが、それでも十分楽しめました。

Julia Quinnのような軽快で楽しめるお話に飢えていたなら、このシリーズももっと楽しめるんだろうなーと思います。

To Scotland, With Love

2007年11月19日 | H-I
Karen Hawkins. 2007. To Scotland, With Love. Pocket Books Romance.

ヒーローがスコットランド人というだけで、題名はお話の内容とは一切関係ありません。
(だからしばらくの後にレビューしようと思っても、題名から内容が思い出せなかった…。)

Story:      
Dialogue: 
Hero:       
Heroine:   
Sensuality:

Lord Gregor MacLeanとVenetia Oglivieは幼なじみ。
二人とも30代中半~後半の独身です。
Gregorとその兄弟達は、ちょっとした能力を持っていて、Gregorの力とは、怒ると雪を降らすことができるというものです。


ある日、いつものようにGregorが午後のおでかけのためにVenetiaを迎えに行くと、Venetiaは誘拐され行方不明になっていました。

Venetiaは誰にでもフレンドリーで優しいので、彼女の父のとりまきで彼女にもちょっとだけ思いを寄せていたちょっとオツムの弱い男性にだまされ、グレトナグリーンへ向かっていたのです。

Gregorは慌ててVenetiaの後を追いかけます。

が、しかし。
追いついた先の宿でVenetiaと顔をあわせると、レスキューしてくれた喜びの表情も見せません。

Venetiaは、自分がだまされたことが途中で分かったので、宿に着いた時点では、このことが公になってしまう前に自分でなんとか解決しよう・できるだろうと思っていました。
だからGregorが乗り込んできたことによって計画が台無しになるとイライラ感を抑えることができませんでした。
しかも、彼はレスキューしてやったという態度だし。

ですが、あまりにもVenetiaがGregorをイライラ怒らせるので、雪は深まり吹雪に。
VenetiaもGregor(もVenetiaを連れ去った男性も)その宿でしばらく立ち往生することになってしまいます。

                

ロマンス本専門店のお姉さんのオススメで買いました。
「なんか、Baloghのようなドカーンとくるいいやつが読みたい」などというわがままなリクエストをすると、「これはどう?あれはどう?」とお姉さんが指差すものはほとんど読んでる私。
「じゃ、中世モノは読む?」と聞かれて「うん。」
このTo Scotland...と、C.Doddの"Once a Knight"を、「う~ん、この2冊いいと思う…。私は楽しめたよ」と渡されました。
Doddのほうはまた今度レビューします。
このTo Scotland…、悪くはなかったけど、満足度には欠けます。

GregorとVenetiaは何年来もの幼なじみ。
しかもほとんど毎日顔をつき合わせている関係です。
だから、30歳を超してから初めて(?)お互いを異性として意識することになったきっかけが、Venetiaの誘拐(駆け落ち失敗)。
と筋は良かったのですが、もっとこの時点でのGregorの気持ちが知りたかったです。雪がどんどん降り出して…、と超自然の力が影響することで描かれていたんだろうけど、それでももっと彼自身の声が聞きたかったです。
Venetiaのほうにしても、同じです。
やっぱり、これまでのズルズルとしてきた友情関係から一歩踏み出すことになるので、これまでのお互いの気持ちと比較したり、友情以上の関係について考える二人の声というのが足りないように思いました。

全体的には、それでも十分楽しめるし、他の兄弟のお話も読んでみる気にはなりましたよ。

Arabella

2007年09月25日 | H-I
Georgette Heyer. 1949, 2004. Arabella. Arrow Books.



今回も満足させてもらいました。
280ページほどの少し短めのお話だけど、内容は十分。数ヶ月前に読んだけど、今でも登場人物それぞれが印象深く記憶に残っています。


          

容姿端麗なArabellaは裕福ではない牧師家庭出身ですが、ゴッドマザーのおかげでロンドンで社交界デビューすることに。

ロンドンへ向かう途中の宿でArabellaは、Mr.Robert Beaumarisとその友人に出会います。

Mr.Beaumarisは"The Nonpareil"とあだ名されるほどのお金持ちでハンサムで花婿候補No.1。
そんなMr.BeaumarisがArabellaのことを、どうせ顔がかわいいだけで彼の財産目当ての女だろうと決め付けるので、Arabellaは「ただのダンディーのくせに!」と腹が立ち、ギャフンと言わせるためにArabellaは自分は資産家令嬢だとウソをつき、さらにダンディーもこき下ろします。

>>Arabellaがウソの話をするシーン。笑えます。


これがBeaumarisのArabellaに対する興味を引くことになり、ロンドンへ着いてからもBeaumarisがArabellaに会うために色々理由をかこつけるところがかわいいです。

ですが無事にArabellaがデビューを果たした後、Beaumarisの友人の口からArabellaはお金持ち令嬢だといううわさが広まってしまい、Arabellaは図らずも一躍社交界の華に。

彼女が社交界の華になったもう一つの理由に"The Nonpareil"、Beaumarisの存在もありました。Beaumarisは、彼がやることならみんな真似するほどのセレブなんです。

Arabellaは、ハンサムなだけでなく、何かあるたびに手助けして親切にしてくれるBeaumarisの魅力に惹かれていくのですが、自分がついたウソのせいでBeaumarisどころか誰のプロポーズも受け入れるわけにはいかなくなっていたのです…。

        
私のハートマーク評価が少し減ったのは、Mr.BeaumarisのArabellaに対する気持ちの描写がもう少しあっても良かったんじゃないかなーと思ったからです。

でも、'The Nonpareil'、忘れがたいいい男です



>>上のと同じサイトでArabellaをモデルにしたかわいい陶器人形が見れます。

>>Spotlight on Georgette Heyer

Lady Be Bad

2007年09月14日 | H-I

Candice Hern. 2007. Lady Be Bad. Signet Eclipse Historical Romance.

Merry Widowsシリーズ。

Book 1: "In the Thrill of the Night"
Book 2: "Just One of Those Flings"

今回のBook3では、どうしてH/Hが知り合って、そして二人っきりの状態からお話が始まっているのか、Book2から読んでいないと分かりません。
いっそのこと、H/HがかわいいのでBook1からどうぞ。

Story:   
Dialogue: 
Hero:    
Heroine:  
Sensuality: 


John Grayson(Roshdale子爵)が今回のヒーローですが、特にBook2では「嫌な男」になってます。でも、なんだか奥が深そうな人物で気になっていました。
このBook3ではみごとに且つ徐々に、周りの先入観を打ち破っています。

あらすじはお定まりですが、Rochdaleが友人とある賭けをします。
女たらしのRochdaleたるもの、どんな女でも落とせると酒の勢いで発言。
そうすると友人が、じゃぁ、Grace Marloweを落としてみろ、見事成功したらRochdaleが前からよだれが出るほど欲しがっていた馬をあげる、と。

大司教Marloweの若き妻、今では未亡人となったGraceは、有名な大司教の妻として、「妻のお手本」となるよう司教自身から教育され、人生の一分一秒をそこから逸れないよう生きていました。

でも、いつの頃からかRochdaleが自分に付きまとってくるようになり、Graceはなんだか嬉しいような、でも大司教の妻にはスキャンダルは無用!と、イライラ。
でもでも、ハンサムでセクシーなRochdaleの魅力に惹かれていくにはあまり時間はかかりませんでした。

Rochdaleのほうも、典型的なつまらない「大司教の妻」だと思っていたGraceが実はかわいらしくて情熱的な人だと分かり、惹かれていきます。

ただ、あの「賭け」のことがばれると・・・、という時限爆弾付きのお話。

という風に、お話の展開は予測可能で、以外な展開はありません。はっきりいって、つまらないと感じる部分もありました。

でも、このお話を忘れがたくて印象深いものにしているのは、ヒーローの口から出てくるセリフです。
フェミニズムの入門書のようなセリフで埋め尽くされています。

この7、8月に日本に帰った時は、日本の性差別(とタバコ)問題は世界の先進国からかーなーり遅れていると改めて実感しました。
日本の性差別の問題は、卑下される身分に自ら成り下がっているのに気づいていない女性が多いことにもあります。
だから
こういう本は日本人女性がもっと心地よく生きるためにもぜひ読んで欲しい1冊かもしれません。

社会 - このお話では宗教 - が作り出した「理想的な女・妻」の固定概念に縛られるな、まずは
「自分」らしく自分が生きたいように生きろ、という部分。「女らしさ」ばかりを追求していると、「自分らしさ」が押しつぶされるよ、と。

Rochdaleはそれを繰り返し、色々言い方を変えてGraceに話します(最初の動機は不純だったけど)。
「女性の貞操」とか「徳のある女性」というのは社会や宗教が作り出したもの。「母親」や「妻」の理想像もそうです。
もちろん、社会のメンバーである私達や宗教信仰者達がそれを実践してしまっているんだけど、でも気づかないと、それはいずれ個人個人の性格をつぶしてしまいます。
「女」だから(または「男だから」)という理由だけで個人の自由を奪ってしまいます。
そして果ては自尊心にも悪影響を及ぼします。「私はダメな女・妻・母親」なんだと。

経済的に独立して充実した人生を送っている29才の私の幼なじみタケコは、結婚していない、または「できなかった」(!)タケコのような女は、最近は『負け犬』とか『負け組み』って呼ばれるんよ、って力なく笑っていました。

このお話ではRochdaleのセリフを通して、そんな社会が押し付ける「理想」通りに生きる必要はないというメッセージが強烈に伝わってきます。自分の生きたいように生きるべきなんだって。
「女らしさ」にこだわるあまり、「自分らしさ」を失ったら、人生で一体何の得がある?「女らしさ」って何なの?誰が作り出したの?誰が「女らしい女」を好きなの?

Graceは自分の信仰心のせいで、なかなか「女の美徳」という固定概念からぬけられず「私はダメな女/妻なんだろうか」と苦しむのですが、私はそんなGraceの姿に、フェミニズムを知らなかった頃の私を思い出しました。「女だから」、「女のくせに」、「女らしくしろ」、etc…。

このお話では、RochdaleがGraceを「性」の固定概念から解放してやるところが強く出ており、フェミニズムで魂を救われ解放された女性の中の一人である私は、この、時代を超えた女性問題に対する理解を示したRochdaleに惚れてしまいました。

Book1、2ではなかなかの悪漢だったのに、彼の人物像が変化する様子も読んでいてすごく楽しかったです。


本当の私の声を聞いてもらえなかった頃を思い出した一冊でした。


Sylvester

2007年06月07日 | H-I

Georgette Heyer.  1957/2004. Sylvester (The Wicked Uncle). Arrow Books.

Salford公爵はGH作品中でもあんまり人気のないヒーローだそうで。

Story:     
Dialogue:
Hero:      
Heroine:  

レビューやりますやりますって言っておきながら、なかなかやらなかったのは、Sylvesterがロマンス小説の典型的なヒーロータイプじゃないから書きにくかったんです。
でもこうやって時間をおいてみると、読んでいる最中はあんまり好感がもてなかった公爵が、なんだか実在した人物のように思えてくるほど、実は奥が深い現実味のあるキャラクターなんだと実感してます。
(だから悪いこと書くと公爵の怒りが下りそうで怖かった? ) 

GHの人物描写って、ホント、冴えてます。

冷たくて高慢で、甥っ子の養育に関する考え方などから、嫌なところがまず目立つSylvesterですが、彼の公爵としての生い立ちとその立場や役目などから考えると、案外普通なんですよね。
他の人間は公爵として生まれ育っているわけもなく、彼の権力の恩恵に授かるかつぶされるかの立場なので、彼を本当に理解してくれる人は少ないだろうとDowager Duchessが心配する気持ちが今になってよく分かります。
ちょっと、Baloghの"Slightly Scandalous"のWulfricと共通点もあるように思います。

そんなSylvester、ある日結婚しようと決めます。
公爵として、これも義務のうち。花嫁候補のリストも作って母親に見せます。
爵位アリ、富アリ、ハンサム、と完璧なSylvesterは誰もNoと言うとは思ってもいません。

他にも意見を仰ぐと、Godmotherの薦めで彼女の孫Phoebe Marlowの名前が挙がります。
あれよあれよという間に、公爵とPhoebeの父親との間で話が進み、あとは実際に会って、婚約してしまうだけという段階に。

が、実際Phoebeと会ってみると、地味でおとなしくてつまらない感じの彼女や、彼女の浅はかな継母にげんなりするSylvester。
直後、Phoebeが幼なじみと家出したことでこの縁談はご破算。Sylvesterは事が公になる前にロンドンに帰れるので、ホッとします。

ただ、ロンドンに戻る途中、吹雪と事故で足止めを食っていたPhoebeと再会。
まさか自分と結婚したくない人がいるとは思ってもいなかったので、はっきりと「ヤダ」というPhoebeがなんとなく気になる公爵。
それに、厳しくてイジワルな継母が側にいないので、パワー全開の彼女の(失礼なことも平気で言う)不思議な魅力に惹きつけられ、「こんなこと放っておいたほうがいい」という頭の中の声を無視して、助けます。
が、そうしたが最後。次から次へと予期せぬことに巻き込まれていきます。

ドキドキロマンスというようなお話ではありませんが、GH特有のジェットコースターのようなお話の展開を楽しめます。

おもしろいのは、Phoebeは実は以前にSylvesterに一度だけ会ったことがあったのですが、それ以降全くいい印象を持っていませんでした。
彼を悪役モデルにゴシック小説を書いていたほど。

しかも、出版間近!

でも、公爵のことを知れば知るほど彼の人柄の良さが分かり、Phoebeは出版を阻止しなければ!と躍起になります。が、どうなるかは読んでからのお楽しみ…。

私は最後の最後まで公爵の近寄りがたいイメージは消えなかったけど、やっぱそこは純粋な大胆さで返すことができるPhoebeだからこそうまくいくんでしょうね。

楽しめる一冊。

>>Spotlight on Georgette Heyer


The Raven Prince

2007年04月23日 | H-I

Elizabeth Hoyt. 2006. The Raven Prince. Warner Books Historical Romance.

Julia Quinnが"I didn't want it to end"と自身のホームページでもオススメしている(た?)一冊。
Quinnが好きなら楽しめます!

Story:      
Dialogue: 
Hero:       
Heroine:   
Sensuality:

未亡人Anna Wrenは亡くなった夫の母と、新しいメイドとの3人暮らし。
暮らしに困り始め、Swartingham伯爵の女性秘書としての仕事を引き受けることに。

その伯爵、Edward de Raafは、幼い頃にかかった伝染病で顔に醜いあとが残っており、家族もみんなその病気で亡くなっています。

まったく陽気な様子はなく短気なところもあるので、幼少時代を過ごした屋敷に戻ってきて短期間の間にすでに2人も秘書が逃げて行ってしまいました。

最初はこの新しい秘書が女性であるということに躊躇したものの、仕事ができるばかりでなく、彼の短気な性格に物怖じしないAnnaに感心します。

Annaはこれで収入が確保できたし、伯爵は仕事がスムーズに運ぶ、と双方満足なのですが、問題が一つ…。
伯爵はAnnaの唇から目が離せないのです。

問題は2つ、というべきかな。
Annaも伯爵と打ち解けていくかたわら、彼の魅力にも抵抗しがたくなってきます。

そして、そんな緊張感が頂点に達するかと思われたころ、伯爵は急遽ロンドンに仕事に行くと言って去ってしまいます。

Annaは、実は伯爵はロンドンでも屈指の高級売春宿に行くんだということが分かると、「自分ってそんなに女として魅力がないのか」と愕然すると同時に、彼が他の女性と一緒に居るところを想像すると怒りが沸き、その売春宿に潜り込むことにします…。

       
Annaは仮面をかぶって伯爵と熱い2夜を過ごします。
でも、いくら仮面かぶってても分かるもんじゃないの?って 
他にも、後半の(Annaの変装がばれてからの)伯爵の言動で納得のいかない部分もありますが、全体的には軽快で熱いロマンスを楽しめます


Book2: The Leopard Prince
Book3: The Serpent Prince


Dangerous Love

2007年02月17日 | H-I

Cynthia Harrod-Eagles. 1997. Dangerous Love. Severn House.

Harrod-Eaglesはロマンス小説家というよりは、ロマンスありのドラマを書くんだと思います。かなりの大御所みたいだし、図書館にたくさん本があるのでずーっと気になっていたので、ちょっと味見にロマンスに重心を置いた
中編を選びました。

Story:     
Dialogue:
Hero:      
Heroine:  

これはヒストリカルではありませんが、ロンドンっ子のEmmaが貴族のような生活をおくるAkroyd家のGovernessになるお話。まさしく設定がヒストリカルのようだし、ヒロインEmmaもタイムスリップしてしまったような感覚に襲われるところがおもしろいです。

Emmaは妹達とロンドンで暮らしていましたが、教師の仕事をやめ環境を変えたいと思っていました。そんなある日Mr. Herbert Akroydの10歳の娘の住み込み家庭教師募集の広告を見て早速申し込みます。

メイフェアの大邸宅で家政婦のMrs.Hendersonと午後のお茶を交わしながら面接すると、早速ためしにLong Hempdonにある本宅で週末を過ごすよう頼まれます。

そしてEmmaはAkroyd家と対面してびっくり。
今のこの世にまるで昔の貴族のような生活を送っているAkroyd家。特に、ハンサムで高飛車に振舞う長男Gavinには冷たくあしらわれ、うまくやっていけるか心配になります。

Mr.Akroydの再婚相手Lady Susanの異世界の人のような言動に戸惑ったり、あまりに何も話さないGavinにムカついて反対に彼をからかったり、やきもちを焼く17歳の妹Zaraにイジメられても飄々とかわすなど、この機能不全の家族にもまれてもたくましくやっていくEmmaの様子は楽しめました。
後半は、EmmaとGavinが二人で過ごす時間がなく、ロマンスもおざなりになってしまっていますが、Gavinの実はEmmaが気になって仕方ない様子や幼い妹を思いやる姿が徐々に分かってくると、彼の魅力も増し、読み進むのが楽しい1冊でした。


>>Harrod-Eaglesのホームページ
彼女は大巨編The Morland Dynastyシリーズが有名なようです。
1434年のMorland家のお話から始まります。今のところ29巻まで出ています。
リージェンシーが好きな方は12-14、15巻あたり、その後のジョージ4世(元Prinny)の頃、また産業革命も絡んだお話なら16、17、18巻あたりで、ビクトリア期は前期・最盛期・後期と25巻目あたりまで続いているようです。
イギリスの歴史を勉強したいならこのシリーズは必読でしょうか


The Rules of Seduction

2007年01月12日 | H-I

Madeline Hunter. 2006. The Rules of Seduction. Dell Historical Romance.

最近気になってるHunter。今回はリージェンシーものの最新刊です。
Amazon.comでは星5つ、Rakehellでは"Don't miss it"のコメント、AARではB評価、The Romance Readerではハート5つと高い評価が並んでいます。

Story:      
Dialogue: 
Hero:       
Heroine:   
Sensuality:

彼女が書く中世モノのドラマチックなものと比べると、今回のリージェンシーはかなり地味な印象があるので、私からはハートマーク3つ半かなと最初思ったんです。でももう一度見直してみると、主人公2人は味があるし、ストーリーラインも複雑で、エンタメ小説でここまでやるか・・・とうならせるものがあります。他の登場人物も印象深く、新シリーズの最初としてはナカナカの始まりだと思います。

          
数学に長けたLord Hayden Rothwellと、親戚中の貧乏なお荷物Miss. Alexia Welbourneのお話。

Alexiaがお世話になっていたいとこTim Longworthがある日突然破産し、Alexiaは他に頼るところもなく、不幸のどん底に突き落とされます。
このニュースを告げに来た悪魔の使いのような人はHaydenでした。

Timの亡くなった兄BenとHaydenともう一人知り合いの銀行家は、共同の資金口座(訳?)をもっていたのですが、Timは密かに署名を偽造してお金を横領していました。
それがHayden達にばれ、Haydenはやるべきことをやります。
亡くなったBenは命の恩人でもあるので、Timの横領を世間にばらして絞首刑にさらすよりも、残りのなけなしの財産を全て売って少しでも借金返済に充て、破産して田舎に引っ込むように言いつけます。
Haydenは、「横領のことは秘密にしておいてやる。妹達といとこには好きなように説明しろ」とTimに言い残し、去ります。
しかしTimは、自分が嫌われるよりは他人が嫌われたほうがいいと、妹達とAlexiaに、HaydenがわざとTimを破産に追いやったとウソをつき、Haydenはみんなから憎まれることに

昔Benが死んだのも、Timが破産したのも一部は自分の責任だと感じているとても責任感の強いHayden。誰に頼ることもできなくなったAlexiaにHaydenは自分の姪の家庭教師にならないかと申し出ます。
自分の不幸の原因であるHaydenからのオファーである上に、貧乏ではあるけどレディーとして生活してきたAlexiaはプライドを飲み込み家庭教師となります。

一目合った瞬間から否定しがたいものが二人の間にはありましたが、AlexiaにとってHaydenは悪の使いのような存在だし、HaydenはTimに秘密は守ると約束したので自分からは何も説明できず、ピリピリした関係が続きます。

ある日その緊張した壁が崩れ、AlexiaとHaydenは衝動的に関係を持ち、二人は結婚することに。

数学の世界ならロジカルにすっきり答えが出るのに、Alexiaに対する気持ちは抽象的で複雑なので困惑するHaydenと、自分を不幸に追いやった憎むべき夫の魅力には抵抗できないAlexiaが徐々に深い関係を築いていきます。

どんなに自分が勘違いされても、自分に関する悪いうわさがながれても、「紳士の約束」を守り通したHaydenには脱帽。
ヒロインAlexiaはHunterならではの強くてプライドを持った女性。

ウソにウソを重ねた横領に加え、最後のほうはツイストもあるドッシリとしたストーリーラインになっています。(・・・どんな例えや


シリーズ2作目は"The Lessons of Desire"。Alexiaのエキセントリックなお友達で赤毛美女Phaedraと、Haydenの弟Elliotのロマンス。(3作目はRothwell家長男Easterbrook侯爵のお話かな

<Hunter作品のMy Review>
"
Lord of Sin"
"
By Possession"
"By Design"は草稿中ですが、これと"BY Arrangement"のレビューはVida Cotidianaさんちで読めます

Hunterの<
ホームページ


Insatiable

2007年01月10日 | H-I
Virginia Henley. 2004. Insatiable. Signet.

Story:   
Dialogue:
Hero:     
Heroine:  
Sensuality:

中世期の歴史の渦に飲まれる感触が好きな人は、Henleyをどうぞ。
私は以前レビューした"Infamous"にはがっかりだったのですが、それでもHenleyは何作も出版している息の長い人気作家なので、今回もう一冊手にとって見ました…。
が、私の好みではないことが今回分かりました…。

               
Patrick Hepburnはスコットランド人の元貴族出身ですが、爵位は父親である前伯爵の時に剥奪されています。
Patrickは将来を見通せる能力を持っているのですが、ある日、彼の「視覚」にネコのイレズミのある美しい女性の姿が現れ始め、一目で彼女が自分の将来の伴侶になると確信します。

エリザベス1世の宮廷に行って初めてこの謎の女性が女王の侍女Lady Catherine Spencer(Cat)だったと分かったと同時に、彼女は気が強くて、突拍子も無いこともやりかねないようなちょっとワイルドな要素も持ち合わせた女性だということも分かりました。

年老いたElizabeth1世は跡継ぎを指名していないので、いつ死んでしまうかと宮廷中がやきもきする中で色々なことがCatとPatrickの周りで起こります。
Catは友人の恋路の手助けをしたつもりが反逆罪の罪に問われそうになったり、次のイギリス王になりたいスコットランド王のJamesはPatrickに力を貸してもらう代わりに彼とある契約を結びますが、それが後々Catとの関係にひびいたり。

主人公二人がお互い会うたびに惹かれあう、という普通のロマンスとは違い、PatrickがガンコなCatの夢に忍び込み徐々に誘惑していきます。
Patrickが自分の能力を使い、Catを政治的にも肉体的にも自分の思いのままに操るのが私は好きになれませんでしたが、最後のほうでPatrickはそんな自分勝手な行動に思い知らされます。

権謀術数渦巻く宮廷のスリルあるお話です。
セクシーさも忘れてはいけませんね

Henleyは中世の歴史+ロマンスファンにはたまらないと思いますが、私はもうちょっとロマンスに重心を置いたお話のほうが好きです。