Gaelen Foley. 2010. My Dangerous Duke. Avon Historical Romance.
Inferno Club Book 2
Warrington公爵家はその家族だけでなく名前そのものまで古の頃から呪われていると村人達はささやきます…。
当の公爵Rohan Kilburnもそのうわさを本物だと思わせるほどの激しい気性の持ち主で、住民達だけでなく荒くれものの密輸船の乗組員達までも公爵の怒りを恐れていました。
そんな公爵の怒りを収めるために、乗組員達はKate Madsenを誘拐し「いけにえ」として公爵に捧げます。
自分の代でこんな呪われた家は断絶すべきだと思っていたので恋愛も結婚もしないと誓い、Inferno Clubとその裏で任命される特命に命を捧げるつもりのRohan。
いくら自分が特命のためには何をするつもりでも、女性に乱暴なんてするつもりはないし、Kateがどれだけ魅力的でも彼女を誘惑することは不可能!
国を敵に売る秘密組織Prometheanのボスの娘Kateと恋に落ちるなんてことは絶対にありえないのです…!
ヒロインが公爵に「いけにえ」として差し出されたりと、結構ありえないことが連続で起こる前半の部分は印象に残っているんだけど、後半はあんまり…です。
やっぱりあんまり私の好みじゃないスリラー的な展開だったのが原因かと。
随分前に読んであまり覚えていないというのもあるけど、やっぱり気に入ったお話は覚えているもんだし。
H/Hの間の激しい感情などはFoleyならではだけど、私はやっぱりもっとソワレとか舞踏会とかそういう華やかな舞台も欲しいです。
>Inferno Club Book 3のレビュー
ここにG.Foleyのウェブサイトへのリンクがあります
Gaelen Foley. 2011. My Irresistible Earl. Avon Historical Romance.
Inferno Clubシリーズ Book 3
Mara, Lady Piersonはまだ社交界デビューしたてのころ、Falconridge伯爵と恋におち、伯爵に結婚したいとまで告白したほど。
ですが、Falconridgeは彼女の結婚の「申し込み」を断っただけでなく、その直後姿を消してしまいます。
愛のない家庭で惨めな思いをしていたMaraは、その後Falconridgeを忘れようとLord Piersonと結婚しますが、結婚後豹変した夫からひどい扱いを受け地獄を味わいます。
夫が亡くなった後は、一人息子だけが生きがいになっていました。
Falconridgeのことなどすっかり忘れたと思っていたMaraですが、ある日ロンドンで伯爵と再会します。
王の特命のせいでMaraを置いて国を去らなければいけなかったFalconridge。
今度はまた別の特命を受け、Maraと再び関わりあうことになります。
あれから何年経ってもMaraのことを忘れたことなどなかった伯爵は、彼女を危険にさらしてはいけないと最初は距離を置こうとしますが、今度こそは彼女を誰にも奪われたくないという気持ちも強く、彼女を守りながら任務を遂行することに。
ですが、彼女にうそをついている罪悪感に苛まれます…。
いわゆるやけぼっくいに火がつくパターン。
私は好きです。
二人のロマンスもすごく緊張感があって、情熱的。
最後にFalconridgeが任務のことをMaraに言わずに接近したことがわかると…、という時限爆弾付き。
次のBook4のヒーロー、Drakeのお話もかなり入ってて、Book4は一体どのあたりから始まるんだろうと興味はあるんだけど、もうスリラーとかミステリーとかはいらない~。
悪者達の会話の部分とかになると飛ばし読みしたくなるくらい。
普通の恋愛小説が読みたいんだけど、私…。
Book1 My Wicked Marquis
Book2 My Dangerous Duke (レビュー)
Gaelen Foleyのウェブサイト(クリックするとジャンプ)
Laura Lee Guhrke. 2011. Wedding of the Season. Avon.
Story:
Dialogue:
Hero:
Heroine:
Sensuality:
Guhrkeの作品には波があるけど、これまではだいたい作者の名前だけ見て、あらすじもよく読まずに買ってます。
今回の作品、Abandoned at the alterシリーズの一作目は、アマゾンや個人のブログなどでは絶賛の嵐ですが、私は少数派のほうに入ったようです。う~ん、私にはイマイチだったけど、人気があるワケもわかるような…。
Lady Beatrix Danburyは婚約者William Mallory(公爵)との結婚式まで数日というところで捨てられてしまいます。
Williamは公爵家の跡取りとはいえど、かなり熱心な考古学者。
結婚式の1週間ほど前に、ツタンカーメンの墓を掘るという発掘チームに参加することが許されたと知らせを受け、Beatrixに一緒に来てくれるように頼みます。
BeatrixはそんなWillの願いに愕然とします。
彼女にとっての幸せとは、公爵である旦那様に仕え、子供を生み、公爵領の領民達のために奉仕し、静かに人生を送ること。
Ladyとして、また(未来の)公爵夫人としての責任があるから、この生まれ育った英国を離れるなんて考えられません。
それに、エジプトなんて未開の土地で発掘チームのテントで暮らしたりするなんて、Ladyとして育ったBeatrixには無理。
そして何よりも傷ついたのは、公爵というとても重要な立場や責任を捨てて、出るか出ないか分からないものを堀に行くためにWillが英国を去り、自分をあっさりと置いていったこと…。
WillはWillで、自分の考古学への熱をBeatrixは理解してくれていたと思ったのに、一緒に来てくれるほど自分を愛してくれてなかったのかと傷つきます。
このお話は1900年代の設定で、貴族達の立場や財政は下降の一途をたどる頃。
公爵として残っていてもできることはないと判断したWillは、自分の人生を考古学にささげ、成功することによってお金も稼げ、公爵領にも何かできると、その道を選んだのです。
そして6年後、そんな2人が再会します…。
よくある『嫌いだけど本当は好き』というパターンとは少し違います。
二人は幼なじみで、思春期を過ぎた頃から愛し合っていると自覚しています。
問題は、二人が幸せな結婚をするためには、Willは譲歩しなければいけないところがあり、Beatrixのほうはもっと思い切った決断をしなければいけない、というところ。
そこから二人は素直になれず、自分達の気持ちを否定しています。
こういうプロットはものすごく新鮮な感じがしたし、ヒーローとヒロインの心情がどのように変化していくのか、どんどん読み進んでいった私。
でもがっかりでした。
WillもBeatrixも、最後の最後まで「譲れない」「決断できない」の状態。
「どうなるの?」とハラハラさせられたんだけど、主人公達は最後であきれるほどあっさり歩み寄りをし、終わり。うーん、そこがミソだったのか?
私にはWillは全然魅力的な男性には思えませんでした。
6年前に『一攫千金』のために婚約者を置き去りにしたわりには、英国に戻ってきた理由は実は彼女のいとこから発掘調査を延長するための資金援助を頼むため。
あつかましいにもほどがある!
それに、Beatrixが子供の頃など過去に思い切った決断をできなかった出来事を何度も繰り返し、彼女を臆病者呼ばわり。
私は結局、Willがどうして公爵という重要な立場を「もうダメでしょ」みたいにあっさりと責任放棄したのかが理解できずじまい。
この辺の彼の考えには納得できずじまいです。
ツタンカーメンを掘り当て、学者としてお金持ちになって公爵領の建て直しを図るとかなんとか説明はしてたけど、なんてギャンブル。
英国にいたって、できることはあったはずじゃ?(となったらこのお話は成り立たないか!)
私は堅実に将来を見据えるBeatrixの言い分がよく分かるだけに、Willは無神経な男にしか見えませんでした。
Beatrixだって海外旅行したいって。これを、「行かないのはお前に勇気がないからだ」なんて言うWill。
いや、あの、そんな簡単なことじゃないっしょ?あの時代に。特に女性にとっては。
結婚して、新婚旅行とかでWillが連れってあげればいいんじゃないの?
「結婚式はキャンセルになりました」って招待客全員に手紙を出して、贈り物を返す手続きをしなければならなかった女の気持ち、結局Willは分かってなかったような…。
と、ブログ復帰最初のレビューはこうなりました。
この作品で、BeatrixがWillのことをあきらめて婚約したもう一人の公爵というのが出てきます。
その彼が、次の作品"Scandal of the Season"のヒーローです。
お話中、Beatrixが乗りこなした車。
他にも数冊LLGは読んでます。ここ↓にレビューへのリンクがありまーす。
>Secret Desires of a Gengleman
Laura Lee Guhrke. 2008. Secret Desires of a Gentleman. Avon Historical Romance.
Girl-Bachelorシリーズ3作目。2作目から大挽回!
Anna Campbellからもイチオシ
Story:
Dialogue:
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Heroine:
Sensuality:
日本語のあらすじは由良さんが丁寧にされているので>>由良の洋書棚をご覧アレ。
今回の作品を読めば一目瞭然なのですが、L.L.Guhrke自身のホームページこの本の紹介のところで「実はMr.Darcyの大ファン」とあります。
恋焦がれるけど身分が違う。彼女と結婚するということは家族に恥をもたらすことになる。地位も富もあるのに、手に入らないのは彼女だけ。でもそう思えば思うほど彼女を自分のものにしたくて苦しくなる。しかも彼女は自分の弟と一度は駆け落ちしようとした…、自分のことは好きじゃないんだ…というヒーローPhillipのつらい片思いのお話。
PhillipがヒロインMariaに結婚を申し込むシーンでのセリフやMariaのきつい返事などは、DarcyとElizabethのそのシーンとそっくりでした。
オススメだけど、ハートマークが満点にならなかったのは、前半のPhillipの気持ちは「読者で想像しておいてね」という感じでお話のなかではあまりはっきりしなかったから。
後半にやっとPhillipの告白で分かるのですが、それまではMariaを突き放そうとして冷たい言動。彼の心の奥底をかなり想像力豊かに考えていないと、ロマンスヒーローとしてはあまり惚れる要素は見せません。
でも"And Then He Kissed Her"と共に、今回の"Secret…"もオススメ!
Girl-Bachelorシリーズ
Book1: And Then He Kissed Her
Book2: The Wicked Ways of a Duke
Seductionシリーズ
Book1: Guilty Pleasures
Book2: His Every Kiss
Book3: The Marriage Bed
Book4: She's No Princess
L.L.Gって結構HR歴長いんですね。知りませんでした。
・Prelude to Heaven(1994)
・To Dream Again(1995)
・Coner's Way(1996)
・The Seduction(1997)
・Breathless(1999)
・The Charade(2000)
・Not So Innocent(2002)
懐かしいKnight Familyシリーズの1冊目です。
まだ私がヒストリカルロマンスにはまり始めた頃に読んで印象に残ってた1冊。
Story:
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Sensuality:
学者としては有名だけど、それ以外は何もできないBellinda Hamiltonの父親はとうとう借金地獄の果てに牢獄へ。
実はBellindaに一目惚れしたというDolph Breckenridgeがねじれた根性の持ち主で、なんとしてでもBellindaを自分のものにするために色々な手を尽くした結果が父親の投獄であり、彼女自身は路上でオレンジを売る生活を余儀なくされていました。
が、生活は困窮する一方なうえに、不運に見舞われたBellindaはロンドンでNo1の高級娼婦Harriet Wilsonのもとへ弟子入り。
"The Paragon Duke"と呼ばれるRobert Knightは、かつて彼が愛した人の殺人犯ではないかと思われるBreckenridgeを探るために彼に近づく方法を考えあぐねていたところ、Bellindaという彼の弱点を知り、彼女に接近。
お互い一目で互いの魅力に惹きつけられますが、当然、身分の違いもあるので、最初からBellindaに正直に事情を話し、ビジネスとしての契約を交わします。
名誉を重んじる紳士の見本のようなヒーローと、高級売春婦のヒロインというよくあるパターンだけど、全体的にはすごく印象に残るお話。
H/H両方のキャラクターが良く出来ています。
でも最後のほうの展開がバタバタしているし、公爵のほうの気持ちをもっと詳しく知りたいと思わせる物足りなさが。ここで満足していたら、ハートマークは4つになってたでしょうね。
リージェンシー時代No.1の高級娼婦Harriet Wilsonや、彼女を取り巻く紳士達、そして元は別の男性の愛人で後に伯爵と結婚し社交界から完璧に無視された人生を送ったBlessington伯爵夫人など、歴史上実在した人たちに触れられていているのが大胆でおもしろいです。
最近のFoleyのスパイスシリーズはまだ2冊目までしか読んでません。このシリーズもいいんだけど、このKnightシリーズほどの新鮮さや勢いがないからあんまり手がすっと出ないのかなーとも。
後からRaquelさんのブログをチェックしたらびっくり。数日前にこの本のレビューをされてました。
>>Raquelさんの記事のほうが詳しくて、シリーズの他の作品も紹介されているのでゼヒどうぞ。
Jo Goodman. 2006. One Unforbidden Evening. Zebra Historical Romance.
Goodmanのお話に出てくるキャラの会話は、他の作家の作品に比べるとうんと大人。お話の展開はスピード感はないけど、徐々に徐々にH/Hが関係を築き、心を開いていく様子にはハマリます。
Story:
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Hero:
Heroine:
Sensuality:
Cybelline Caldwellは未亡人。ある晩の仮面舞踏会で、放蕩者として知られているFerrin伯爵を誘惑し、一夜だけ共にします。
そして数日後にはロンドンから姿を消します。
Ferrinは正体を明かさなかった謎の美女のことが忘れられず、彼女の身元をさぐるべく徐々に行動開始。
どうやら、Caldwell夫人がその女性とつながりがあるかもしれないということが分かります。
ちょうど彼女が滞在している屋敷の近くにFerrinの友人のロッジがあるので、その友人の名を借りて"Mr.Wellsley"として現れます。
と、ここまではCybellineの亡くなった夫のことや、どうして彼女が一夜だけFerrinと共に過ごしたのかなど、すごく謎めいた始まりになっています。
後半、二人が関係を築いていく様子を楽しめるだけでなく、Cybellineの苦悩やFerrinの本当の姿(←惚れるで)など奥深く描かれているのはGoodmanならではではないかと。
Goodmanは他にもたくさん出してますが、私が読んだのは今のところ今回のOne Forbidden Eveningとこれだけ:
>>If His Kiss is Wicked
Cavandish Squareトリロジー1作目。
Story:
Dialogue:
Hero:
Heroine:
Sensuality:
Lady Cornelia Dagenhamと、義姉のAureliaと、友達のLady Livia Laceyの3人は、Livが相続したロンドンの邸宅に滞在し、3人で社交シーズンに参加することになります。
今回のヒロインは、戦争未亡人で子供が2人いるCornelia。
お相手は、3人がロンドンに着く前からこの邸宅を買い取りたいと申し出ていた紳士、Bonham子爵です。
お金持ちでロンドンにすでに家がある子爵が、なぜこのLiviaのオンボロ屋敷を買いたがっているのか、Cornelia達は不審がります。
家は売らないとはっきり断った後も、色々なことがきっかけでBonhamは徐々にLacey家に入り浸るようになります。
最初の悪印象も消え、CorneliaはBonhamの魅力に惹かれ始め、彼は赤の他人でCorneliaは彼のことなど何も知らないということを忘れ始めます。
暗号解読者としての極秘任務を負っていたHarry(Bonham子爵)は、どうしてもLacey家に入る手立てが欲しかったので、この女性達3人に近づきます。
そしてなぜかCorneliaの存在だけがどんどん彼の心の中で大きくなっていきます。
しかし、2人の中が親密になればなるほど、Corneliaはスキャンダルを気にしなければいけなくなります。息子の保護者/後見人としての立場を失いかねないからです。
Harryのほうも、簡単に見えた任務遂行がCorneliaとの関係でどんどん複雑になっていきます。
E.Thorntonのような雰囲気が出てきたような。
この先二人はどうなるんだろうとドキドキさせる展開なのですが、サスペンスが幅をきかせているので、H/Hの心理描写が浅いところが痛いです。
でも、今回のあっさり・辛口ユーモアが冴えるH/Hも私好みだし、この先のH/Hかしらんというようなキャラたちもそれぞれ印象深く、次の作品にも興味津々です。
Jane Featherは印象深いキャラを出してくれるので、好きです。
Duncan Sisters Trilogyの最終巻です。
20世紀初頭が舞台。自動車も出てきます。
女性解放運動に燃え、自立してしっかりした3姉妹のマッチメーキングのお話。
Story:
Diaologue:
Hero:
Heroine:
Sensuality:
The Mayfair Ladyという月刊誌を媒介として、依頼があれば独身男性に結婚相手を見つけてあげる仕事もする3姉妹。
この最終回では、一番下の妹Chastityが医者であるDouglasに花嫁を見つけてあげなければいけなくなったのですが、このハンサムドクターからはなんともかんとも難しい、腹の立つ注文を受けます。
「愛は一切必要ない。貴族の女性で、他の色んな貴族にもコネがきく人がいい」と。
これでDouglasへの偏見が深まったChastityですが、実は彼にはお金持ちの貴族と結婚したいというのにはわけがあったのです。
Chastityは彼の要望どおりの女性を見つけ準備していたのですが、いざ紹介所であるDuncan家の午後のお茶に招かれたDouglasは、Chastityに惹かれます。
でも、夢を実現させるためにはお金持ちと結婚しないとダメなので、心の中で葛藤するDouglas。
P&PのElizabethのように、徐々に彼に対する偏見が薄れて、彼の誠実さに惹かれていくChastity。でも彼の夢を実現させるためには、自分との結婚はありえないと、身を引く決意をします。
Featherのお話はどれも、なんだか無駄な部分が多くて、途中でお話がストップしたようにさえ思えるほどで、ガンガン読み進ませるものに欠けます。
それでも、登場人物がいつも印象的です。
特に自立したヒロイン達がいいし、Alpha Maleな感じもちょっと残しつつ、女性解放運動に燃えるヒロイン達の言い分を聞き、理解し、彼女達が間違っているならはっきりと意見もするヒーロー達も点数が高いです。
もちろん、独自の理論を展開していたヒロイン達も、間違いは認めるいさぎよさもあり、かっこいいのです。
Book1: The Bachelor List
Book2: The Bride Hunt
他にレビューしたものは>>こちら。
彼女は他にもたくさん作品があります。リストは>>こちらからどうぞ。
Laura Lee Guhrke. 2008. The Wicked Ways of a Duke. Avon Historical Romance.
The Girl Bachelorシリーズ第2弾はかなりの期待ハズレ。がっかり!
Story:
Dialogue:
Hero:
Heroine:
Sensuality:
元はそんなには悪くはない家庭出身のPrudence Boshworthは針子として日夜働いていました。
そしてある日突然、自分と母親を捨てた父親の多額の財産を相続することに。
ただ、数ヶ月以内に結婚することが条件です。
針子として働いていた時にPrudenceは、St.Cyres公爵が悪漢から襲われそうになっていたメイドを助けてあげたのを目撃。
それ以来Prudenceは公爵を白馬の王子様のように思い憧れますが、実は公爵は女たらしの放蕩者。しかも遊びすぎたせいで借金地獄。公爵はお金持ち令嬢と結婚することを考えていました。
針子をしていた時にPrudenceにちょっと惹かれていた公爵。そして彼女が令嬢となって社交界に現わた今、彼女と結婚するためなら手段を選びません。
まず表紙の絵にギョッとします。上半身裸の絵は多いけど、これは下品。
それと、裏も。公爵の顔がひどい!↓
登場人物のイメージが台無し。
ソファなどに置いておく場合も、どちらを伏せても嫌なイメージが目に入ってくるので、今回はブックカバーをして読みました。
そして1ページ目。特大フォントの文字が目に飛び込んできます。
フォント数を大きくして300ページまで引き伸ばしてあるお話の中にはいいものは少ないです。
そして期待ハズレは十数ページ読んで確実となります。
元針子のPrudenceがすんなり社交界に受け入れられている部分や、何の連絡も一切なかった父親から莫大な遺産を相続すること、でも結婚が条件…などと、不可解で、単純すぎたり深みのない部分ばかりでした。
当然、お話が短いのでキャラ達にも深みはありません。
特に、公爵は嫌な男から始まり、少しは良くなりますがなんだか情けないままで終わります。
このヒーローは表紙の絵も最低だけど、最初の部分で最低男ぶりを見せ付けます。Prudenceのことをいいなぁと思った数ページあとには、助けてあげた別のメイドと寝てるんです。しかもPrudenceとは出会ってもなかったかのように。
ロマ小のおきて破りです。こんなだらしのない男、全然ロマンチックじゃないじゃないですか。
私からはオススメではないし、避けて通ったほうがいい一冊だと思います。
Jo Goodman. 2007. If His Kiss is Wicked. Zebra Historical Romance.
あっさり図書館で手に入ったので読みました。
独特の表現力がいいけど、お話がスローです。
Story:
Dialogue:
Hero:
Heroine:
Sensuality:
恥ずかしがりやでおとなしいEmma Hathawayは、いとこのMarisolのとんでもない頼みを引き受けてしまいます。Marisolは婚約者がいるのに、別の男性と密会の約束をしていたので、その男性にもう会えないと伝えてきてほしいと。
そして実際その場に行ったEmmaは誘拐され行方不明になり、ひどい暴行を受け肉体的にも精神的にもひどい傷を追って帰ってきます。
肉体的な傷が癒えても心の傷のせいで、外に出ることもままならないEmma。
でも、あの誘拐・暴行はMarisolか自分がターゲットだったのかもしれない、誰かに相談したほうがいいと家族に訴えても誰も相手にしてくれません。
そこでEmmaは最後の頼みの綱Restell Gardnerを訪れます。
とてもハンサムなRestellはうわべは放蕩者を装っていますが、社交界の裏舞台でスキャンダルから人を救う仕事をする、とても思いやり深く賢い紳士。
Emmaの依頼をすんなり引き受けますが、彼の興味を引いたのは事件の様相だけでなく、勇気に満ち溢れた美しい緑の目をした依頼人。ただ単におとなしいだけのお嬢様ではないよう。
心の傷のせいで苦しんでいてもユーモアと勇気で乗り切ろうとする懸命な姿のEmmaにどんどん惹かれていきます。
「ミステリーに集中していてつまらない」というコメントをアマゾンで見かけたのですが、このお話の評価がいまいち伸びないのは、このミステリーに先へ先へと読ませるだけの面白みがないからだと私は思いました。
414ページもあって、いつもだったら読み終わってる頃にはまだ3分の1残ってました…。
それなのに、実は最初の3分の1までのところですでに犯人も動機も簡単に想像がついてしまいます。「あー、この筋で最後までいくのかな~」って。
でも、H/H二人の会話は最高でした。賢さがにじみ出ていて、且つ、ロマンチックなもので、久しぶりにいいものを読んだ感じもしました。
クライマックスは女子プロレスラーも真っ青。笑うところではないけど、爆笑してしまいました。
お話がスローだし300ページ前後で収めるべきだと思いましたが、H/Hの関係が良いので最後にはほんのり満足感が残り、他の作品も読んでみたくなりました。
>>Jo Goodmanのウェブページ
Gaelen Foley. 2007. Her Only Desire. Ballantine.
"Spice"シリーズ第一弾。
Knightシリーズが終わって寂しかったヮという方、Knight家の男子諸君もちゃんと出てきますよ。(あんまり喋りはないんですけど)
Story:
Dialogue:
Hero:
Heroine:
Sensuality:
Georgiana Knightはインドで生まれ育った英国貴族の娘。
身分は違うけど幼なじみの女の子を助けに行くシーンから始まります。
Ian Prescott(Griffith侯爵)はやり手の外交官。仕事のためインドに来ていました。
馬にのってマーケットの真ん中を駆け抜けていく美しいGeorgieの姿に強く惹きつけられ後を追い、危機に陥っている彼女を間一髪で救います。
二人は急速に惹かれあっていきますが、Georgieは自分のことを平等に扱う男性と出会うまでは絶対に結婚なんかしないと心に決めています。
一方Ianのほうも、過去に感じたことがないほどGeorgieに惹きつけられますが、過去の暗い記憶から結婚はもう二度としないと誓っています。
そしてGeorgieは外交問題に深く首を突っ込んでしまい、身の安全確保のため英国に送られることになりますが、彼女の兄二人からIanの手にたくされます…。
インドを舞台にした前半がつまらないという感想をRakehellやAmazonで見かけたし、私自身は出だしのシーン(ヒーローと彼をつけるスパイの描写)にうんざりしてしまい、数ページだけ読んで放ったらかしでした。
でも、もう一度がまんして読み進んでいくと、他の作品では見たことがないインドの様々なシーンに魅了されました。私はこの前半のほうが楽しめましたよ。
後半、英国に渡ってからは、別にこれといって印象的な舞踏会のシーンなどがあるわけでもなく、ヒロインもなんだかおとなしくなってしまって。こちらのほうがあまり読みがいがありませんでした。
Knightシリーズの最終回"His Wicked Kiss"の展開と似ているし、なんだかG.FoleyもS.Laurensのようなフォーミュラが出来てしまったんじゃないかと心配になってきましたが、新シリーズの始まりなので、この先の改善を期待しておくことにしましょう
次のお話は"Her Secret Fantacy"。Georgieの兄Derek KnightとLily Balfourのお話だそうです。
Laura Lee Guhrke. 2007. And Then He Kissed Her. Avon Historical Romance.
オススメです
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Sensuality:
ビクトリア後期を舞台にしたお話で、電話・電報や汽車(電気機関車?)なども出てきてなんだかいつもとちょっと違う雰囲気も新鮮でいいです。
30歳でスピンスターのMiss. Emma DoveはMarlowe子爵所有の出版社で彼の秘書として働いてかれこれ5年。
その間、自分が書いた職業婦人や婦人一般のためのエチケット本の出版を夢見て着々と原稿を書いていました。
何度子爵に見せても却下となったけど、それでもがんばって書き直して機会があるたびに原稿を渡していました。
が、実は子爵はきちんと読んでもいなかったことが分かり、Emmaは予告もなしに会社を辞めてしまいます。
この時のEmmaの様子・気持ち、泣けましたヨ
秘書として文句一つ言わず病気もせずがんばってきたのに、自分の努力の成果は「当然」のようにあしらわれ認めてもらえず、自分は透明人間だったのかと思ったときのくやしさ。会社やボスに対する忠誠心は一体なんだったのか?
ちょっと時間を割いて、部下が書いた原稿に目を通してくれるどころか、読んだふりをしてウソのコメントをくれてただなんて!
一方、ハンサムで女たらしのMarlowe子爵は、有能でロボットのように働いていた秘書が急に辞めてしまった後の大混乱の会社へ戻ってきてびっくり。
彼女を取り戻そうと彼女の家へ行きますが、すでにEmmaはライバル会社で採用が決定となっていました。
さらにMarloweのびっくりしたことには、もう部下としての立場でなくなったEmmaは、はっきりと自分の意見を言える快活な女性だとわかったこと。
全くロボットなんかではなく、魅力的で情熱的な女性としてのEmmaを発見して、Marloweの空想は広がります・・・。
前半はこうやって、MarloweがEmmaの本当の姿に気づくまでの過程なので、最初からロマンチックでセクシャルテンションが高いお話かというと、そうではありません。
あと、個人的に、主人公二人の過去の心の傷をつらつらと話してばかりのくら~いお話は嫌いなんです。(いい年してんだからもういいじゃない、っていうのが多いと思う。)
だからこのお話もちょこっとそんな雰囲気があったので、ハートマークは4つ半になりました。
でも、Marloweの不幸せだった過去の結婚生活と家族にまで汚名をきせた離婚とそのトラウマや、Emmaのつらい生い立ちなど、それぞれのキャラクターにどんな影響を与えたかや、その後二人がどうやってその心の痛手を乗り越えて関係を築いていくかが主人公二人を印象的なものにしてました。
後半、Emmaの気持ちが現代の女性にも通じるものがあって切なかったです。
別の記事のコメント内で書いたのですが、最近ロマンチック・サスペンスのサスペンスの部分にはちょっと飽き気味のK。ロマンスをたっぷり堪能できるものが読みたかったんです。
これ、期待を裏切られませんでした。
Guhrkeの他の作品でレビューしたものは、これとプロットがよく似たお話"Guilty Pleasures"とそのシリーズ3作目の"She's No Princess"。
Amanda Grange. 2005. Lord Deverill's Secret. Robert Hale Limited.
レビュー予告とは違うものが続いています…
作者GrangeはHistorical Romance UKブログでMiss Charlotte Smith's Diary(最初はなぜかヒロインの名前はBridget Jane)の連載を書いている作家。これが気に入ったので、いつかきちんとしたものを読んでみたいと思っていたのですが、なかなかこちらでは売ってないんです。
で、やっと見つけたのが今回のLord Deverill's Secret。イギリス人作家ならではの雰囲気たっぷりの一冊。
Story:
Dialogue:
Hero:
Heroine:
舞台はリージェンシー時代のバース。
Cassandraは兄が亡くなった後、傾いた家計を立て直すためにバースにある家を売ることにし、家の中を整理しがてら、バースでの社交行事にも参加します。
一つ、Cassandraが気になっていたことがありました。兄が死の直前に彼女に宛てた手紙の中で「ひどいことをしてしまった」と告白していることです。
兄の生前の友人・知人を当たって色々聞いてみることにしますが、最初にあたったLord Deverillはこのことに関して何か隠しているよう。
それ以来、行く先々で危険な目に会うCassandaraですが、まさか自分の命が狙われているなんて思いもよりません。
それよりも、行く先々の社交行事に現れ、自分に気を払ってくれるLord Deverillのほうが気になります…。
イギリス人作家のお話は大好きです。ただ、ダイナミックさはないおとなしめのお話で、ザザザーと読んでしまえるものが多く、物足りない感じはあります。このGrangeの作品も例外ではありません。
でも登場人物の言い回しなど文章全体からしてどっぷり英国の雰囲気に浸れるし、ヒーローもアメリカ人作家のお話に出てくるようなマッチョで完璧すぎるキザ男ではないという所が好きです。
今度の私のGrange作品は"Mr.Knightley's Diary"です。Austenの"Emma"のMr.Knightley側のお話のようです。楽しみ
P&PのDarcy日記も最近出たようなので、これも近々読みたいなと思ってます。
コンテンポラリーです。<Jude's Law>の中で出てきたAshleyとQuintonのその後が気になっていたので借りてきました。
今回の主人公二人の出会いや、なぜヒロインのAshleyの命が狙われるのかをよく知るためには1作目から読んだようが良さそうです。
Story:
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Hero:
Heroine:
Sensuality:
1作目の中でAshleyはバイト先でハンサム実業家のQuintonと出会います。
29歳のAshleyには人生最大の目標があります。大学を卒業して、就職して将来は小さな家を買うことです。なので昼間は勉強、夜は仕事と遊ぶ暇なんてありません。Quintonがどんなにハンサムでセクシーでも、彼とデートなんてとんでもない!
でも彼の魅力には抵抗しがたい…
Ashleyと出会った瞬間から彼女のことばかり考えているQuinton。オフィスに少しでも長くいて、暇のないAshleyと会う時間を少しでも作りなんとしてでもデートにこぎつけたい。
Quintonの魅力に押されAshleyの頑なな態度は徐々に軟化していきますが、Ashleyは自分の目標が遠くなるような気がします。
しかし危ういのは彼女の目標だけではありません。1作目でJude殺害に失敗した爆弾魔が、殺害計画が失敗に終わったのは全てAshleyのせいだと思っており、彼女の命を狙っていたのです。
独立心旺盛だけど超貧乏のヒロインが、大金持ちでオレについてこいタイプのヒーローと最後はどうなるのかとかなり期待したけど、私の納得のいく終わり方ではありませんでした。なんだ、結局全部ヒーローのお世話になるのか・・・、独立してないじゃないの、って。
個人的にはヒーローもヒロインも特に魅力は感じませんでしたが、全体的には十分楽しめるお話です。