ヒストリカルロマンスアワー

Historical Romance Hour

Web of Love

2008年01月23日 | B
Mary Balogh. Web of Love.
  1990. Signet Mass Market edition.
  2007. Dell Mass Market edition.

Web Trilogyの2作目。

Story:       
Dialogue:  
Hero:        
Heroine:    
Sensuality: 

1作目のヒロインAlexにイタズラを働いた張本人、Dominicのお話です。
1作目では軍隊に入ることを家族から反対されていたDominicですが、お話の最後で兄である伯爵から許可を得ます。あれから精神的にも成長し、Dominicは中尉としてブリュッセルにいました。

ヒロインMrs. Ellen Simpsonは、Dominicが父のように慕うSimpson大尉の若き妻。アマゾンや他の雑誌などのあらすじでは、DomがずっとEllenに片思いしていたとありますが、大尉が生きている間は「うらやましい」とか「Ellenといると落ち着く」という感情表現でおさまっているので、Domの気持ちは深読みして下さいナ。本人も自覚してないんです。
あらすじがほのめかすような、ありがちな「人妻に片思い」、「切ない・やるせない気持ち」などはありませんでした。

でも、これでつまらないお話になってるわけじゃありません。
やはりバロ~グ、純愛です。
生きている旦那が早く『退場』してくれればいいのにと思わせる部分はどこにもなく、Simpson大尉とDomの関係、Ellenと大尉の夫婦関係や、大尉の前妻の娘とEllenの関係がたっぷり描かれていて、大尉が亡くなったあとのEllenを取り巻く人間関係の変化とも絡んできます。

お話前半、大尉が生きている間のこのちょっとした三角関係でドギマギしたのは、深い関係になった男性といえば年が離れた旦那しか知らないEllenがDomとワルツを踊ってからの彼女の気持ちの変化でした。
「主人を愛しているのに…」という彼女の困惑する気持ちは、読んでいて自分がその悩みを抱え込んでしまったような感覚さえ覚えます。

1作目から引き続き、常にポロポロと恋に落ちているとからかわれていたDomが、本当の愛を見つける過程がよく表れていました。
Ellenの養女Jenniferに「片思いかも」とDomが思いはじめると、Domの双子の妹も私も「彼女は違うよー!」と本人に言いたくなってウズウズ。
でも一旦Ellenと恋に落ちると、これまでの幼稚で夢見心地の恋愛とは全く違うということが本人にも読者(私)にもよく分かり、ホッ。

あとは、Jenniferが成長し恋愛するお話も平行して展開。
いくつも別のカップルのお話が平行するのは、お話があちこちに飛ぶのであまり好きではないのですが、このJenniferのお話には満足
少女だと思っていたのに、大人の恋愛をします。Jenniferのお相手は"Simply Love"のSydnamとかなりイメージが重なります。


この昔のBaloghの作品、1作目もあわせて、最近のBedwynシリーズとは違って陰気な雰囲気がありますねー。
3作目はアマゾンではかなり不人気ですが、私は興味津々です。

Book1: The Gilded Web
Book3: The Devil's Web


                    

Baloghの次の新刊"Simply Perfect"の抜粋を読みました。
女学校の校長でこれまでのSimplyシリーズだけでなく、Bedwynシリーズにも出てきたことがあるClaudia Martinと、公爵家の跡取りAttingsborough侯爵が出会うシーン!
Claudiaのことはずっと気になっていたので、やっとこのお話で彼女のことをもっと知ることができるので、楽しみ。
それと、ほかの作品にチョイ役で出てたらしいこの侯爵、早速、ちょっとニヒルな感じがいいヮ
この抜粋の中ですでに女学生達から憧れのまなざしで包まれてます。(笑

4月出版とのこと。待ち遠しい!!!

>>Spotlight on Mary Balogh 1
>>Spotlight on Mary Balogh 2

Scandal Becomes Her

2008年01月16日 | B
Shirlee Busbee. 2007. Scandal Becomes Her. Zebra Books.

出版は久しぶりだそうです。

Story:        
Dialogue:   
Hero:         
Heroine:     
Sensuality:  

29歳のMiss Nell Ansloweは、もちろんこのリージェンシー時代では「行き遅れ」。
10年前の落馬事故で片足を引きずるようになっていたのですが、それ以来、たちの悪い悪夢にうなされるようにも。
この悪夢の中では人が拷問されて殺されたりするのですが、気持ちが悪いのはそれだけでなく、まるでNellがその場でそれを見ているかのような感じさえするのです。

足のこともあるし、この悪夢は自分がおかしくなっていく前触れではないかという心配もあったNellは、独身生活で満足していたのですが、ある日、財産狙いのLord Tynedaleに誘拐されてしまいます。
でもNellのかしこさと、嵐のおかげで、Tynedaleから逃れます。

逃れた先、森の中の小屋の中では、Julian Weston(Wyndham伯爵)が眠っていました。

次の日、二人はNellの父と兄に発見され、結婚することになります。

               

強制的に結婚させられた二人がよい関係を築いていく様子は、後半、Nellの悪夢のことやミステリーのせいでちょっと影が薄くなっていたのが残念ですが、それでも十分楽しめました。
Busbeeのリージェンシーならまたもう一度よみたいヮと思わせるものがありました。

Madame's Deception

2007年09月15日 | B
Renee Bernard. 2007. Madame's Deception. Pocket Books Romance.

この次の3作目があるかどうかは知らないけど、1作目の"A Lady’s Pleasure"が良かったので、この2作目も手に取りました。
でも、1作目に比べると満足度は薄めです。

Story:    
Dialogue:  
Hero:    
Heroine:  
Sensuality: 


前回の"A Lady’s Pleasure”のお話の中で、Alex RandallとJocelynは出会います。今回のお話は、それから何ヶ月も経っています。

でも、何ヶ月も経っていたんだけど、Alex(Colwick男爵かなにか)はJocelynのことを忘れられず、スキャンダルだけは絶対避けたいけど、思い切ってJocelynが経営するCrimson Belleという有名な売春宿に出向きます。

お客は取らないとかたくなに断ったJocelynですが、宿の女の子達が何者かに狙われ始めると、Alexが宿に出入りすることでなんらかの安全が保証されるのではないかと思い、彼との契約に応じます。

契約は今年の社交界シーズンが終わるまでという約束。

Alexは、スキャンダルまみれの父親のような人生の二の舞にならないよう、二人の関係には細心の注意を払い、あまり表に出ないようにします。
でも、どのパーティーへ行っても、書斎で仕事をしていても、日がな一日Jocelynのことで頭がいっぱいになる日々。

Jocelynも、これまで仕事ばかりで自分の楽しみを見つけたことがなかったので、宿の女の子達の身の安全はもちろん心配だけど、Alexと過ごす時間がとても楽しみになってきます。

          

AlexがJocelynのことばかり考えている様子がかわいいし、Jocelynもなかなか芯が強くていいヒロイン。
最後のほうで二人が別れなくてはいけなくなる辺りも切なくていいお話なんだけど、でも、中盤はラブシーンに集中しすぎてロマンスの部分がイマイチ盛り上がりに欠けます。
で、その中盤のお話が盛り上がりきらないから、1作目のおかげで期待が増していたたくさんあるラブシーンにもイマイチ拍車がかからずじまいだったような。


一つ、お話とはあんまり関係ないのですが、Jocelynが一切外に出ないのが異常で気になりました…。

An Unwilling bride

2007年06月28日 | B
Jo Beverley. 2000. An Unwilling Bride. Zebra Historical Romance

RogueシリーズBook2

警告:DV有りです

Story:       
Dialogue:  
Hero:        
Heroine:    
Sensuality: 

ある日Lucien、Arden侯爵は、実は母が昔浮気した時の子供だと知らされます。
公爵の息子として何の不自由もなく、尊敬する父の背を見て育ってきたLucienは大ショック。
でもしばらくよく考えてみると、実の子のように育ててくれた父を裏切ることはできないので、突如父が選んだ相手と結婚するように言われても、独身生活を楽しんでいたLucienですが、Yesと同意します。

実はこの結婚相手のBeth Armitageは、公爵が浮気をされた腹いせに関係を持った女性との間にできた娘。
そんな彼女が存在していたことも知らなかった公爵ですが、ある日手紙で知らされ、面倒を見る決心をしたのですが、その手段とは、Lucienとの結婚でした。
そうすることで、自分の血を受け継いだ子が公爵家を継ぐことができるからです。

そんな一連の事情のせいで急な婚約・結婚をせざるを得なくなるBeth Armitageですが、彼女は女学校の先生で、他の女性に比べるとある程度独立していて自由な身分を楽しんでいたため、この話は全く歓迎できません。

どれだけ上流の裕福な生活や特権を目の前にかざされても、そんなものには魅力を感じないBeth。
全ての事情を知らないBethは、Lucienとの婚約は解消されるんじゃないかとわがままで嫌な女のように振る舞いますが、Lucienは公爵家を継続させる義務があるので、ガマンガマンの日々。(キレて彼女の首に手をかける瞬間アリ…

お互いを偏見の目でしか見ていなかったところから始まっているのでアツアツのロマンスではないのですが、着実に関係を築いていくストーリーです。

     
LucienとBethは全く血はつながっていないけど、二人の関係って近親っぽい…

あと、上で警告したDVですが…。
Beverleyらしい現実味のあるヒストリカルで、当時のことを忠実に描写しようとする勢いあまってか、LucienはBethの首をしめてやろうかと真剣に彼女の首に手をかける一瞬があったり、妻となった彼女を嫉妬のあまり殴ったりと、Lucienは暴力的な一面があります。そしてそれをあっさり許してしまうBethの言い分などは、全く同意できるものではないし読んでいて不快です。
AmazonやRomance Readerでは「こんなのロマンスじゃない」と批難が飛び交っているのもわかります。
Book1のほうもかなりロマンスから逸脱してしまってるのですが、やっぱり、ロマンス小説はエンタメなので、DVなどの暴力は禁じ手じゃないでしょうかね。

それでもこのBook2は、そんな激しい部分を飄々とした顔の下に隠したArden侯爵とブルーストッキングでスピンスターのBeth Armitageがぶつかり合いながらもしっかりとした関係を築いていくストーリーで読み応えはあります…。

Simply Magic

2007年04月01日 | B

Mary Balogh. 2007. Simply Magic. Delacorte Press.

Simplyシリーズ3作目、"Simply Magic"です。先の2作に比べると、おとなしめ。
2作目のSydnamのお話が激しかっただけに…。

Story:       
Dialogue:  
Hero:        
Heroine:    
Sensuality: 

Miss. Susanna Osbourneは、1作目のヒロインで今はEdgecombe伯爵夫人となったFrancesに招待されてSummerset(だったかな?)に遊びにきていました。

そして、伯爵邸の付近にある別の邸宅に遊びに来ていたWhitleaf子爵と出会います。

Peter Edgeworth、Whitleaf子爵は、ハンサムでとてもやさしくて気が利くばかりでなくリップサービスも極上 誰も彼の言う甘い言葉は本気だとは思ってなくても、どんな年齢の女性も彼女が一番大事だと思わせる彼はモテモテです。

Susannaは一目見た瞬間からそんな浮ついたような子爵が好きになれませんでしたが、それよりなにより、Whitleafという名前を聞いた瞬間、彼女が女学校に行き着いたきっかけになった過去の暗い記憶が蘇ります。

そんなSusannaの気持ちなど知る由もなく、Peterは彼女を一目見た瞬間、
"There she is"
と、ピンときます。美しいばかりでなく、彼女が自分にはなびかずキツイ言葉で返してくるのもなんだか魅力的。

お互いそれぞれの場所に帰るまでの2週間、Peterは彼女の友達になりたいと申し出、徐々にSusannaもうちとけていきます。

二人は2週間目最後の日に忘れられない午後を過ごし、別々に人生に戻り、その後偶然が重なり何度か再会するのは、最近のBaloghのパターンですが、別にうんざりはしませんでした。
会話は楽しめたし、Peterの自分探しとSusannaの暗い過去がかしこく絡んでいたと思います。
でも、今回は特にこれといってインパクトのあるお話ではないし、前半、二人が仲良くなっていくまでがナカナカ遅々として進みません。

でも私は、自身の個人的な経験から、全くSusannaの状況と私の人生は違うけど、BaloghのSusannaの心理描写には泣けました。
ええ、ええ。今回も泣けるお話ですよ
今回は、二人の恋が切ないからというわけではなく、Susannaの過去に泣けました。

Amazon.comのレビューアーでSusannaの心の傷のことを真剣に捉えてないコメントがありますが(「セラピーが必要なんじゃないの!?」)、心の傷をネタにした三文小説ならアメリカ人作家によるもののほうが多く、そういうのを好きなのは北米人読者のほうが多いように思うのは私だけでしょうか。
それに、セラピストが必要だなんて…。
どんなコメントや。

浮ついたようなPeterも実はすごくいい人柄。やさしくて誠実で、他人を本当にその人が「一番大事だ」と思わせることができる人。私はこういう人、惚れるかも
実は、もう大人なんだから子爵としてきちんとそれらしくなり、土地の人たちと触れ合い、充実した日々を送りたいという夢を抱いていますが、彼も過去にあったことにケジメをつけなければいけません・・・。

設定が2作目のお話と時間がかなりかぶっているので、「あら、こっちではこんなことになってたのね」と思わせるシーンもありました。

私は充分楽しめた一冊。でもPBや翻訳を待っても損はしないと思います。

バログの他の作品は、>>Spotlight on Mary Baloghからどうぞ
字数制限のため、Simplyシリーズだけ>>Spotlight on Mary BaloghⅡに移動です。


The Gilded Web

2007年02月12日 | B
Mary Balogh. 1989, 2006. The Gilded Web. Dell Historical Romance.

これ、どうしよーかなーって思ってた方、あせって読む必要はないと思います。

Story:   
Dialogue: 
Hero:       
Heroine:   
Sensuality:

17年前に書かれた作品。(1989年かぁ。私はコバルト文庫読んでたなー
Balogh本人は読み返してみて、書き方がすごく違うわ~って最初のページに書いてます。
確かに、Bedwynシリーズのような軽快さはなく、おとなしめで古典的な雰囲気がありますが、Baloghが創り出す切なさや純愛度は変わってません。(ご安心を)

よくTVや映画で、クモが巣を作っていくのをコマ送りにした映像を見た事があると思います。
この本の最初の半分近くは、そんな風に、でも少しゆっくりめに進んでいきます。つまらないと感じる方もいるかもしれませんが、すでにここでBaloghらしい、シーンが目に浮かぶお話の展開になっています。

Baloghのお話はいつもタイトルが示す通りで、この"Web"には色々な意味がありました。
最初の3分の1までは、登場人物たちそれぞれのweb(人生、かな)が絡んで一つの大きなWeb(人間模様)になっていく様子です。(なのでお話がスローに感じます。)

ある舞踏会の夜、ヒロインAlexの人生は、ヒーローEdmund(Amberley伯爵)の弟妹たちのいたずらによって、ガラっと一転。
灰色のクモの巣(Web)にひっかかってしまった力のない餌食のようなAlexはEdmundと出会って、今度は「愛」にあふれる、彼女には全くの異世界で偽の輝きにみえる"Gilded web"にからまっていくかのよう。

Edmundは弟がしでかしたいたずらでAlexの名誉が台無しになってしまったので結婚を申し出ますが、ピューリタンのような厳格な父親のもとで育ち一切感情を表さない彼女にひどく困惑します。
愛のある家庭で育ち、愛する人か少なくとも徐々に愛していくことができる女性との結婚を夢見ていたEdmundは蝋人形のようなAlexを知ろうとかなり努力しなくてはいけないのですが、そんな彼の姿はクモの巣に絡まってしまったかのよう。

でも結果はもちろん、雨上がりに光るクモの巣が出来上がるような結末、という"Web"です。

           

私はAlexが異世界の人すぎて感情移入できませんでした。
宗教的と言えば、Quakerがヒロインのお話もこれまでに2つほど読んだことがあるけど、こういう人たちの言動の動機となるものは私の思考とは全く違うので、ものすごく違和感があります。その手の予測不可能な言動って、ロマンス小説でおもしろい働きをしているとは思えないんですけど。

かわいそうなのはEdmund。
そんなAlexを一生懸命、いわば、こちらの普通の世界に慣れさせようとします。
Alexは自由を知りどんどん打ち解け、Edmundは彼女のいい所を発見して好きになっていくのですが、か~な~り努力しているところが、なんだかロマンチックに思えませんでした。

これを読むより、Bedwynシリーズから読んだほうがいいというのが私の意見。
>>Spotlight on Mary Balogh

このWeb三部作の2作目は"Web of Love"。Edmundの弟Dominicのお話。
3作目は"Devil's Web"。Dominicの双子の妹(姉?)MadelineとAlexの兄Jamesのお話かな?

A Lady's Pleasure

2007年02月09日 | B

Renee Bernard. 2006. A Lady's Pleasure. Pocket Books Romance.

レビュー予告リストには入れてなかったけど、今日はBernardのデビュー作。
アマゾンのリストマニアが「子宮爆発!」の警告をだしていたセンシュアルなお話。 うん、確かに…。


Story:    
Dialogue:
Hero:     
Heroine: 
Sensuality:

29歳の未亡人Merriam Everettは自他共に認める地味で臆病な性格。
ある日、ちょっと憧れていたハンサムなWestleigh伯爵が自分の悪口を言っているのを聞いてしまい、思い知らせてやろうと決心します。
仮面舞踏会でセクシーな女性に生まれ変わり、伯爵を誘惑し自分の虜にしたところでフッてやるんだ、と。
売春宿のマダムから特別レッスンを受け、Merriamは本当に生まれ変わります。中身はまだまだ臆病なMerriamが残っていましたが、仮面舞踏会では計画通りに魔術師の格好をした伯爵を誘惑するのに成功します。
(なので、1章目からホットホット

が、しかし。相手を間違っていたんです。
Merriamが誘惑するのに成功した相手とは、実は同じく魔術師の格好をしていたDrake Sotherton(えーと、公爵ですが爵位名は忘れてしまいました)。
Drakeは妻殺しの容疑をかけられ何年も国外で暮らしていましたが、仕事の関係でイギリスに戻ってきたところでした。
どうしてももう一度会いたいのでDrakeはやっとの思いで彼女の身元を探り出し、一夏だけの約束でMerriamとの関係が始まります。

一方で、自分を陥れた因縁の敵Westleigh伯爵のことを調べれば調べるほど、実はMerriamはWestleigh伯爵の愛人ではないかという疑惑が高まってきます。Drakeは、じゃあ反対にMerriamを使ってWestleighを陥れる罠にすればいい、と計画しますが、彼女のことを好きになり始めていたのでジレンマに駆られます。

                           

私はC. Holtのようにラブシーンで登場人物が口にするあからさまな表現は嫌いです。でもこのBernardのお話はHoltとは大違いだったので、ホッ。
お話の筋や登場人物は特別良いわけでもありませんが悪くもなかったので、さらにホッ。

このお話に謎の多い(らしい)マダムが出てきます。次は彼女がヒロインかな?の"Madame's Deception"が8月下旬発売予定。

体がほてるラブシーンもロマンス小説の醍醐味。
お試しアレ


Simply Unforgettable

2006年12月18日 | B

Mary Balogh. 2005. Simply Unforgettable. Delacorte Press.

Simplyシリーズの2作目、Simply Loveのレビューは<こちら>。
Baloghの特集は<Spotlight on Mary Balogh>でどうぞ。

新春、翻訳出版されることになったSimply Unforgettable。感動したのはよく覚えているのですが、やっぱり私の他のお気に入り達のように詳しく思い出せるかというとそうでもないので、ハートマークが最初の5つから半分減って4個半になりました。(それでもオススメです。)

Story:    
Dialogue: 
Hero:   
Heroine: 
Sensuality:

クリスマス間近の雪道。
女学校の音楽の先生Miss.Francis Allardが乗った馬車を猛スピードでLucius(Sinclaire子爵)が乗った馬車が追い越しますが、その瞬間
、Francisの馬車が転倒します。
吹雪がひどくなり、クリスマス休暇のために閉まっていた宿を近くに見つけ、二人はそこで一時やり過ごすことに。

吹雪はおさまる様子もなく、二人は数日間そこで二人っきり。二人はここで徐々に打ち解け、新婚夫婦のような生活を送り始めます。
Francisの手料理をつまむLucius(そして手を叩かれる)、雪合戦する二人、文学について語り合う時。二人は不可能な未来を夢見始めます。
Francisは実はワケあり、Luciusは伯爵領の跡継ぎで婚約間近。どうせなら、とこの短期間の間に二人は忘れがたい思い出を作ります。

雪がとけると、LuciusはFrancisにロンドンに一緒に来て欲しいといいますが、Francisは断ります。胸がつまる思いを押し殺しLuciusは何かあったら絶対に連絡して欲しいとFrancisにカードを渡し、二人は別々の元の人生に戻ります。

と、ここまで結構早い展開で進みます。
そして、最近のBaloghのパターンですが、主人公二人はお互いのことを忘れようと努力し、もうそろそろ心の傷も癒えたかと思ったころに再会し、あの忘れがたい思い出が蘇ります。

後半は、Francisの抱える問題を少しずつ解決しながらLuciusはFrancisを追い求めます。

Luciusは、あとはプロポーズの言葉を待つばかりのレディー(名前忘れた)に対してジェントルマンとしての行動を取らなければいけないし、祖父である伯爵を思いやる気持ちや、Francisと一緒になりたいという思いとの板ばさみになり、大変です

    
Amazon.comに寄せられたコメントやPublishers Weeklyのレビューも、「記憶に残るような物語じゃない」と厳しい言葉がならぶので一瞬自信がなくなったのですが、よく見るとBaloghファンからの厳しい意見が多いように思います。正直言うと私も詳細は覚えていない程、めずらしい筋書きじゃありません。期待しすぎてがっかりしたという人が多いんじゃないでしょうか。

でもBaloghならではの部分はたくさんあって楽しめましたよ。離れれば離れるほどお互いに思いが募るのや、ヒーローがヒロインを求める気持ちが強くなる様子など、切なかったです。題名から皮肉って「心に残らない」とかのコメントが多いのでしょうけど、私には二人が互いのことを忘れられない気持ちはよく分かりました。

原書を読まれた方、翻訳を来年読まれる方、みなさんの感想もお聞かせ下さいね


Simply Love

2006年11月16日 | B

Mary Balogh. 2006. Simply Love. Delacorte Press.
Spotlight on Mary BaloghでBedwynシリーズもチェック

                                    
Story:      
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Hero:      
Heroine:  

基本的には大満足です。 仕事(添削)を終わらせないといけないのに、本が置けませんでした。
ハートマークが一つ小さいのになった理由は、私の一番のお気に入り、"
Slightly Dangerous"と比べてしまうからというのと、しいて言うなら、ちょっと全体的に暗かったからです。
             
              
女学校で教師として働いているMiss Anne Jewellは未婚の母です。
Anneはレイプの被害者です。本編を読めばどうしてAnneがそういう状況に陥ったのかもちろんわかりますが、少し前にレビューしたBedwynシリーズのFreyjaのお話
"Slightly Scandalous"を読むともっと詳しくその時の状況が分かります。

              
Anneは、Freyjaとその夫Joshua、Hallmere侯爵の誘いで、9年前に身ごもった息子Davidを連れてウェールズに1ヶ月滞在することになります。

Bewcastle公爵のウェールズにある邸宅の管財人であるMr. Sydnam Butlerは"A Summer to Remember"のヒーローKitの弟です。(
燃えよ!ロマンスでbookgirlさんのレビューをどうぞ
右目を覆った眼帯の下から見える頬はやけどの跡で紫色に変色・変形し、右腕のない彼の姿は、子供も大人も一目見てぎょっとするもの。
Sydnamは、兄に負けないぞとナポレオン戦争に出征し、戦争捕虜となってしまい拷問されたのです。

そんなSydnam、人目を避けてひっそりと暮らしていました。
が、あまり人が訪ねてこないこのBewcastle公爵所有の静かな邸宅に、この夏突然、公爵一家、嫁いだ妹達とその家族も含め、全員集合するというのです。

この一ヶ月どうやって、なるべく人を避けて過ごせるかと憂鬱でした。

Anneも9歳の息子Davidのために一緒に行くだけで、本当はこのホリデーには全く乗り気ではありませんでした。Freyjaからは招待されたけど、公爵のきちんとした招待もなしに、未婚の母があんな位の高い貴族達の前に姿を現すなんてどう思われるかと、長年世間から冷たく扱われてきたAnneの心は沈みます。

そして二人は出会います。

Anneを一目見た瞬間、夢の世界から完璧な女性が飛び出してきたとSyndamは錯覚するほど、Anneの美しさに目を奪われます。
一方、Sydnamの左半面だけをみていたAnne。こんなに美形の男性は見たことがないと見とれていると、彼がAnneの気配に気づいて振り返ります。
彼の右半面を見た瞬間、Anneは驚愕のあまり何も言わず走り去ってしまいます…。

二人にとっては最悪のスタートですが、すぐ後で再会したときの仲直りのシーンをBalogh
のホームページのExcerptで読めますよ

           
"Secret Pearl"のAdamと今回のSydnam Butlerの設定がかなり似ているのですが、作者Baloghは、心も体も想像を絶する傷を追った人達がそれぞれどうやって立ち直るのかに自分自身が大変興味があるから似てしまったんだろうと、表紙をめくると書いてあります。

それにしても、Sydnamが負った傷とその背景、Adamのよりもすさまじいです。
さらに、Secret Pearlのほうは、主人公二人の実らない恋の話に集中するのに対し、Simply Loveは主人公二人の一度地獄を見た心の傷と葛藤する様子が強く描き出されていました。
感動・号泣の波に飲み込まれること間違いなしですけどね!

Sydnamの過去がすさまじいだけにお話の終わりのほうで、兄Kitのまだよちよち歩きで言葉もあまり話せない娘が自分に笑いかけるのを見て、
"Is Uncle Syd funny?"
って優しくおしゃべりしてあやす、そんな素朴なシーンに、私は号泣しました。
この彼の声が聞こえてきそうな一言に、Sydnamの本来の優しさと拷問とその後の苦しみを耐え抜いた強さとが溢れ出ていたように思えたんです。

こうやって、Sydnamの方のお話が強いので、Anneの方の心の葛藤なんかはちょっと影が薄かったです。

あと、Bedwynシリーズを読んでいないと、このSimply LoveではBedwyn家一族・姻族大集合なので、誰が誰だかちょっとイライラするかもしれません。とにかくいっぱい人が出てきます。
私はこのBedwyn家の人たちがSydnamとAnneをくっつけようとする様子を楽しんだし、Bedwynシリーズの大団円を延々と見られたようで大感激!でしたけど

この"Simply"シリーズの1作目、"
Simply Unforgettable"が来年、日本で翻訳出版されることになったと、ひろさんや由良さんが教えてくださいました。
ありがとうございます 

Simply Unforgettable:
<Excerpt>
<My Review>

Simply Loveとは全く違った雰囲気のお話ですが、胸がギュッとしめつけられる切なさあり感動ありと、満足度たっぷりのBaloghならではの純愛ロマンスです。

           
次回作は、Anneと同じ女学校で働いていたSusanna Osbourneと"A Summer to Remember"のヒロインLaurenのいとこ、Peter Edgeworth、Whiteleaf子爵のお話、"Simply Magic"。
最終回4作目は"Simply Perfect"だそうです。


St.Raven

2006年10月02日 | B

Jo Beverley. 2003. St.Raven. Signet.

読み始めたら前に読んだことがあるのを思い出したけど、話の内容をあまり覚えていなかったのでもう一回読み直しました。
ビバリーは歴史背景にかなり忠実だし(特にMallorenシリーズ)、登場人物達もみんな個性がありストーリーもいつもオリジナリティーに溢れていて、期待はずれの作品もあったけど、それでも好きです。

Story:   
Dialogue:
Hero:     
Heroine: 
Sensuality:

Miss. Cressida Mandevilleの父親はギャンブルで全財産を失ってしまいます。失ったものの中にカーマスートラになぞった像も含まれていたのですが、その中に高価な宝石が隠されていたとはそれを手に入れた悪漢Lord Croftonは知りません。
Cressidaは家族を救うためにもなんとしてでもそれを密かに取り戻す計画をします。が、その計画は当時世間を賑わせていたセクシーな追いはぎ強盗Le Corbeauに邪魔されます。

Tristan Tregallows、St.Raven公爵はある目的があってLe Corbeauに変装していたのですが、いざ来た馬車を止めてみると、純粋な女性にしか見えないCressidaがCroftonのような男のところへついていくのを黙ってみていることができず、彼女をさらっていってしまいます。

せっかく助けてあげたと思ったのになぜか怒り心頭のCressidaの話を聞いて、St.Ravenは彼女を手助けをすることに。
向かう先は元Cressidaの家、現Croftonの仮装乱交パーティー会場です。

                   
会場内の様子はビバリーらしいかなり具体的な描写で、自分もその場にいるようです。
St.RavenはCressidaを守りながら宝石を取り戻す約束はしたけど、Houri(イスラムの天女)の格好をしたセクシーなCressidaの魅力に負けそうになってしまいます
一方Cressidaの方は、ただでさえかっこいいSt.Ravenなのに、会場で媚薬入りの飲み物を飲んでしまい、自分の体を彼にこすりつけたい気分

結局、宝石が隠されていた像はロンドンへ持って行かれ、舞台はロンドンへ。でも、Cressidaがスキャンダルに巻き込まれるのを避けるため、あとはSt.Ravenにまかせて二人は別々の元の人生へ戻ります。でもその頃
までには、CressidaとSt.Ravenの絆は強くなり二人ともかなわぬ夢を見ます。元・お金持ち令嬢、現・ただの貧乏な女性と公爵の結婚なんて夢のまた夢。切ないです。ちょこっとだけ。この辺りの二人の気持ちをもっと出してほしかった!

全体的には、Mallorenシリーズほどの重みはないけど、オリジナリティーたっぷりのお話を楽しめます。


ビバリーのはもっと自分では読んでるかと思ってたけど、こうしてまとめてみると読んでないものばかり!これからもっと読むものが増えて得した気分。

The Company of Roguesシリーズ
 (あらすじなどはビバリーのホームページでどうぞ)
1.
An Arranged Marriage (My Review)
2. An Unwilling Bride   
3. Christmas Angel
4. Forbidden 
5. Dangerous Joy
6. The Dragon's Bride  
7. The Deveil's Heiress  
8. Hazard
9. St.Raven
10.Skylark
11.The Rogue's Return
12.To Resucue a Rogue (2006年9月新刊)

The Mallorenシリーズ 
1. My Lady Notorious
2. Tempting the Fortune
3. Something Wicked
4.
Secrets of the Night (My Review)
5. Devilish  

他にもまだまだたくさんあります。


This Rake of Mine

2006年09月11日 | B
Elizabeth Boyle. 2006. This Rake of Mine. Avon Historical Romance.

The Bachelor Chroniclesシリーズ2作目。

Story:      
Dialogue: 
Hero:      
Heroine:  
Sensuality:

放蕩もので有名なJack Tremontはある晩ベロベロに酔っぱらって、オペラ座で自分の愛人と間違ってMiss. Miranda Mabberlyにキスしてしまいます。しかも大勢の人だかりだけでなく彼女の両親や彼女の婚約者とその家族のまん前で。これで二人ともすっかり社交界からは見放されてしまいます。

Mirandaはその後名前を変え、母校で礼儀作法の先生として働きひっそりと暮らしていましたが、9年後、MirandaとJackは再会します。
JackはMirandaの働く学校に姪を迎えに来たのですが、そこでMirandaと鉢合わせします。出会い頭にぶつかった二人、Mirandaは9年前のようにJackの腕の中に飛び込んでしまいます。

"Remember…"

Jackの記憶を呼び起こそうとする声が聞こえますが、Jackは思い出せません。
その後、Miradaのことを思うかわいい生徒達によって必死のマッチメーキングが繰り広げられます。        



生徒達の努力はかわいかったけど、ありえない強引な状況でお話は進みます。ユーモアがあるわけでもなく(あったけど私のツボにはまらなかっただけ?)、後半はお話がすっかり逸れていって、JackとJackの死んだはずの叔母さんのスパイ活動のお話になります。

あらすじがおもしろそうだったので借りてきたのですが、実際中身は全体的にペースが遅くて面白くありません。
主人公二人をはじめ登場人物たちみんながそれぞれいい味を出していたのに、冴えないお話でした。

ザザザーと流し読みしてしまいました。

3作目は"His Mistress by Morning"。

Seducing the Spy

2006年09月08日 | B

Celeste Bradley. 2006. Seducing the Spy. St.Martin's Paperbacks.

あまりスパイらしいことはしないけど、The Royal Fourと呼ばれるスパイ達がヒーローのお話です。以前にレビューした"
To Wed a Scandalous Spy"はイマイチだったけど、今回のは前半は主人公達のコミカルな会話と展開でどんどん読み進むことができます。

Story:    
Dialogue: 
Hero:     
Heroine:  
Sensuality:

The Royal Fourのメンバーや歴史に関する幼稚な描写はかなり減っていたのでうれしかったです。

今回のヒロインLady Alicia Lawrenceは先回作のWillaのような天然ボケとは全く違い、賢くてドライユーモアたっぷり。
ただ、
5年前のスキャンダルで英国一のうそつきと呼ばれるようになり、社交界だけでなく両親からも見捨てられ、貧民地域の片隅でひっそり暮らしていました。ある日見知らぬ男達がPrince Regentを誘拐する計画を練っているのを立ち聞きしてしまい、Wyndham侯爵に連絡を取ります。

Wyndhamは人のうそを見抜く天才的な才能をもっています。が、Aliciaの言うことだけはうそなのか本当なのかさっぱり分かりません。

誘拐を企てている男達の一人が上流出身の紳士だということがアクセントからわかったAliciaは顔は見ていないがもう一度彼の声を聞けば分かると言うので、WyndhamはAliciaに愛人のフリをしてもらい社交界に出入りすることに。そしてまず最初のイベントはなんと乱交アリで有名なハウスパーティー。
最初はWyndhamはAliciaの率直さや正直さにとまどいますが、それがまた魅力的でもあり、彼女を自分のものにしたい欲望に駆られます。
でもうそをつく人間達ばかりにかこまれて育ったWyndhamはAliciaを知れば知るほど、正直そのものの彼女の本心が分からなくなってきます。

    
前半の二人のやりとりは声を出して笑ってしまうほど。特にAliciaが表むきだけWyndhamの愛人になるのに同意してからのやりとりは爆笑もの。
世間体なんておかまいなしで好き放題やるAliciaですが、過去に両親や社交界にひどい裏切られ方をして心に深い傷を負っています。それでも気丈にふるまうこのヒロインがすごく気に入りました。
後半はユーモアはなくなってしまい、WyndhamがAliciaを信頼できず悶々としてばかりでドツイテやりたくなりますが、最後の最後の告白はこっぱずかしいけどこれまたロマンチック

ちょっと細かいことを言うと、Wyndhamの「ウソを見抜く天才的な才能」はそんなに言うほど天才的ではないというのが私の印象でした…。 

ま、短いお話でそんなに内容の濃いものでもありませんが、An Enjoyable Read! 楽しめます。


Slightly Scandalous

2006年08月14日 | B

Mary Balogh (2004) Slightly Scandalous. Dell

Story:     
Dialogue:  
Hero:      
Heroine:   
Sensuality:

Spotlight on Mary BaloghでとりあげたBedwynシリーズの3作目、気の強いFreyjaのお話。

Freyjaは大失恋の傷もまだ癒えぬというのに、かつて激しい恋に落ちたお相手のKitは別の女性と幸せな結婚をし第一子の誕生も間近。
(Kitのお相手はLauren:
"One Night For Love"のヒーローNevilleに結婚式の当日文字通り教会に置き去りにされてます。KitとLaurenの話は"A Summer to Remember")
結婚まで考えた相手が別の女性と幸せ一杯。顔の筋肉が痛くなるまで笑顔を振りまいて何もなかったかのように振舞うなんて無理、とFreyjaはBathに向かいます。
途中、部屋のドアに鍵もない古びた宿に泊まり、そこで真夜中にJoshua Moore(実はHallmere侯爵)と劇的でコミカルな出会いをします。
JoshuaはFreyjaから一つキスを奪い、FreyjaはJoshuaの鼻にパンチ・鼻血のお土産を食らわせます・・・。
そしてBathで再会。あるパーティーでFreyjaはJoshuaの紳士的でない行動をゲストの前で公然と非難し、二人の関係は最悪の状態から始まったかのようですが、ぶつかり合う度に、実は心のそこで「こいつやるな」と互いに思う二人。

Bathの生活にも飽きてきたなと思っていたところに、Hallmereの叔母が到着します。自分の娘とHallmereを何が何でも結婚させようとする叔母の計画を阻止するために、HallmereとFreyjaはウソの婚約をします。
婚約発表すれば叔母はすぐに田舎に帰るだろう、そしたらすぐ婚約解消すればいいと思っていた二人ですが、Hallmereの祖母が盛大な婚約記念パーティーを計画し始めるし、Freyjaの兄、Bewcastle公爵が婚約の話を聞きつけやって来るわで、二人はドツボにはまっていきます。

自分の計画を阻止され仕返し気分満々の意地悪なHallmereの叔母は、Hallmereが自分の息子(先の跡継ぎ)を殺害したとBewcastleにほのめかしたり、Hallmereには愛人との間に子供がいるだとか、「殺害の目撃者」を用意したりと大忙しです。
このお話でもBewcastleがすっきり事件解決かと思ったら、Hallmereの人柄ゆえに全てうまく収まります。地元の人達がみんなHallmereのことを慕うのがよく分かります。

Freyjaは気が強くて何かというと兄達やHallmereにパンチを食らわすことばかり考えていて、このことに引いてしまう人もいるかもしれません。
兄二人と近所に男の子しかいない環境で育った私はものすごく親近感が沸きましたが。

全体的なハートマーク評価は3つ半から4つの間くらい。4つもあげられないけど、3つ半だと少ないようなかんじ。それでも期待を裏切らない「あぁ~、Balogh
だぁ」の世界をうんと堪能できます。
つい先日出たSimply LoveのヒロインAnneの過去がこのお話の中で分かります。彼女の魅力がすでにSlightly Scandalousに出ています

あと、Bewcastleのことを妹の視点から見た描写がたくさんあります。冷酷、厳格、笑わない、など。そのせいでBewcastle自身が幸せになるお話 "Slightly Dangerous"をもう一回読みたくなりました


Jessica Benson

2006年06月20日 | B

Jessica Bensonのリージェンシーものを二つ。
Georgette Heyerを思わせる、と言っているAmazonのレビューアーもいますが、う~ん・・・。

The Accidental Duchess (2003) Pocket

ヒロインがもう少し頭が良ければ、何もかもスムーズに行ったはず・・・。
               
幼なじみで双子の片割れMilburneと結婚したと思っていたGwen。初夜になって始めて、結婚したのはMilburneではなく双子の兄の方、公爵領の跡継ぎCambourneと分かりびっくり! 問題はGwenの気持ちなど無視で、家族みんなこのことを最初から知っていた様子。でもロンドン社交界は、GwenとMilbourneが結婚したと思っている・・・。
でも「National Security」のために理由は言えないとCambourneも誰も理由を話してくれません。

CambourneがGwenを一途に思う気持ちが切ないほど分かる所はいいのですが、反対に、Gwenのウブさとニブさからくる子供っぽいイライラに読者は付き合わなければいけません・・・。

Lord Stanhope's Proposal (2005) Zebra
(再版)
こちらはナカナカ。
            
頭の悪いいとこのOssieと友人達が、スピンスターのある女性を的に冗談にならない賭けをしたせいで、Stanhope伯爵はその女性Calistaをスキャンダルから救うため、一路田舎へ。が、想像していたおとなしい田舎娘とは正反対の自立したCalistaに驚ろかされることに。毒舌だけど美しくて聡明なCalistaの魅力のとりこになってしまったStanhopeは、結婚は絶対にしないと誓った彼女をなんとしてでも説得しようと試みます・・・。
ちょっと冒険に欠けるけど、ユーモアありのスムーズなお話。

 あとBensonは今年1月に「Much Obliged」を出してます。
Amazonではなかなかの反応のようですね。