沖縄・台湾友の会

《台湾に興味のある方》《台湾を愛する方》《不治の病・台湾病を患ってしまった方》皆んなで色々語り合いたいものです。

ロシアの「G8復帰」になぜ民主党は反対なのか?   プーチンを意固地に追い込んで、中国包囲網にロシアを梃子とは出来なかった

2020-11-23 20:36:19 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和2年(2020)11月23日(月曜日、新嘗祭)
        通巻第6709号
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 ロシアの「G8復帰」になぜ民主党は反対なのか?
  プーチンを意固地に追い込んで、中国包囲網にロシアを梃子とは出来なかった
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 ロシアに対して、欧州は警戒を緩めない一方で、ドイツはロシアからガスを輸入し、さらにバルト海の海底パイプラインも第二期プロジェクトが進捗している。
 ポーランドやバルト三国、フィンランドがロシアの軍事力を警戒するのは過去の歴史を振り返れば極く当然であり、スカンジナビア諸国も、ロシア警戒の防衛態勢の再構築には積極的になる。

 NATOの軍事力は「ロシアシフト」され、さらにリトアニアとポーランドには米軍が展開している。ブルガリア、ルーマニアはNATOにすぐさま加盟し、対ロシアミサイル網の前線基地となった。旧ソ連圏の中の旧東欧諸国はことごとくが親欧米に向きを変えた。もっとも「神聖ローマ帝国」時代から東欧はソ連を受け入れる政治体制はなかった。

 こうした情勢の変化を、ロシアから見ると、旧ソ連圏での影響力低下は屈辱的な外交的後退である。クレムリンの嘆きは手に取るように分かる。
 冷戦が終結しソ連が崩壊した後、真っ先にバルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)が独立した。カフカスの三ヶ国(グルジア=現在のジョージア、アルメニア、アゼルバイジャン)、そして中央アジア五ヶ国(カザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、タジキスタン、キルギス)も独立し、傀儡政権と言われたウランバートルにも親西側の政権が産まれた。筆者はこれらの国々を何回にも分けてすべて訪問し、ルポをまとめた(拙著『日本が全体主義に陥る日』、ビジネス社)。

 ロシアの影響力低下に便乗し、中国はタジキスタン、カザフスタン、トルキスタン、キルギスの大々的な投資を敢行し、ロシアの政治的位置を代替するかのように政治的影響力を拡げた。その手段は、SOC(上海協力機構)だった。

 中国は謎の国トルクメニスタンにプロジェクトを持ちかけ、およそ6000キロ以上のガスパイプラインを敷設し、経由地のウズベキスタン、カザフスタンに「通過料」を支払い、しゃにむに上海まで繋げた。これにより旧ソ連中央アジア圏は、ロシアと中国のバランスをとる路線に修正し、さらにはキルギスでは親露派大統領が退陣、タジキスタンには中国人民解放軍が駐留している。

 経済的困窮と政治的混乱に陥っていたロシアは、中国の跳梁を前に為す術もなく、逆に中国の金を当てに石油ガス、そして武器輸出で急場をしのいだ。だから内心で「:キタイ」に不快感を抱きながらも、中国とは戦略的パートナーだと言い張るのである。キタイはロシア圏で中国を意味する。

カフカスでもジョージアには親米派政権が誕生し、アゼルバイジャンへはロシアより、トルコの影響力が急増した。

 ロシアはこれらの巻き返しのため、ガスパイプラインをトルコ経由に変更し、南欧への経済的影響力を強める一方で、米国が介入を躊躇ったシリア内戦に本格介入し、軍事的拠点を維持する。
ロシアはシリア介入で敵対していたトルコと急接近し、S400ミサイル防衛網を売り込み、配備させて米国を苛立たせた。トルコはNATOの一員だから、このトルコにロシア傾斜は西側にとっては重大問題である。

 ロシアにとって「兄弟国」は、ウクライナ、ベラル-シである。スラブ民族として血の紐帯がある。
 ところがオバマ政権時代に米国はウクライナ民主化に露骨に介入し、そのため内戦となってウクライナの東側はロシア軍(民間武装組織を名乗っているが)が抑えた。ウクライナの西側は親欧米派で、分裂状態となった。


 ▼民主党の価値観外交を看板の旧ソ連介入、ウクライナで失敗

 米国のウクライナ介入は失敗だったと言える。
ヒラリーが長官時代の国務省が裏側で支援した。バイデン親子の「ウクライナ・スキャンダル」は、この過程で発生しており、バイデンは明確にロシアを敵視している。バイデン政権の外交を司る国務省は反露派の牙城と化けそうである。

 ベラルーシは欧米が非難してやまないルカシェンコ独裁が続くが、ロシアが内側から静かに支援し、不正選挙に抗議する反政府運動を抑え込んだ。ロシアがベラルーシに気を取られている内にモルドバは親欧米派の大統領(サンドゥ女史)が大勝した。モルドバには国内国として沿ドニエストル自治区があって、ロシアはこの自治区を抑え、モルドバ政治を裏側から操ってきた。

  2014年三月に米国は露西亜をG8から排除した。プーチンは意気消沈したかに見えたが、米国との間にSTART(戦略的核兵器削減交渉)の更新をひかえており、2018年6月にトランプは、露西亜の8Gを提唱した。

 トランプの狙いは明らかです。ロシアを中国包囲網に巻き込む、あるいは対中敵視政策ではロシアを反対に回らせないことである。バイデンは、この基本をひっくり返そうとしており、ロシアへの敵対をつづけると、プーチンはますます意固地になって中国との「同盟関係」を深めさせるだろう。戦略的見地から言えば、たいそう危険なのである。

 G8への復帰をトランプが提唱しても、欧州の反応はつめたく、米国でも本格議論とはならなかった。オバマ前政権が掲げていたのは「価値観外交」であり、ロシアは反発した。『価値観』などと意味不明、ロシア正教から見れば、欧米のキリスト教は聖典の解釈が異なる。

 2019年8月、トランプはロシアとの間に締結していたINF(中距離核戦力全廃条約)の失効を迎え、廃棄した。むしろ中距離核戦力の再配備に移行する。これは対中国の軍事的脅威に対抗するためである。

 こう見てくると民主党は中国に敵対するより、ロシア敵視が強く、バイデンは中国に対して(トランプの高関税報復のような)懲罰的政策は採らないと厳命している。したがってバイデン政権となると、外交戦略はロシア、中国へのアプローチが変わることになるだろう。

トランプ外交の「仕上げ」は台湾訪問だ!   日程が無理ならペンス副大統領か、ポンペオ国務長官を台湾へ送れ

2020-11-23 09:28:37 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和2年(2020)11月22日(日曜日)
        通巻第6708号
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 トランプ外交の「仕上げ」は台湾訪問だ!
  日程が無理ならペンス副大統領か、ポンペオ国務長官を台湾へ送れ
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 小誌は通巻第6705号(11月19日)に次のように書いた。
 「トランプ大統領は敗北を認めていないが、現在トランプが没頭しているのは『やり残した約束事』を任期中(あと2ケ月ある)に済ませてしまう」ことである。
 バイデン就任前に「やるだけのことはやる」との決意を固め、トランプはこれまでの仕事の完成を急ぎだした。イラク、アフタニスタンからの米軍撤収、APECへ三年ぶりの参加などだ、次にやりそうなことはバイデンの公約である「パリ協定」への復活、イランとの核合意への復帰、TPPへの復帰などを、いかにして阻止するか。トランプが繰り出すであろう次の一手は何か?」(引用止め)。

 今朝のニューヨークタイムズの記事を見て驚いた。同じ分析をしていて、一面トップの見出しは次のようである。
 Trump Using Last Days to Lock in Policies and Make Biden’s Task More Difficult
 (米国版11月21日)。

 そしてもう一つ、筆者の想定を越えた予測記事が出た。
『ナショナル・インタレスト』(保守系のシンクタンク主宰のネット新聞)にクリスチャン・ウィットソン(前国務省高官)が「仕上げはトランプ大統領の台湾訪問である」と主張していることだった。

トランプは対中戦略を百八十度、転換させ、中国敵視政策に移ったが、同時に台湾との関係も劇的に変更し、1979年の「台湾関係法」に基づく武器供与は、バージョンアップのF16,地対空、対艦ミサイル『ハープーン』、高性能魚雷などの供与を発表して、中国の批判などどこ吹く風だった。

さらに「台湾旅行法」の制定は、アメリカ政府高官ばかりか大統領も台湾訪問が可能であるとし、事実上、アバー厚生長官、クラック国務次官を台北へ送り込んだ。次はもっと大物が訪台するという予測はあった。

あまつさえトランプ政権で「TAIPEI法」を制定し、台湾と断交した国に制裁を加えるなど、台湾擁護の姿勢はますます密度濃くなっていた。

1963年、ケネディ大統領はベルリンを訪問し、大群衆を前に演説し、全体主義の圧政に暗く沈黙し、気魄が沈殿していたベルリン市民に勇気を与えた。旧ソ連への痛撃となった。

したがってトランプ大統領は、残された任期中に、(やめてからでは意味がないのだ)、トランプ大統領そのひとの台湾訪問があれば、自由アジアはどれほど勇気つけられるだろうか。

『ナショナル・インタレスト』でウィットソンは「仕上げはトランプ大統領の台湾訪問だが、次善の策としてペンス副大統領、あるいはポンペオ国務長官の台湾訪問」を提唱している(同紙、11月21日)

BMWもルノーもビックリ、中国の合弁相手先の親会社が倒産    国有企業大手、土壇場でも社債の償還が出来ずデフォルトを宣告

2020-11-23 09:27:45 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和2年(2020)11月21日(土曜日)
        通巻第6707号
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 BMWもルノーもビックリ、中国の合弁相手先の親会社が倒産
   国有企業大手、土壇場でも社債の償還が出来ずデフォルトを宣告
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 中国の大手自動車メーカー「華晨汽車集団」は秋頃から経営破綻が近いと言われてきた。ドル建て社債のデフォルトをやらかし、いつもなら土壇場で出現する「謎の胴元」があらわれなかった。

 この自動車メーカーは「集団」のメンバーである子会社がドイツのBMW、フランスのルノーとそれぞれ別個の合弁事業を展開している。とくにBMWは2020年10月までに54万台を販売して中国富裕層の人気が熱く、ベストセラーを続けてきた。華晨汽車は肝腎の自社ブランド「金杯」などは不評だった。

 BMWもルノーもビックリ、合弁相手先の親会社が倒産したのだから、悪影響が出るのは必定である。まして米国テスラとともにBMWは中国で生産したEVの欧州への逆輸出を始めたばかり。ルノーも遅れてはならじと、華晨汽車ではなく中国の日産とEVの生産を始めていた。楽観は禁物だった。中国の国有企業大手がまさか土壇場で社債の償還が出来ずデフォルトを宣告されるとは。

 従来、国有企業大手は倒産寸前に「謎の胴元」が突然出現し、資金を供与して国有化するか、地方自治体に負債を肩代わりさせたり、第三セクタ-の事業体を設立させ、ともかく国有大手には命脈を保たせてきた。
しかし華晨汽車集団のデフォルトには二つの側面がある。
第一に中国が国を挙げての自動車生産の力点はEVに移行していることだ。ガソリン車には重点を置かない方針がきまっているのだ。
 第二は遼寧省が習近平にとっては鬼門であること、東北部は、習近平がもっとも苦手とする地域であるため支援に消極的なのである。

とはいうものの国有企業の倒産ともなると、地域経済は一挙に冷却し当該地区は失業者が溢れかえり、治安が悪化する懼れが高くなる。華晨汽車は従業員が4万7000人、その傘下企業は160社。瀋陽は既に数年前から不況に陥っており、伊勢丹など日本企業の店じまいもなされてきた。遼寧省でまだ景気が維持されているのは親日派の多い大連くらいだろう。

11月20日、中国のメディアは同社の下請け会社が訴えていた破産手続きの申請を認めたため経営破綻を報じた。遼寧省瀋陽市の中級人民法院(地裁)が債権者からの再建手続きの申し立てを受理したのだ。

この華晨汽車集団のデフォルトは2017年に起債した社債10億元分で、利息5300万元。合計10億5300万言(邦貨換算で164億円)。他に起債した同社社債は1000億元を超える。
EV、無人自動車、リチウム電池で世界一の座を狙う中国の自動車産業も、足下が崩れ始めた。

ツイッターで「台湾は存在する」投稿もだめ? 台湾総統府報道官のツイートに規制表示

2020-11-23 09:26:44 | 日記
「台湾の声」ツイッターで「台湾は存在する」投稿もだめ?


ツイッターで「台湾は存在する」投稿もだめ? 台湾総統府報道官のツイートに規制表示

台湾総統府報道官のKolas Yutakaがツイッターに、「Taiwan:
*exists*」と投稿したところ、ツイッター社により「この主張には論争がある(This
claim is
disputed)」と表示がつけられた。この投稿が話題となり、19日深夜までに15000人以上のいいねがつけられ、1800回リツイートされた。外国人ネットユーザーからも注目され、「台湾は主権独立国家」「これについて論争などない!」「台湾は中国ではない」「台湾No.1」「これまでに見た中での最高傑作」などの激励メッセージが寄せられた。


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台湾の声

鍛冶俊樹の軍事ジャーナル (2020年11月20日号) *トルコ帝国の復活

2020-11-23 09:25:59 | 日記
鍛冶俊樹の軍事ジャーナル
(2020年11月20日号)
*トルコ帝国の復活
 東アジアでは風雲、急を告げているが西アジアでは、とっくに戦争が始まっている。カスピ海の西で起きたナゴルノカラバフ紛争である。9月にアゼルバイジャン軍がアルメニアの支配地域に侵攻し、両軍で本格的な戦闘となった。
 10月にロシア、続いて米国が仲介に入り今月に入って停戦が実現したが、アルメニアは従来、支配していた地域の多くを放棄した。つまりアゼルバイジャンの勝利である。ロシア軍は停戦監視団として派遣されているが、事実上アルメニアを保護する役割である。
 アゼルバイジャンを支援していたのはトルコ、アルメニアを支援していたのはロシアだが、トルコ製の攻撃ドローンに対してロシア製の防空ミサイルS300は無力だった。つまり軍事技術戦争においてロシアはトルコに敗れたのである。

 地図で見るとトルコとアゼルバイジャンの間にアルメニアがあるのだが、民族的にはアゼルバイジャンはトルコ系であり、人種、言語、宗教でトルコに近い。実はトルコ系はここに限らず東アジアから西アジア、中近東に広く分布している。
 1453年に東ローマ帝国を滅ぼしたオスマン・トルコ帝国は16世紀には東欧、中近東、西アジアにまたがる大帝国となった。モーツアルト作曲のトルコ行進曲は、まさにそのトルコ軍の勇壮ぶりを今に伝えている。
 19世紀に入るとオスマン・トルコは、ロシア帝国との戦いに敗れ続け、20世紀に入ると第1次世界大戦で敗れて帝国は解体され、縮小した領地でトルコ共和国として再出発した。米ソ冷戦期には米側の最前線でソ連と対峙した。

 すなわちトルコは長年にわたってロシアの軍事的圧迫に苦しめられてきた。その宿敵ロシアに、今般、初めて勝利したのである。時を同じくして旧ソ連領のキルギスで体制変革の動きが顕在化している。
 キルギスもトルコ系でありロシア主導の独裁体制への不満が渦巻いている。トルコ民族主義は西アジア、中央アジア、東アジアで台頭してきている。その目指す所はトルコ帝国の復活であり、今回の勝利は、その一里塚となろう。
 軍事ジャーナリスト 鍛冶俊樹(かじとしき)