沖縄・台湾友の会

《台湾に興味のある方》《台湾を愛する方》《不治の病・台湾病を患ってしまった方》皆んなで色々語り合いたいものです。

トランプ政権、89社の中国企業に禁輸措置    中国の中距離旅客機=C919を筆頭の制裁対象

2020-11-29 22:24:45 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和2年(2020)11月28日(土曜日)弐
   通巻第6716号
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 トランプ政権、89社の中国企業に禁輸措置
   中国の中距離旅客機=C919を筆頭の制裁対象
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 さきにトランプ政権は中国の90前後の企業を「軍事直結」として指定した。「軍が事実上経営するか、軍に密接に繋がる中国企業」と定義した。

 近く、これらリストアップされたなかから、89社の企業へ具体的な制裁措置が発表される。
 なかでも中国の「国産」を謳った中距離旅客機=C919を製造するCOMACに対して、エンジンと中枢部品の輸出を禁止する方向で固まったとサウスチャイナモーニングポスト(11月28日)が報じた。

 「国産」とはいえ、中国はエンジンと中枢部品をアメリカからの輸入に依存している。
これらが入手できなければ、せっかくのC919旅客機も完成しない。アメリカは型式証明を許可していないが、このやり方は三菱重工のそれに対してとられた措置と同様である。

ただし中国は型式証明がなくとも、国内線は平気で飛ばす「国内基準」がある。
問題はすでにアジア、中東から注文を受けており、これらが輸出できなくなる事態になることであり、中国にとっては深刻であろう。

トランプは「大統領命令」で、緊急措置を発表するが、これにより当面、エンジンや中枢部品は倉庫に置かれるだろう。
アメリカの製造メーカーも余波で悪影響が出るが、宇宙航空ならびに兵器ビジネ

鍛冶俊樹の軍事ジャーナル (2020年11月27日号)

2020-11-29 22:23:45 | 日記
鍛冶俊樹の軍事ジャーナル
(2020年11月27日号)


*安倍晋三秘録
 今月、刊行された「安倍晋三秘録」を読了した。著者は、産経新聞の政治部長も務めた政治ジャーナリスト石橋文登(ふみと)氏である。氏は産経の政治記者時代から安倍前総理や菅総理ら有力政治家と親しく、時に直言も憚らない人物であり、その裏話は現代政治史の貴重な証言である。
安倍晋三秘録 | 株式会社 飛鳥新社 (asukashinsha.co.jp)

 1990年代は、バブル崩壊、自民党長期単独政権の終焉に始まる政治的にも経済的にも混乱の時代であったが、その混乱からの脱却を試みた森政権、続く小泉政権から現在いたるまでの目撃証言は左翼マスコミの報道がいかに偏向していたかを浮き彫りにしている。
 詳しくは本書を読んでいただくしかないが、一つだけ興味深い記述を紹介しよう。地検特捜部に代表される検察庁、法務省の動きについて「森友事件を契機に安倍晋三を退陣に追い込もうと考えていたとみるのが自然ではないか。」と述べているのだ。

 さらに続けて「事件の最中に「山本特捜部長が朝日新聞に情報をリークしながら世論誘導を試みている」という噂が流れたが、あながち嘘とは思えない。」「検察庁法改正をめぐる検察OBの激しい政権批判も人権擁護法案を潰した安倍晋三への意趣返しだったのではないか」と書いている。
 先週あたりから、とうに解決済みと思われていた桜を見る会前夜祭をめぐる安倍事務所の会計処理問題が蒸し返されている。しかも東京地検特捜部は一部メディアにだけ捜査情報をリークして世論誘導を図っているのを見れば、この記述は単なる憶測とは言えまい。

 「日本に拡がる精神の曠野、的中した三島の予言」(三島事件から半世紀)

2020-11-29 22:22:14 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和2年(2020)11月28日(土曜日)
        通巻第6715号   <前日発行>


「日本に拡がる精神の曠野、的中した三島の予言」(三島事件から半世紀)
                                    宮崎正弘
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 あの驚天動地の衝撃となった三島事件から半世紀を経て、当時の全共闘世代は後期高齢者に近付き、60年安保世代の多くは鬼籍に入った。
 歳月の流れは速い。「昭和元禄」といわれた経済の高度成長は峠をこえて、バブル崩壊後の日本は右肩下がりのGDP。国民から活気は失われ、詩の精神は枯渇し、草食系男子が蔓延り、伝統的な価値観は鮮明にひっくり返った。伝統文化は廃(すた)れた。

 日本に唾する人々が論壇とメディアを壟断し、自虐史観は拡大再生産され、改憲は一歩も前に進まず、歴代首相の靖国神社参拝もはばかれるようになった。
 諸外国から莫迦にされ、とくに中国に対して「位負け外交」に埋没した。民族にとって何が一番大事な価値であるかを真剣に考える人々が少なくなった。
 日本に拡がるのは精神の曠野である。

 米国では熾烈な大統領選挙と左右への分裂、中国の軍事的覇権の拡大を前にして、無力なばかりの日本。
 市ヶ谷台の激憤から五十年後のいま、三島由紀夫の予言の多くが的中していることに私は慄然としている。
 空っぽで、無機質で、ニュートラルな経済大国が極東に残っているだけで武士道精神はもぬけの殻になっているだろうと三島は現在の日本を見通していた。
 最後の矜持だった「経済大国」の位置さえ諸外国の猛追により失われ、日本が誇った匠たくみ)の技術も激減した。
 三島が檄文で訴えたクーデターを現在の自衛隊に望むことは妄想である。体験入隊を通じて三島はいやというほど体得していた。

 「三島の死も森田の死も、大津皇子の死と同じ意味を持つであろう。それは速須佐之男命、倭建命から為朝、そして二二六事件の青年将校へと続く系譜に、三島、森田が連なる」と三島研究家の井上隆史(白百合大学教授)は指摘する。

 現在の日本の寂しさをも三島は予言していた。五十年目を迎える「憂国忌」。人々の胸裡を去来するニヒリズム!

 「ひとたび叛心を抱いた者の胸を吹き抜ける風のものさびしさは、千三百年後の今日の我々の胸にも直ちに通うのだ。この凄涼たる風がひとたび胸中に起った以上、人は最終的実行を以ってしか、つひにこれを癒す術を知らぬ」(三島由紀夫「日本文学小史」)。
   (『夕刊フジ』、平成二年十一月二十五日号から再録)

【黄 文雄】台湾人が望むトランプ大統領の訪台と国家承認の現実性

2020-11-29 22:20:58 | 日記
「台湾の声」 【黄 文雄】台湾人が望むトランプ大統領の訪台と国家承認の現実性


【黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」】より転載


           黄 文雄(文明史家)

◆米国のウィーラー環境保護局長官が12月の台湾訪問を延期

 アメリカ環境保護局(EPA)のウィーラー長官が、12月に台湾を訪問する予定でしたが、国内での「喫
緊」の優先課題を理由に、これを延期すると発表しました。

 今年8月にはアザー厚生長官、9月にはクラック国務次官が台湾を訪問しており、ウィーラー長官は3人目の
アメリカ政府高官の訪台となるはずでした。台湾外交部の報道官も、ウィーラー長官の訪台延期を残念だと
したうえで、「今後もアメリカ政府高官による台湾訪問を歓迎する。今後の訪問を円滑にするため、バイデ
ン次期米政権と協力していく」といった内容のコメントを出しました。

 これまでのアメリカ政府高官の台湾訪問については、中国は相当神経を尖らせており、8月や9月のアザー
長官、クラック国務次官の訪台の際には、台湾周辺に戦闘機を飛ばして威嚇しました。それだけに、ウィー
ラー長官の訪台延期について、中国は安堵しているに違いありません。

 呉[金リ]燮外交部長(外相)によれば、訪台は昨年末から打診していたものの、新型コロナウイルスの影
響で実現が先送りされてきたそうです。そして11月20日、呉外交部長は、12月5日より3日間、ウィーラー長
官が訪台する計画をアメリカ政府から打診されたことを発表しましたが、それからわずか5日ほどで、予定変
更になったことになります。

 訪台延期の理由はわかりませんが、アメリカの新型コロナ流行がさらに厳しい状態になっていることに加
え、中国と何らかの取引があったのかもしれません。大統領選挙で追い込まれているトランプ氏ですから、
もしも中国が高圧的な態度に出れば、逆に最後っ屁のように、大きなサプライズを起こすような行動に出る
かもしれません。

 中国もそれを警戒しているはずです。その一方で、バイデンの息子ハンター・バイデンと中国企業の癒着
の情報など、中国側はトランプに有利になるような情報をいろいろ持っていると思いますので、そうした点
で、「ディール」したという憶測も成り立ちます。

◆台湾で期待されるトランプ大統領の訪台と国家承認

 いま、台湾の一部で期待されているのが、「トランプ大統領の訪台と国家承認」です。これは、今年の10
月12日に日本の夕刊フジのサイト「zakuzak」で、「トランプ大統領の台湾への電撃訪問と国家承認
宣言が検討されている」という記事が出たことが発端です。

 これに対して、蕭美琴・駐米代表(大使に相当)は、10月13日、メディアの取材に対し、「アメリカ政権
関係者と話す中で報道にあるような話は聞いたことがない」と否定しました。

 しかし、その後のアメリカ大統領選挙でバイデン氏の勝利が確実視されていくなかで、トランプ大統領が
台湾を訪問し、国家承認するのではないかという話が、日本の保守層や台湾の一部で、再び盛り上がりを見
せているのです。

 蔡英文総統は、11月5日、バイデン候補が優勢になっていることを受けて、自身のフェイスブックで台湾
国民に対し「トランプ敗北でも冷静に」と呼びかけました。そして、「どちらが勝っても米台関係は揺るが
ない」と強調しました。逆に言えば、それだけトランプ勝利を期待していた台湾人が多かったということで
あり、バイデン勝利への動揺が大きいということでもあります。

 オバマ政権の8年間では、台湾への武器売却はわずか4回でしたが、トランプ政権は4年間で10回も売却し
ています。そして、政府高官の往来を促進する「台湾旅行法」や台湾の外交的孤立を防ぐための「台北法」
などを相次いで成立させてきました。

 トランプ大統領は、今回、バイデン氏に敗北して大統領の座を明け渡しても、4年後に再び大統領選挙へ
出馬する意欲を示しているとも言われています。そうであれば、バイデン時代に後戻りできないほど、来
年の1月20日の大統領就任式までに自身の政策を一気に進めたいと思っているはずです。

 台湾としては、トランプ大統領が台湾を国家承認してくれることをもっとも期待しています。バイデン氏
は息子が中国企業とカネでつながっている関係があるため、そこまでの期待はできません。むしろ米台関係
はかなり交代せざるをえないでしょう。

◆黒人の人種差別問題を煽る民主党

 台湾人の多くは、バイデン大統領の勝利に落胆していますが、ただし、人権問題やマイノリティ問題など
においては、アメリカの民主党と台湾の民進党はかなり近いものがあります。

 アジアで初めて同性婚を国として認めたのが台湾です。民進党は左派傾向の強い政党であり、アメリカ民
主党とは政治的方向性ではある程度の親和性があります。

それでもバイデン氏よりトランプ大統領のほうが台湾にとって望ましいと考える台湾・民進党員が多いのも
事実です。バイデン大統領になったとき、自由、民主、人権などで台湾を支持してくれるのかどうか不透明
です。とはいえ、台湾を支持しなければ、民主党の政治的主張が嘘だったということにもなります。

 アメリカでは、トランプおよび共和党=白人至上主義、民主党=黒人やマイノリティの味方のように見ら
れています。

 しかし、アメリカの保守層には、黒人の人種差別問題を煽っているのは民主党だという意見が根強くあり
ます。キャンディス・オーウェンズという黒人女性は、「民主党は黒人の被害者意識を煽り、いつまでも黒
人を『白人からの差別によって虐げられている人』に位置づけている。黒人が差別から脱していると一番困
るのは民主党だ」と批判しています。

 彼女が今年9月に出版した『Blackout: How Black America Can
Make Its Second Escape from the Democrat
Plantation』という書籍は、全米でベストセラーになりました。

 副題を日本語に訳すと、「アメリカ黒人は民主党の奴隷農場から再び逃れるためにどうすればいいか」と
いうことになるでしょうか。

 南北戦争以前、黒人の奴隷農場は民主党の地盤である南部に多く、一方、北部は共和党の地盤でした。こ
のときが民主党による最初の「奴隷農場」であるとすれば、現在は2度目の「黒人奴隷農場」の状態だと、
オーウェンズ氏は主張しているのです。

◆日本で決議したい「中国は台湾への武力行使を放棄せよ」

 香港では周庭氏ら民主活動家が収監されました。これに対して、各国政府はまだ反応を見せていませんが、
バイデン氏はどのようなコメントを出すのか、あるいは出さないのか。それによりバイデン政権の姿勢も見え
てくると思います。

 そして、より重要なのは、日本と台湾が一蓮托生だということです。そのため、日本の国会で「台湾基本法」
(日本版・台湾関係法)や「中国は台湾への武力行使を放棄せよ」という決議を進めるべきなのです。これが
行われれば、その影響は世界の先進国にも及びます。

 台湾が国家として存立できるかどうかの条件としては、中国政府の武力行使に耐えられるか否かにかかって
います。中国の武力が絶対的に優位であっても、台湾を武力で入手するには、GDPの20%以上がかかるとさ
れています。ましてや北京冬季オリンピックも控えているため、中国は台湾よりも、台湾以外の島々(外島)
に手を出してくることも懸念されています。

 戦争は大国が必勝するとは限りません。アメリカ対ベトナム、ソ連対アフガンなどの例もあります。また、
中国が台湾や尖閣で武力行使をするようなことがあれば、そのとき、バイデン政権の真の姿が見えてくるでし
ょう。そうした事態が遠からずやってくる、そしてアメリカをはじめ世界の潮流が大きく変わると、私は読ん
でいます。

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台湾の声


「尖閣で試される菅首相の気概」

2020-11-29 22:19:49 | 日記
「尖閣で試される菅首相の気概」


     櫻井よしこ


『週刊新潮』 2020年11月19日号
日本ルネッサンス 第926回

世界の混乱に乗じて目標を達成するのが中国の手法だ。相手が事態の急変 に対応できない時こそ好機と見て中国は襲ってくる。

米国はいま、大統領選挙を巡る混乱の極みにある。世界の耳目も米国の迷 走に吸い寄せられている。中国が挑戦的行動に出ても米国の対応能力は低 いままだ。中国が狙い定める尖閣諸島に手をつける可能性はかつてなく高い。

離島・海洋問題に詳しい東海大学教授の山田吉彦氏は、尖閣の危機はこれ までになく深刻だと警告する。

「中国は尖閣奪取の法的・軍事的準備を完了しています。このままでは、 わが国の領土が奪われる時は目前に迫っています」

中国は10月末に全国人民代表大会(全人代)で国防法改正案を提示した。 「中国の経済的利益が脅かされる場合、全国総動員または一部動員を行 う」、「海外での中国の利益は断固守る」などの条項を加えた。領土や安 全が損なわれる場合だけでなく、経済的利益が脅かされる場合も、戦争に 踏み切るという宣言だ。

右の国防法改正案は果てしない拡大解釈が可能な危険な内容だが、全人代 はさらに、11月5日までに海警局の権限を強化する海警法案も発表した。 こちらは国家の主権や管轄権が外国の組織または個人に侵害されるとき、 海警局所属の隊員、艦船、航空機の全てに武器使用をはじめあらゆる必要 措置を取らせるというものだ。

即ち外国船が管轄海域で違法行為に及んだ場合、海警局所属の全部門に武 器使用が許される。尖閣海域での日中の対立に当てはめれば、日本と全面 的に戦う法的準備を中国は完了したという宣言だ。

中国は、海上保安庁の尖閣海域での活動を中国の国家主権への侵害だと見 る。海保が中国公船に領海から退去せよと指示すれば、それも違法行為だ と彼らは見る。

「実力行使しかありません」

改訂国防法及び海警法はどちらも国際社会には通じない中国の身勝手な法 律ではあるが、彼らは両法を海保への武力行使の法的根拠とするだろう。 海保の後方に控える海上自衛隊が介入すれば、海自への空からの攻撃の根 拠ともするだろう。中国は正に自分たちの価値観で国際秩序を作る気なの だ。中国問題の専門家、矢板明夫氏は語る。

「もし、中国政府が日本国政府に、尖閣海域から退却しない限り、海保、 或いは日本漁船を武力攻撃すると通告したら、どうなるでしょうか。海保 にも漁船にも死者が出る可能性に日本は耐えられるでしょうか。戦っても 中国に勝てないと判断すれば、日本は退却するのではないか。中国は法律 ひとつで脅しをかけ、尖閣を手に入れるということです」

日本の領海に中国船が居座ることが常態になって久しい。だが、野党はそ んなことにお構いなく、国会でいまも学術会議問題の重箱の隅つつきにう つつを抜かしている。片や与党・政府は「中国海警局の動きについては引 き続き高い関心を持って注視する」「尖閣諸島は歴史的にも国際法上も疑 いのない、わが国固有の領土であり、有効に支配している」などとお経の 如く繰り返す。日本の政治家があらゆる意味で中国に見くびられる理由で ある。

尖閣諸島を管轄する沖縄県石垣市の中山義隆市長は訴える。

「中国船の領海侵入は毎日引きも切りません。米国の混乱が続くと中国が 間隙を縫って行動を起こすでしょう。日本漁船が日本の海で中国軍の発砲 を受けたりしたら、尖閣諸島も海も日本領だというわが国の主張は木っ端 微塵です。取るべき手立ては明らかです。中国公船の尖閣侵入を一切、許 さないことです」

たとえば中国公船を海保の船で取り囲んで近づけないようにすべきだと、 中山氏は言う。しかし、海保手持ちの尖閣専従の巡視船は1000トンクラス の大型が12隻だ。中型・小型の巡視船を合わせると66隻になる。他方中国 海警局は76ミリ大型砲を備えた5000トン級を中心に、130隻、その多くは 事実上軍艦である。

彼我の力の差が開く中で海保は12隻の内4隻を海警局の4隻に対抗するため 海に出してきた。別の4隻は出動準備、残り4隻は待機する体制だ。しかし いま、尖閣の現場は大変な状況だと山田氏が警告する。

「中国は日本の足下を見て、8島ある尖閣諸島の内の大正島と魚釣島に海 警を出してきました。そのため海保は8隻を海に出し、残る4隻は出動準備 中です。海保は船も人員も一日も休ませる余裕がありません」

海警の艦船を海保の船で取り囲む余力はない。中山氏が強調した。

「ですから、島に日本人が上陸して中国人を上陸させないことしかない。 私たちはずっと前から政府にそのように要請してきました。石垣市は1環 境調査、2漁業者のための灯台の整備・維持、3気象観測、4無線中継局の 建設、5人員の配置、を求めてきました。島を守るには上陸する、実力行 使しかありません」

守る力が欠落

中山氏の訴えは悲愴である。だが悲愴な訴えを発し続けているのは坂東博 一氏も同じだ。坂東氏は石川県漁業協同組合小木支所に所属し、日本海が 事実上中国と北朝鮮に奪われてしまっていると厳しい現実を語る。

「水産庁から9月30日、最良の漁場である大和堆を含む広い海域で漁の自 粛を要請されました。事実上の命令です。イカ漁の最盛期に出漁できない ため、ほとんどの漁民は赤字経営です」

自粛要請は10月28日から29日にかけて8割方、解除され、漁民の皆さんは 早速漁場に向かった。そこで驚くべき光景に出くわしたという。
「中国漁船が1000トンクラスも含めて数百隻もいたのです。我々のイカ 釣り漁船は日本の法律で199トン以下と決められています。多勢に無勢。 強力に非力。彼らの中に割り込んで漁をするなど考えられず、空で戻って きました」

実は同じことが昨年も起きていた。昨年8月23日、海保の巡視船が大和堆 周辺で北朝鮮の船に銃口を向けられ「即時退去」を要求された。水産庁は 驚き漁協に自粛要請をした。大和堆は日本の排他的経済水域の内にある。 外国漁船の漁は国際法違反だ。にも拘わらず、政府は北朝鮮や中国の漁船 を取り締まるかわりに、日本の漁船に漁を諦めろという。水産庁には外国 漁船を取り締まる力がなく、海保に委ねるにしても海保は尖閣諸島で手一 杯で余力がないことが理由だ。

尖閣の海も日本海も、日本には守る力が欠落している。米軍の支援があれ ば守りようもある。しかしもはやそんな時代ではない。いま問われている のは日本国に国として領土防衛に立ち上がる気概はあるのか、である。中 国はその点を凝(じ)っと見ている。菅義偉首相よ、中国に日本の気概を示 せ。力で守る構えを作れ。