鍛冶俊樹の軍事ジャーナル
(2023年6月26日号)
*プーチン政権は弱体化するか?
東スポの記事「プーチン大継領ワグネルの乱1日で鎮圧、弱体化どころか・・粛清の嵐、危惧する声」にコメントを出した。
https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/267651
一昨日の午前中、ワグネル部隊のモスクワ進軍の報を聞いて、「クーデタは成功したのかもしれない」と思った。私は既に5月27日号で「ロシア分裂後の世界情勢」を書いているが、もしクーデタが成功しプーチン政権が瓦解すれば、ロシアが分裂の道を歩みだすことは必定であろう。
だが同日夕刻、プーチンがテレビで反乱の鎮圧を命じたのを見た瞬間、クーデタが失敗に終わった事を悟った。クーデタの成否は、最初に独裁者の身柄を拘束できるかどうかで決まる。プーチンが健在で、国軍に鎮圧を命ずれば、クーデタ勢力にもはや勝ち目はない。
複数のメディアから「この事件でプーチン政権は弱体化するか?」と質問を受けたが、私は「逆に強化されるだろう」と答えた。私がこの事件の顛末(てんまつ)を見て、すぐに思い出したのは、第2次大戦末期に起きたヒトラー暗殺未遂事件だ。
1944年7月にヒトラーが出席した会議で時限爆弾が爆発した。反ヒトラー派による犯行だったが、ヒトラーは奇跡的に助かり、反ヒトラー派の粛清に乗り出した。粛清された中には欧米と早期に講和を結ぶべきと考える和平派や独国民の英雄ロンメル将軍なども含まれていたから、ヒトラーはこうした人々を粛清することにより、自らの権力基盤をより強固にしてしまい、以後、自滅の道をひた走ることとなった。
プーチンが同じ道を行くかどうかは、分からないが、ワグネルの総帥プリゴジンは亡命し、ワグネルはロシア軍傘下に入り、反プーチン派は粛清され、プーチンの権力基盤は当面より強固になると見て間違いあるまい。
(2023年6月26日号)
*プーチン政権は弱体化するか?
東スポの記事「プーチン大継領ワグネルの乱1日で鎮圧、弱体化どころか・・粛清の嵐、危惧する声」にコメントを出した。
https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/267651
一昨日の午前中、ワグネル部隊のモスクワ進軍の報を聞いて、「クーデタは成功したのかもしれない」と思った。私は既に5月27日号で「ロシア分裂後の世界情勢」を書いているが、もしクーデタが成功しプーチン政権が瓦解すれば、ロシアが分裂の道を歩みだすことは必定であろう。
だが同日夕刻、プーチンがテレビで反乱の鎮圧を命じたのを見た瞬間、クーデタが失敗に終わった事を悟った。クーデタの成否は、最初に独裁者の身柄を拘束できるかどうかで決まる。プーチンが健在で、国軍に鎮圧を命ずれば、クーデタ勢力にもはや勝ち目はない。
複数のメディアから「この事件でプーチン政権は弱体化するか?」と質問を受けたが、私は「逆に強化されるだろう」と答えた。私がこの事件の顛末(てんまつ)を見て、すぐに思い出したのは、第2次大戦末期に起きたヒトラー暗殺未遂事件だ。
1944年7月にヒトラーが出席した会議で時限爆弾が爆発した。反ヒトラー派による犯行だったが、ヒトラーは奇跡的に助かり、反ヒトラー派の粛清に乗り出した。粛清された中には欧米と早期に講和を結ぶべきと考える和平派や独国民の英雄ロンメル将軍なども含まれていたから、ヒトラーはこうした人々を粛清することにより、自らの権力基盤をより強固にしてしまい、以後、自滅の道をひた走ることとなった。
プーチンが同じ道を行くかどうかは、分からないが、ワグネルの総帥プリゴジンは亡命し、ワグネルはロシア軍傘下に入り、反プーチン派は粛清され、プーチンの権力基盤は当面より強固になると見て間違いあるまい。