沖縄・台湾友の会

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即時廃止でなく不使用が目的       高橋洋一

2023-05-22 09:53:07 | 日記
わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
               頂門の一針 6509号 

即時廃止でなく不使用が目的 
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            高橋洋一


【日本の解き方】広島G7サミットと「核問題」保有国の責任を世界に問う絶好のチャンス 即時廃止でなく不使用が目的 威嚇するロシアへ回答に 

19日に広島で先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)が開幕する。その注目点はどこになるだろうか。

まず広島でなければできないことは、各国首脳による原爆資料館の訪問・視察だ。1955年の開館以来、今年3月31日までの総入館者数は7589万4579人にのぼる。多くの日本人は、修学旅行などで訪れているはずで、筆者も修学旅行をはじめ広島に来た際にはしばしば訪問している。ただし外国人は多くない。せっかく各国首脳が広島に来るのだから、見ないのはもったいない。

もっとも、ハードルは高かった。そもそも原爆を投下したのは米国だ。米国には、「原爆投下は日本との戦争を早く終わらせるために必要だった」と正当化する意見が多い。被害の現実を見たら米国の核保有に不利との指摘もあるが、使われたら悲惨になるだけという実例は日本にしかない。

2016年の伊勢志摩サミットの後で、オバマ大統領は原爆資料館を訪問した。これが米大統領による最初の訪問となった。しかし、その実情はあまり知られていない。その時、オバマ氏は東館に短時間滞在したのみで、本館には入らなかったといわれている。滞在中のオバマ氏の発言も一切外に出ていない。

米国側の言い分は、オバマ氏は休憩も兼ねて原爆資料館(東館)に立ち寄っただけで、原爆資料館(本館)を訪れていないという立場だ。これは米国内向けの政治メッセージでもある。実際に訪れたことがある人ならわかるが、原爆資料館で悲惨な展示があるのは本館だ。

そこで、今回のG7サミットでは、各国首脳を本館に連れて行くのが最大の見せ場だ。その目的は、核兵器の即時廃止ではなく、核兵器を使用しないこと、威嚇に用いないことだ。

これは、G7サミットで最大のテーマともいえるウクライナ問題への答えにもなる。ロシアによるウクライナ侵攻が長期化する中、ロシアは核兵器使用の威嚇を行ってきたし、現実に核兵器が使われる恐れがある。そうした脅威に対して、G7各国もロシアの行為を非難していた。

一方で、ウクライナが核兵器を保有していたら、ロシアに侵攻されなかっただろうことも留意しておきたい。日本の周辺には、核兵器を保有する非民主主義国家が3つもある。いつ何時日本がウクライナの立場になるかもしれないし、台湾も同じだ。

広島で核兵器による被害の実相を核兵器保有国に見てもらうのは、何よりの平和メッセージになるし、核兵器保有国の責任を世界に問うには絶好のチャンスだといえる。

最終的には核廃絶というのがゴールだが、当面は核抑止しかない。G7には核保有国が3つもある一方で、被爆国の日本も含まれるのだから、核問題を話し合ういい場だ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授 高橋洋一)


ロシア「G7はゼレンスキー・ショーだ」、中国「内政干渉に強い不満」   シュルツは板門店へ、モディはパプアニューギニアへ。バイデンは岩国から帰国

2023-05-22 09:52:07 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和五年(2023)5月22日(月曜日)弐
       通巻第7759号 
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 ロシア「G7はゼレンスキー・ショーだ」、中国「内政干渉に強い不満」
  シュルツは板門店へ、モディはパプアニューギニアへ。バイデンは岩国から帰国
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 広島G7はゼレンスキー大統領の一人舞台となった。ロシアはこの日を狙ってバムフトを陥落させた。ゼレンスキー大統領は陥落を認めながら、「われわれの心の中にバムフトは生きている」と複雑な心情を吐露した。

 闘い済んで日が暮れて。バイデンはそそくさと岩国基地から帰国の途に就いた。6月1日にもデフォルトが予想されるため、赤字上限枠上乗せで下院議長との折衝が続く。  
 イタリア首相は北部洪水のため二日目の討議をキャンセルし帰国し、代わりに駐日大使が参加した。しかしイタリア北部の洪水は三日前である。

 シュルツ独首相は帰路に韓国へ飛んで板門店を見学した。
 インドのモディ首相はパプアニューギニアへ。首都ポートモレスビーでは大歓迎の嵐だった。モディはここで南太平洋諸国14ケ国首脳と「インド南太平洋サミット」(FIPIC)に出席する。パプアニューギニアをインド首相が訪問するのは初めて。当該地域にはインド移民が夥しく、パプアやフィジーにはインドタウンがあって、新興のチャイナタウンと各地で張り合っている。

 中国はフィジーの首都にチャイナタウン、華字紙、そして援助する学校では中国語を教えサウスパシフィック大學には孔子学院がある。
 パプアのポートモレスビーにおける中国投資も顕著で高層ビルを立て、ファーウェイがあちこちに販売店を組織した。というのも、APECの折に国際会議場を建築して寄付し、習近平が訪問したことがあり、爾来、中国人移民は凄まじい勢いで流れ込んだ。
 バヌアツも首都の目抜き通り商店街は80%が中国人経営となった。

 ロシアは、「G7はゼレンスキー・ショーだ。まるで反露、反中のヒステリーだ」と批判した。
 中国はG7の声明に「台湾海峡の安定と、力による現状維持の変更に反対」を盛り込んだことに、「内政干渉だ」と強い不満を表明し、「G7が世界平和に貢献するなどとおこがましい。当該地域の安定を損ねている」と真逆の論評を加えた。

 ウクライナの反露感情はますますエスカレートし、都市や町の名称変更が続く。キエフはキーフに、オデッサはオデーサとなったのはウクライナ読みに戻したに過ぎないが、今度は「トルストイ広場」を「英雄広場」と改称、「ゾルゲ通り」は「エロシェンコ通り」となった。エロシェンコは中村屋のメニューにウクライナの名物料理ボルシチを採用させたことで知られる。

 またロシアと呼ぶのを止めて「モスコビア」と呼ぼう、軍港セバストボリは「アフティアル」に改称しようという呼びかけに数十万の署名が集まっているという。セバストボリはトルストイの名作の題名で、ギリシア語から採用した軍港だが、アフティアルはクリミア半島の入り口の地名である。


 ▲バイデンは米国のデフォルトを望んでいるのか

 下院議長のケビン・マッカーシーはFOXニュースとのインタビュー(5月21日)で、「バイデン大統領は交渉よりデフォルトを望んでいるかのようで、毎回ころころと立場が変わるが極左思想にこだわり、われわれの要求を、じつに97日間も無視してきた。2兆ドルの予算削減を要求しているが、バイデンはあくまでも1兆ドルしか削減しないと交渉にまじめに取りくんでいる様子はない。かれはデフォルトに陥る米国初の大統領として歴史に名を刻むことになるかもしれない」

 現在、赤字上限の31兆4000億ドル。バイデン政権は1・5兆ドルを上乗せし、2025年予算としたい考えだが、共和党が要求するウクライナ支援削減などの代替案を「受け付けられない」と突っぱねてきた。

 具体的には6月1日に750億ドルが支出できなくなり、470億ドルの医療援助、120億ドルの軍人恩給ならびに100億ドルの軍人給与が含まれている。
 6月2日には社会保障福祉関連250億ドルが不足、6月5日に220億ドルが不足し、6月6日には20億ドルが支払い不能に陥る。

 ポール・クレイグ・ロバーツ(元財務次官)はこう言う。
 「バイデン大統領における『国境』は(不法移民が流入する)米国とメキシコ国境ではなくウクライナ国境だ。まるで米国は1900年頃のインドの状況である。ディープステーツとかのエスタブリッシュメントが米国を分裂させ、トランプを誣告し、まるでいまの米国は『バベルの塔』だ」。

 ロバーツはレーガン政権下で財務政策を主導し、82年に政界を引退後はいくつかの大學で教えるとともに経済分野の著作に専念してきた。現在84歳、健在で、多くの著作があり、日本語に訳された著作には『暴走する新自由主義』がある。


広島G20をインドのメディアはいかに報じたか   ゼレンスキー、クアッドも大事だが、優先は「食糧安保だ」

2023-05-21 14:48:26 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和五年(2023)5月22日(月曜日)
       通巻第7758号  <前日発行>
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 広島G20をインドのメディアはいかに報じたか
  ゼレンスキー、クアッドも大事だが、優先は「食糧安保だ」
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 カーキ色の軍服で何処にでも出没するゼランスキーに対して服装の非礼を批判する論調はない。
民族衣装で現れたのはインドのモディ首相で、ウクライナ問題の影に隠れたが、外交的には着々とポイントを挙げた。

 モディ首相が訪日で重視したのはグローバルサウスの問題は食糧安全保障と農業肥料であり、インド太平洋安全保障より優先すべき課題だと示唆した。
広島原爆記念館の訪問にもたいした感想をのべず、旧宗主国イギリスと豪州首相との会談を重視した。
とくに豪に対してはシドニーに二万のインド人が定住しているが、この移民枠の増加を豪首相とはなし合った

 日米豪が期待するクアッドでもインドの積極姿勢を期待したが、モディは慎重に対応した。ただし2024年のクアッドは印度開催が決まっている。

G7広島はぜレンスキーに掻き荒らされた   F16供与、援助継続など晴れの舞台を独り占め

2023-05-21 14:46:34 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和五年(2023)5月21日(日曜日)弐
       通巻第7757号  
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G7広島はぜレンスキーに掻き荒らされた
  F16供与、援助継続など晴れの舞台を独り占め
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 エネルギー、とくに変電施設。この冬を越せたのは日本の援助のおかげです。日本のみなさん、ありがとう。ゼレンスキー大統領は読売新聞との独占インタビューに答えた。
 「今後、どんな支援を期待するか」との問いに、「医療システムの構築、そして復興には『日本の指導力』に期待している」。その語彙は洗練されているが、要するに「カネ、呉れ」である。

 ウクライナのメディアは、こんどのゼレンスキー大統領の訪日をどう伝えたか?
 第一に到着前にF16供与を勝ち取ったと大きく伝えた。サリバン補佐官は広島で記者会見して、「同盟国に米国が供与したF16を、ウクライナに供与するにあたっては米国の許可が必要だが、米国は『容認』する」とした。
まるでタイムスケジュールにあわせたかのようにぜレンスキーの訪日と呼吸が合っている。舞台裏で話し合いが出来ていたのだろう。

 第二に到着早々、真っ先にインドのモディ首相と会い、「インドは可能な限りの支援をする」との言質を特筆して伝えた。
ロシア制裁に加わらず、原油を大量に輸入しているインドは「グローバル・サウス」の代表格で、外交的に切り崩しを狙ってきた。

 第三にゼレンスキー大統領の宿泊先ホテルを訪ねたのがイタリア、EU議長、ドイツ首相、英国、そしてマクロン大統領らと会談した。
舞台裏でフランスがゼレンスキー大統領に飛行機を提供し、来日のタイミングを教えたことには触れていない。

 G7広島は日本が当初予定していた思惑と大きくずれた。ぜレンスキーに掻き荒らされた観がある。

G7広島にぶつけて開催された中国・中央アジア首脳会議   習近平は西側の介入、カラー革命を懼れている

2023-05-21 14:45:28 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和五年(2023)5月21日(日曜日)
       通巻第7756号  <前日発行>
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 G7広島にぶつけて開催された中国・中央アジア首脳会議
  習近平は西側の介入、カラー革命を懼れている
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昔の名前は長安。シルクロードの起点でもあり、幾多の王朝の首都でもあった。
ペルシア人もソグド人も突厥もウイグル人、チベット人。そして阿倍仲麻呂、吉備真備、藤原清河がいた。国際都市である。
いまの西安郊外には秦始皇帝の広大な御陵、豪華宮殿だった「阿房宮」跡、そして玄宗皇帝ゆかりの場所も数々、西安事件の現場ちかくには楊貴妃の白亜像。

 2023年5月18日~19日、この西安で「中国 中亜峰会」(中国と中央アジア諸国首脳会議)が開催され「西安宣言」が採択された。
同首脳会議には、カザフスタンのカシム・ジョマルト・トカエフ大統領、キルギスタンのサディル・ジャパロフ大統領、タジキスタンのエモマリ・ラフモン大統領、トルクメニスタンのセルダル・ベルディムハメドフ大統領、ウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領が出席した。
「西安宣言」が採択され、ほかに七つの二国間および多国間文書に署名した。 

 習近平国家主席は中央アジア五ケ国と産業や投資を含む様々な分野での協力強化、連帯強化、エネルギー開発のパートナーシップ構築を提唱した。
すでにシルクロード(一帯一路)建設開始から十年、中国は当該地域に37億ドルを投資し経済発展に大きく貢献したなどと発言した。

 その一方で「諸国の内政に干渉し『カラー革命』を扇動する外部の試みに反対するための協同」を呼びかけた。中央アジアに急速に拡がる民主主義、法治、人権という西側の価値観への共鳴を加盟国の多くは反政府活動と捉え、またウイグル独立、チベット独立などを唱える活動家にはテロリストのレッテルを貼ってきた。

同会議を政治協議のメカニズムとして制度化する必要があり、次回サミットを2025年にカザフスタンで開催することで合意した。また首脳らは、常設事務局を中国に設置することに賛成した。

 とくに注目されるのは中国と中央アジアの「エネルギー開発パートナーシップ」構築が謳われ、習近平は「ガスパイプラインの建設を加速すること、すでに7000億ドルに達した相互間貿易を増強するために鉄道貨物量を増やし、カスピ海を横断する国際輸送回廊の建設を支援し、港湾近代化プロジェクトを加速し、欧州へいたる貨物列車の拠点を増設強化する」と述べた。


 ▲パイプライン増設、貨物輸送拠点も増強

 中国とカザフスタンは、両国国境に3本目の鉄道を建設している、
ガスパイプラインは既存の三本で年間 550 億立方メートルの輸送がなされているが、加えて四本目の建設が謳われた。
トルクメニスタン大統領が珍しく出席したのも、このパイプラインはトルクメニスタンから新彊ウイグル自治区へ運搬されているからだ。

 ブルームバーグは「中央アジア諸国との安全保障協力を強化するという中国の狙いは、ロシアとの関係において中国がますます優位な立場にある」とし、ロシア側の反応が否定的なニュアンスを示唆した。

 秦剛国務委員兼外相は、「中央アジア諸国と中国の協力関係は第三者によって拘束されず、他国を排除する小さな派閥を形成しようとするものではない」とし、「歴史の正しい側、文明の側に立つものであり、国際社会とともに地球規模の課題に立ち向かい、平和と発展を促進する」と歯の浮くような台詞を吐いた。

 ウクライナ戦争によりロシアの窮地を横目に、中国は白昼堂々の中央アジア政治への介入だから、プーチンにとってはおもしろい筈はない。
 しかしカザフスタンを筆頭にロシア場慣れも顕著となっており、中国アジア五ケ国はイスラムでは共通だが、そのイスラム教とを弾圧する中国に、ビジネスは別だとして近づくのも大きな矛盾である。