フィンランド建築・デザイン雑記帳

Klaus Welp の 美しい切手デザイン その1



2011年に発行された「Spring, Summer, Autumn and Winter Forest」と題した切手2枚組。
フィンランドの「クラウス・ウェルプ(Klaus Welp)」のデザインで、2枚の切手に、四季それぞれの森の移り変わりがあたかも湖面に映るかごとくの表現は、秀逸で美しい。
私たちには東山魁夷の同様の絵を思い起こさせるが、定点撮影、湖面に映る逆さ画像、素晴らしいアイデアである!!

どの雑誌だったか忘れてしまったが、フィンランドのデザイナー クラウス・ウェルプ(Klaus Welp)のグラフィック作品を観て、その素晴らしさに感動してしまった。
そのことを、フィンランドの友人に話したところ、クラウス・ウェルプがデザインした切手を何枚か送ってくれた。
どれも素晴らしく、再び感激というわけで、その一部を紹介しよう。

フィンランドの切手は、2000年あたりから写真を使ったカラーのものが多くなった。
デザインは、次第に安っぽくなり、まるでプリクラのシールみたいなものが増えた。 この状況を苦々しく思っていたが、時々 素晴らしい切手に出会うことがある。
デザイナーの名前を調べると、クラウス・ウェルプの作品が多い。

クラウス・ウェルプは、1970年 フィンランド南東部の町、コトカ(Kotka)の生まれ。
フィンランドとドイツの国籍を持つビジュアルアーティストで、ヘルシンキを拠点に活動している。 
ヘルシンキ藝術大学(Taideteollisessa korkeakoulu、現在のアールト大学)を卒業し、その後メキシコのベラククルス大学や、ドイツのベルリン芸術大学でもグラフィックデザインを学んでいる。
1990年代には、メキシコに4年間滞在している。 彼の作品を観ると、華やかで独特な色彩や色使いににメキシコの影響がみられると思う。
メキシコに滞在した後、彼はヴィンテージデザインとオートバイの売買に関与し、一時、創作の世界から離れるが、再び視覚芸術に復帰。
雑誌のアートディレクター、カメラマンとして働き、その間、いくつかの賞も受賞している。

ウェルプは、アールト大学のグラフィックデザインと写真学科,( Aalto University、Department of Graphic Design and Photography) やタンペレ大学のジャーナリズムとマスコミ科 (Tampere University, Department of Journalism and Mass Communication)
そしてカウニアイネン大学(University of Applied Sciences in Kauniainen )でもグラフィックデザインと写真を教えた。
現在、彼はフリーランスのアーティストとして、写真やグラフィックデザインと共に、数々のドキュメンタリーフィルムなどのビジュアル作品で活躍している。

今回、彼の切手デザインを改めて観てみると、グラフィック表現のうまさに加え、デザインの元になっている写真の確かさに唸ってしまう。
イラストレーター、グラフィックデザイナー、写真家、ジャーナリストといった彼の多彩な分野の才能がどの作品にも感じられる。
 



「summer and spring forest」 フィンランドの森、夏と春。
1枚の切手に二つの季節をあたかも湖面に映る景色として表現した素晴らしいアイデア!!





「winter and autumn forest」 フィンランドの森、冬と秋。
1枚の切手に二つの季節をあたかも湖面に映る景色として表現した素晴らしいアイデア!!





2014年発行の「Nordic Maritime」の切手シート。
 



2012年発行の「 Nordic Maritime」の切手シート。




2012年発行の「Coast guard vessel 'Jenny Wihuri'」




2012年発行の「Lifeboat 'Merikarhu'」




2012年発行の「Spring blossoms」 春に咲く花、6種類を集めた切手6枚組 記念切手シート。 花のイラストがどれも美しい。




2015年発行 ムーミン。 毎年のように発行されるムーミンの記念切手のマンネリ化した表現には、いささか食傷気味だが、ウェルプがムーミン切手をデザインするとこうなる!




2015年発行 ムーミン。
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