ゴールデンウィーク中に、フィンランドの新聞 「ヘルシンギン・サノマット(Helsingin Sanomat)」 から衝撃的な写真が飛び込んできた。
5月5日(金)夜、ヘルシンキ中心部での火事だ。
焼けたのはフィンランド鉄道(VR)の旧貨物倉庫で、場所は我々にも馴染み深い、キアスマやサノマタロ、国会議事堂、フィンランディア・ホール、国立博物館に隣接した場所である。
エリエル・サーリネン設計の国立博物館の塔が炎と煙の背後にうっすらと見える写真は衝撃的だ。
火事の原因は、調査中であるが、現場では、4月30日(日)のヴァップ前夜から若者と警察隊のこぜりあいがあり、放火ではないかと見られている。
幸いなことに死者や負傷者は無いという。
ヘルシンキの中心部、我々にも馴染み深い場所で大きな火災が起こった。
焼けたのは、フィンランド鉄道(VR)の旧貨物倉庫で、その横長の建物全体が火に包まれた写真は、戦場のようで衝撃的であった。
鉄道の貨物倉庫は、1899年に作られたレンガ造の建物だが、内部は木造の架構で、可燃物が多数有ったという。
建物は、1980年代後半まで倉庫として使用されていた。 その後一般に開放されて、多くの団体が活動に使用し、芸術家達のアトリエとしても使用された。
また、蚤の市、カフェ、文化イベントの会場なども設けられ、1990年代には観光スポットとしても知られていたので、ここを訪れた人も多いであろう。
この地域には、新たな「音楽センター」建設が決まっており、この貨物倉庫も5月8日(月)からの解体作業開始が決まっていた矢先の火事であった。
倉庫の解体には多くの人々が反対していた。
ヘルシンキ市が「ヨーロッパの文化首都」に決まった2000年には保存運動が展開され、4万人の署名が集まった経緯がある。
2002年に倉庫撤去が最終決定され、店舗やスタジオが徐々に他に移り始めていた。
今回の火災は、こんな背景で起こったのだった。
4月30日(日)のヴァップ・イブでは、この旧貨物倉庫を不法占拠した若者達と警察隊が衝突を起こしている。
火炎瓶なども使用され、消防隊も出動したという。
5月5日(金)の大きな火災は、この延長線上にあるとして、警察は放火で捜査をし、何人かを容疑者として拘束している。
火事で、死者や負傷者が一人も出なかったのは幸いだが、一時、ヘルシンキの空を黒く染めた黒煙はものすごく、数キロメートル離れた所からも見えたそうだ。
また、近くの「テニスパラッイ」の映画館では煙が内部に侵入し、観客1000人が屋外に避難したと新聞は報じている。
地図: ヘルシンギン・サノマットより
焼けた倉庫の場所は、スティーブン・ホール設計のキアスマ現代美術館(Kiasma)とJ.S.シレン設計の国会議事堂(Eduskuntatalo)、アールト設計のフィンランディア・ホール(Finlandiatalo)に隣接した我々にとって馴染みの場所である。
map: Quoted from 「Helsingin Sanomat」
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