19世紀末のフランスの写真を眺めていて、エッフェル塔の工事中の写真に見入ってしまった。
写真の解説には「1888年6月撮影、地上100mまで完成したエッフェル塔」とある。
エッフェル塔は、1889年のパリ万国博覧会開催にあわせて建設されたが、工事中のこの写真は見慣れた昨今の写真に比べてなんと迫力があることか。
僕たちが建築の写真を観たり撮るのは、その大部分が竣工後の写真である。
記念写真ならなおさらだろう。
エッフェル塔が完成したのは100年以上も前のことだが、当然のことながら、こんな姿の時があったのだと感動した。
エッフェル塔の工事写真で思い出したのは、東京都庁舎(設計=丹下健三,高さ243m)がまだ工事中で、工事中の都庁舎を背景として僕が撮った記念写真である。
都庁舎が完成したのは 1991年 (平成3年)3月だが、その写真(第一本庁舎)を見ると工事はまだ半ばで、ツインタワーの下あたりまでしか進んでいない。
恐らく1988年か1989年の写真であろう。
写真に僕と並んだ幼稚園児は、もう社会人になっている。
工事中の東京都庁舎をバックにして撮った写真は、彼の「お宝」であるという。
今、撮りたくても絶対に絶対に撮れない貴重な1枚である。
東京都庁の寿命は、あと50年? 100年?
50年後の、100年後の子供たちが、半分ほどの高さまでしか達していない工事中の都庁を背景にした記念写真を観たら、きっと僕のエッフェル塔のように感動してくれるだろう !
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教訓
「工事中の建物を背景に撮るのが、正しい記念写真の撮り方である!」
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2010年2月 後記
・・・というわけで、先日、工事中の「東京スカイツリー(新東京タワー)」を観に墨田区の押上に出かけた。
まだ足もとしかできていないタワーの前で、記念撮影をしたのは言うまでもない。
工事中の「東京スカイツリー(新東京タワー)」
2009年9月27日撮影