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すでに10回以上、繰り返し読んだのは間違いない、村上春樹氏著の小説「ノルウェイの森」。
読む度に、自分の心が透き通っていくような感覚を味わう
とても不思議な、とても大好きで、とても大切な小説です。
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主な登場人物としては・・・
ワタナベトオル・・・様々な事に模索しながら大人になる途中の大学生。
直子・・・自殺してしまった高校時代のワタナベの親友の恋人で、心を病んで行く。
緑・・・・溌剌とした態度とは裏腹に、繊細な心を持つ、ワタナベの大学の同級生。
永沢さん・・・人生をちょっと嘗めてかかっているイケメンのエリート大学生。
ハツミさん・・傷つきながらも、なぜか永沢とつきあう、品のいい女子大生。
レイコさん・・・直子が心の病の為に入る山奥の施設のルームメイト、年上。
・・・というところ。

「ノルウェイの森」は春樹氏の代表作の如く言われている作品ですが、
実は、春樹氏の作品は、非現実的な世界と現実世界が交錯するような、
あえて言うならファンタジー小説(この言い方は好きでないけど)が大半を占めており、
リアル世界を描いた「ノルウェイの森」は、異色の作品であります。
だからこそ、映画化という運びになったのだと思いますが、
このニュースを聞いた時、嬉しいと言うより、恐ろしさを感じました。
だって、私の頭の中では、全ての人物の姿や声やシチュエーションが
しっかりと姿形を成して、出来上がってしまっているんですもの・・・
でも、この作品が映画化される以上は、どうしても観ずにはやり過ごせない。
それは致し方のない事でありました・・・
さて、映画「ノルウェイの森 」
結論から言ってしまうと、よくも、悪くも、トラン・アン・ユン監督の世界でした。
この監督、実は私は結構好きな監督でありまして、
とりあえず安っぽい作品には仕上げないだろうな、という安心感はありました。
そして確かに、美しい作品に仕上がっており、この点はOK。

ただ、決定的に問題なのは、キャスティング!!
男性陣は、まぁ、納得ですが、女性に関しては、全てミスキャストと言いたい!!
「直子」を演じた菊池凛子さん、演技力は確かにうなる程の上手さですが、
20歳の直子を演じるには、女として成熟し過ぎていますし、
はかなげなキャラクターを演じるには、元々の顔の造りがゴツ過ぎる気がします。
菊池凛子さんは、原作を読み、直子は自分そのものだと共感し、このオーディションに応募したそうですが、
当たり前です!
「ノルウェイの森」に、多くの人が惹かれるのは、
直子的なものと、緑的なものを、誰もが心に内包しているからだ と、私は思うのです。
だから、彼女には手を挙げて欲しくなかったし、
菊池凛子さんを「違うかな」と思いながら、
「行ける」と結論を出したトラン・アン・ユン監督の功罪は大きいです。
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もう1人の重要な人物「緑」を演じた水原希子さん。
発表になった時は、いい感じかなと思ったのですが、
実際の映画で見てみると、本来のキャラクターの溌剌さが、発揮されていませんでした。
おそらく、台詞のしゃべり方に自信がないので、響いてこないと言うか。
もしくは、監督の解釈として、こういうキャラにしてしまったか。
直子の「陰・死」と緑の「陽・生」の対比は、とても重要なのに、
対比というには、弱かったですね・・・大好きなキャラクターなのに、とても残念です。
また、日本人に見えないんですよね、彼女。
アンユン監督は、日本人キャストにこだわったと言っていましたが、
彼女は韓国とアメリカのハーフ。東南アジアっぽい顔立ちです。
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もう1人、脇役のレイコさん。
これは役が合っているとか以前に、作品の中での立ち位置が描かれていない為、
なんだか唐突な存在になってしまっていました。
重要な役なのになぁ。。。
と、まぁ、ケチばかりを言って来ましたが、これはあくまでも、
私のイメージとの差ですけどね。
あの原作がびっちり頭に入っている身としては、シーンの展開が理解できる訳ですが、
その繋がりを絶えず、頭の中で考えながら見ているのも、
どうかと思わないでもありませんでした。
おそらく初めてこの作品に触れた人は、唐突感が否めないでしょうね。
シーンとシーンを繋ぐのに、ワタナベのモノローグを入れたら、
きっと上手く話が流れたと思うんですけどね。
このモノローグを入れない代わりに、どう考えても、
やめて欲しかった、とあるシーンが映像化されています。
これが何なのかは、原作を読んだ事がある人は想像がつくかも知れませんが・・・
あとは、トラン・アン・ユン監督のこれ迄の作品では、
濃厚な情念というか秘め事の世界を描いている事がほとんどなのですが、
「ノルウェイの森」に関しても、そこだけはしっかりフューチャーされており、
観終わった後の印象が、性愛の濃厚さやきわどい台詞ばかりが残ってしまうかも知れません。
じゃ、これが悪い映画かと言われれば、そんな事はないです。
トラン・アン・ユン監督だったからこそ、このレベルに仕上げられたのだと思います。
音楽の使い方も、とてもメリハリが聞いていて、美しくし上がっています。
松山ケンイチ君、玉山鉄二さん、いい感じにハマってました。
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70年安保の時代の風景もくっきりと描かれ、
私より上の世代の方には、それだけで共感を呼ぶものではないかと思えました。
おそらく、この映画、20年前のブームの時に、原作を読んでそれっきり・・・
という人が、一番楽しめるのではないかと思えます。
間違っても、初デートで観るには濃厚な作品なので、ご注意下さいませ。
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ちなみに、本家ビートルズの曲「ノルウェーの森」。
不思議な歌詞で、色々な解釈があるようですが、我が家にあるCDの訳詞には、
ナンパした女の子の部屋に行き、ノルウェーの森みたいでしょと言われ、
ワインを飲んだりして、いい感じになるが、
朝目覚めたら、彼女はいなくて、部屋を燃やした・・だって、ノルウェーの森なんだろ、というオチ。
というような、オソロシイ歌詞になっています。
森ではなく、ノルウェー産の安物家具とか、そんな解釈もあるようですが。
さて、今年も映画三昧の日々、しっかり遂行して行きます。
昨年観た作品の総集編を書きたいと思いつつ、年を越してしまいました。
アカデミー賞も、まだだし、書こうかな・・・
ちなみに昨年映画館で観た映画、27本あります。。。
読む度に、自分の心が透き通っていくような感覚を味わう
とても不思議な、とても大好きで、とても大切な小説です。
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主な登場人物としては・・・
ワタナベトオル・・・様々な事に模索しながら大人になる途中の大学生。
直子・・・自殺してしまった高校時代のワタナベの親友の恋人で、心を病んで行く。
緑・・・・溌剌とした態度とは裏腹に、繊細な心を持つ、ワタナベの大学の同級生。
永沢さん・・・人生をちょっと嘗めてかかっているイケメンのエリート大学生。
ハツミさん・・傷つきながらも、なぜか永沢とつきあう、品のいい女子大生。
レイコさん・・・直子が心の病の為に入る山奥の施設のルームメイト、年上。
・・・というところ。
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「ノルウェイの森」は春樹氏の代表作の如く言われている作品ですが、
実は、春樹氏の作品は、非現実的な世界と現実世界が交錯するような、
あえて言うならファンタジー小説(この言い方は好きでないけど)が大半を占めており、
リアル世界を描いた「ノルウェイの森」は、異色の作品であります。
だからこそ、映画化という運びになったのだと思いますが、
このニュースを聞いた時、嬉しいと言うより、恐ろしさを感じました。
だって、私の頭の中では、全ての人物の姿や声やシチュエーションが
しっかりと姿形を成して、出来上がってしまっているんですもの・・・
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でも、この作品が映画化される以上は、どうしても観ずにはやり過ごせない。
それは致し方のない事でありました・・・
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さて、映画「ノルウェイの森 」
結論から言ってしまうと、よくも、悪くも、トラン・アン・ユン監督の世界でした。
この監督、実は私は結構好きな監督でありまして、
とりあえず安っぽい作品には仕上げないだろうな、という安心感はありました。
そして確かに、美しい作品に仕上がっており、この点はOK。
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ただ、決定的に問題なのは、キャスティング!!
男性陣は、まぁ、納得ですが、女性に関しては、全てミスキャストと言いたい!!
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「直子」を演じた菊池凛子さん、演技力は確かにうなる程の上手さですが、
20歳の直子を演じるには、女として成熟し過ぎていますし、
はかなげなキャラクターを演じるには、元々の顔の造りがゴツ過ぎる気がします。
菊池凛子さんは、原作を読み、直子は自分そのものだと共感し、このオーディションに応募したそうですが、
当たり前です!
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「ノルウェイの森」に、多くの人が惹かれるのは、
直子的なものと、緑的なものを、誰もが心に内包しているからだ と、私は思うのです。
だから、彼女には手を挙げて欲しくなかったし、
菊池凛子さんを「違うかな」と思いながら、
「行ける」と結論を出したトラン・アン・ユン監督の功罪は大きいです。
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もう1人の重要な人物「緑」を演じた水原希子さん。
発表になった時は、いい感じかなと思ったのですが、
実際の映画で見てみると、本来のキャラクターの溌剌さが、発揮されていませんでした。
おそらく、台詞のしゃべり方に自信がないので、響いてこないと言うか。
もしくは、監督の解釈として、こういうキャラにしてしまったか。
直子の「陰・死」と緑の「陽・生」の対比は、とても重要なのに、
対比というには、弱かったですね・・・大好きなキャラクターなのに、とても残念です。
また、日本人に見えないんですよね、彼女。
アンユン監督は、日本人キャストにこだわったと言っていましたが、
彼女は韓国とアメリカのハーフ。東南アジアっぽい顔立ちです。
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もう1人、脇役のレイコさん。
これは役が合っているとか以前に、作品の中での立ち位置が描かれていない為、
なんだか唐突な存在になってしまっていました。
重要な役なのになぁ。。。
と、まぁ、ケチばかりを言って来ましたが、これはあくまでも、
私のイメージとの差ですけどね。
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あの原作がびっちり頭に入っている身としては、シーンの展開が理解できる訳ですが、
その繋がりを絶えず、頭の中で考えながら見ているのも、
どうかと思わないでもありませんでした。
おそらく初めてこの作品に触れた人は、唐突感が否めないでしょうね。
シーンとシーンを繋ぐのに、ワタナベのモノローグを入れたら、
きっと上手く話が流れたと思うんですけどね。
このモノローグを入れない代わりに、どう考えても、
やめて欲しかった、とあるシーンが映像化されています。
これが何なのかは、原作を読んだ事がある人は想像がつくかも知れませんが・・・
あとは、トラン・アン・ユン監督のこれ迄の作品では、
濃厚な情念というか秘め事の世界を描いている事がほとんどなのですが、
「ノルウェイの森」に関しても、そこだけはしっかりフューチャーされており、
観終わった後の印象が、性愛の濃厚さやきわどい台詞ばかりが残ってしまうかも知れません。
じゃ、これが悪い映画かと言われれば、そんな事はないです。
トラン・アン・ユン監督だったからこそ、このレベルに仕上げられたのだと思います。
音楽の使い方も、とてもメリハリが聞いていて、美しくし上がっています。
松山ケンイチ君、玉山鉄二さん、いい感じにハマってました。
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70年安保の時代の風景もくっきりと描かれ、
私より上の世代の方には、それだけで共感を呼ぶものではないかと思えました。
おそらく、この映画、20年前のブームの時に、原作を読んでそれっきり・・・
という人が、一番楽しめるのではないかと思えます。
間違っても、初デートで観るには濃厚な作品なので、ご注意下さいませ。
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ちなみに、本家ビートルズの曲「ノルウェーの森」。
不思議な歌詞で、色々な解釈があるようですが、我が家にあるCDの訳詞には、
ナンパした女の子の部屋に行き、ノルウェーの森みたいでしょと言われ、
ワインを飲んだりして、いい感じになるが、
朝目覚めたら、彼女はいなくて、部屋を燃やした・・だって、ノルウェーの森なんだろ、というオチ。
というような、オソロシイ歌詞になっています。
森ではなく、ノルウェー産の安物家具とか、そんな解釈もあるようですが。
さて、今年も映画三昧の日々、しっかり遂行して行きます。
昨年観た作品の総集編を書きたいと思いつつ、年を越してしまいました。
アカデミー賞も、まだだし、書こうかな・・・
ちなみに昨年映画館で観た映画、27本あります。。。
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本では、読者のそれぞれの感覚でそれぞれの解釈で物語を読んでもらえるが、それは本当に個々人が様々な思いで受け止めていても、それで構わないんだと。
だけど、映画化やドラマ化をされるとあくまでも、作り手の感覚で解釈でにしかならないので難しい部分がある。
と、言うような内容だったと思います。
私も、良い意味でも悪い意味でも裏切られる事、有りますね。
活字の映像化は難しいのかもしれませんね。
間違えました。すみません。
もつイメージの差はあれど、内容を咀嚼して映画化することとイメージ映像を美しく表現するのとは違う。私としてはやはり、小説に忠実に人物像を落とし込んで欲しかったです。英訳された小説はまたニュアンスも違うのかもしれないし、監督としてはそういう解釈だったのかもしれませんね。直子は清らかなはかなさ、緑ちゃんはワタナベくんを現実に引き戻す明るさとパワー、レイコさんは後半では柱となる存在です。ハリーは観たらきっと怒っちゃうかも。観ない方がいいですね。
よく作家の方は、映画化をOKしたら、それは自分の手を離れた別物だと、
言う事が多いように思います。
東野圭吾さんのおっしゃる事、本当にその通りですね。
東野さんの、すごい数の作品が映像化されていると思うのですが、
TV局や映画会社のプロデューサーや監督の力関係でキャスティングされる事が多々あると思うので、
どんな気分なんだろうかと思わずにはいられません。
一旦、原作を読んでしまったら、
映像化された作品が、原作を超える事は、
私の感じる限りでは、1度もありません。
あの不朽の名作、風と共に去りぬですら、
原作の方が映画よりも10倍は素晴らしいと思うのです。
この作品が忠実でないかと言われると、
おそらく、トランアンユン監督の中としては、
極めて忠実に作ったのではないかと思えます。
2時間半の映画に仕上げるには、
どうしても落とさなければならない部分が出てくるのは致し方ない訳ですが、
それは原作を愛する者には、物足りなさを残す結果になりますね。
しかし、不思議に思うのは、脚本の段階で春樹さんがチェックを入れて、
ある程度直されている筈なんですよね。
観ない方がいいかどうか・・・これは難しい問題ですが、
私自身は、観ない事は、拷問に近いものがありますから、
やはり観て、よかったと思います。
基本的に、トラン・アン・ユン監督の世界、好きですしね。
小説を読むと、読みながら自身が監督になって、キャスティングもすれば、メガホンも持つし、カメラまで回しちゃったりしませんか?
私だけ、とは思わないけれど、そういう感覚に陥るのは限られた人なのかな?(妄想好きとか
100点を付けられる映画は少ないですよね。
でも自分がもしも製作したとして、やはり他の人が見れば、それも物申すところが多いのでしょうね
しかし、松山ケンイチくんは、一見普通っぽいけど、色んな役をこなせる人ですね
文字の世界の映像化は、まず読み手のイメージで作り上げられますよね。
読み手は、監督そのものだと思います。
例えばこれが、ローマ帝国の話だったり、日本でも平安時代の話だったら、
具体的に頭の中でイメージしても、限界があるのだと思うのですが、
ノルウェイの森は、70年安保の時代の東京という、私が目の当たりにして来た風景が舞台なので、
すっかり出来上がってしまったのだと思います。
私にはミスキャストでも、トランアンユン監督のイメージの世界には、
このキャストだったのでしょうね。
松山ケンイチ君、なかなか迫力の演技でしたよ。
春樹さんの作品の主人公のイメージは、春樹さん自身なので、
ちょっと雰囲気は違うのですが、2枚目過ぎないところがよかったです。
だからこそ、色んな役をこなせるのでしょうね。
この先も楽しみです。
それでも、翠さんのキャストイメージ、わかるような気がするなあ。
あの時代を肌で感じないと分かりにくい所があるかもしれませんね、って年寄りクサイエラソーなことを言ってるけど・・・
うーん、偉そうな言い方をすると、この映画を楽しめるタイプの人と、そうじゃない人がいると思います。
春樹氏の作品以前に、トラン・アン・ユン監督の作品が好きか苦手かで、
評価はわかれるんじゃないでしょうか。
キャスティングはケチばかりつけましたが、思い入れに免じて許されて下さいね。
70年安保の時代、私はまだ小さかったですが、
ご近所に佐藤首相の私邸があった関係で、よくデモ隊が来て騒いでいて、
その熱気と恐怖は、しっかりと私の深部に刻みついています。
草食系なんて、いつのまに日本男子は変わっちゃったんでしょうね・・・
なんて、私も年寄りくさいエラソーな事、言っちゃいました!