中国がロシアに対し、従来日本領と位置づけてきた北方領土の領有を承認する代わりに、沖縄県の尖閣諸島を「自国領」とする中国の主張を支持するよう、水面下で打診していることが分かった。
働きかけは2010年に始まり、現在も続いているとみられるが、極東開発に日本の協力を求めるロシアは、中国の提案に応じない構えだ。日露外交筋が明らかにした。
同筋によると、10年秋、中露両国の外交関係者による非公式協議の場で中国側がロシア側に打診した。
中国は「ロシアの北方四島領有を認める用意がある」と提案したが、ロシアは「北方領土は日露間で協議する」と受け入れなかった。
当時は尖閣諸島沖であった中国漁船衝突事件(9月)で日中関係が悪化していた。
ロシアでは12年5月にプーチン氏が大統領に復帰。今月8日にソチで安倍晋三首相と5回目の会談を行うなど対日関係の改善を急ぎ、中国の打診に応じる気配はない。
米国が尖閣を日米安保条約の適用対象としており、尖閣への関与は日米との関係悪化を招くとの判断もあるとみられる。
中国は1960~70年代、国境問題などで旧ソ連との関係が悪化。64年7月、毛沢東主席は社会党訪中団の佐々木更三衆院議員に対し、北方領土について「皆さんに返還すべきだ」と述べ、日本領との認識を明確にした。90年代以降は関係改善に伴い言及を控えるようになったが、日本領との立場は崩しておらず、中国国内発行の世界地図で北方四島は「ロシアが占領中」と記されている。
中露両国は10年9月の共同声明で「領土保全に関わる核心的利益を互いに支持する」としたが、尖閣や北方領土の明記は見送られ、13年3月の共同声明も同様の内容にとどまっている。
【福岡静哉】
http://mainichi.jp/select/news/20140206k0000m030122000c.html
働きかけは2010年に始まり、現在も続いているとみられるが、極東開発に日本の協力を求めるロシアは、中国の提案に応じない構えだ。日露外交筋が明らかにした。
同筋によると、10年秋、中露両国の外交関係者による非公式協議の場で中国側がロシア側に打診した。
中国は「ロシアの北方四島領有を認める用意がある」と提案したが、ロシアは「北方領土は日露間で協議する」と受け入れなかった。
当時は尖閣諸島沖であった中国漁船衝突事件(9月)で日中関係が悪化していた。
ロシアでは12年5月にプーチン氏が大統領に復帰。今月8日にソチで安倍晋三首相と5回目の会談を行うなど対日関係の改善を急ぎ、中国の打診に応じる気配はない。
米国が尖閣を日米安保条約の適用対象としており、尖閣への関与は日米との関係悪化を招くとの判断もあるとみられる。
中国は1960~70年代、国境問題などで旧ソ連との関係が悪化。64年7月、毛沢東主席は社会党訪中団の佐々木更三衆院議員に対し、北方領土について「皆さんに返還すべきだ」と述べ、日本領との認識を明確にした。90年代以降は関係改善に伴い言及を控えるようになったが、日本領との立場は崩しておらず、中国国内発行の世界地図で北方四島は「ロシアが占領中」と記されている。
中露両国は10年9月の共同声明で「領土保全に関わる核心的利益を互いに支持する」としたが、尖閣や北方領土の明記は見送られ、13年3月の共同声明も同様の内容にとどまっている。
【福岡静哉】
http://mainichi.jp/select/news/20140206k0000m030122000c.html