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【成人期の先輩を訪ねて】グループホームで暮らすという選択 松本大介さん(22歳)

2015年09月26日 | 取材報告

(写真:枚方市のグループホームで楽しい夕食 2015年2月12日撮影)


20歳の春に実家を出て、年齢も障がいもそれぞれ違う3人の仲間とグループホームで共同生活をはじめました。実家の家族以外にも、心から親身になってくれるもうひとつの家族ができました。

(写真:作業所の支援員のみなさんと)


作業所では焼菓子の販売を担当 

松本さんは、平日の9時から16時まで枚方市にある作業所で働いています。同作業所・生活介護サービス管理責任者のIさんは「当法人の主力事業はクッキーやパイなど焼菓子の自主製造販売です。松本さんの担当はお菓子の販売です。毎日、契約先のスーパーや学校など所定の売場に出向き、販売業務にあたってもらっています。とても気持ちの良い笑顔でお客様からの評判が良いですよ」と仕事ぶりを教えてくれました。取材させていただいた日は、市役所のバザーにお店を出していたそうです。


20歳で独立、平日はケアホーム、週末は実家へ

松本さんが暮らす障がい者グループホームは、2013年3月にオープンしたました。松本さんは20歳になってすぐに、障がいも年齢も違う3人の男性と一緒に、こちらの一戸建ての家で暮らし始めました。世話人のKさんは「大介さんは、初日の夜、ひとりで涙を流していたようです。まだ20歳ですものね。でもそれが最初で最後でしたよ」と振り返ってくれました。夕食は世話人さんも一緒に1日の出来事を話したりしながら、和やかに食卓を囲みます。生活支援員のHさんは「この家が、仲間と暮らす憩いの場になればいいですね」と話します。そして仕事が休みの週末は実家に帰り、家族水入らずでのんびりと過ごします。

(写真:グループホーム支援員のHさんと)

 

できることがグンと増えて、大きく成長しました 

グループホームに来てから松本さんは、できることがグンと増えたそうです。なかでも、特に大きな成長を感じられることが2つあります。1つ目は、作業所からグループホームまで徒歩20分程ある道のりを、ひとりで帰れるようになったことです。支援員さんが徐々に、付き添う距離を減らしていき、昨年の暮れ頃には、不安なくひとりで帰れるようになりました。2つ目は、初対面の人にも自分から話しかけるようになったことです。松本さんはそれまで、慣れない人には自発的に話しかけることはありませんでしたが、物怖じせずに色々な方と積極的に話すようになったそうです。この日、初めてお会いした筆者にも、「晩ご飯食べてないんか~?」と、愛嬌のある笑顔で話しかけてくれました。同行してくださった母・ルミ子さんも、成長ぶりに驚きを隠せない様子です。

 


大切なことを自分で決断するという経験をして欲しい

ルミ子さんに当時の気持ちをお聞きしました。「大介が生まれてからずっと、彼の歩む道を私が選んで、決めてきました。レールを敷いてきたように思います。でも、グループホーム入居のお話をいただいた時に、私は初めて決断を大介に委ねてみようと思いました。彼に『大切なことを、自分で決断する』という経験をしてもらいたかったのです。無理だったらすぐに止めればいいという気持ちで、グループホームでの暮らしを始めました。大介は自分の気持ちを相手になかなかうまく伝えられません。だから、大介の今の気持ちを理解したい、もし『嫌だ』と思っていのるなら、ちゃんとその気持ちをくみ取って、代弁してあげなければいけないと思っていました。週末帰ってくる度に、表情や様子を見ながら家族で接していると、グループホームでの生活を一番反対していた弟が、『大ちゃん楽しそうやなぁ!』と言ってくるのです。帰ってくる度に大介は『グループホームのご飯美味しいで』と笑顔いっぱい。一緒に暮らす仲間のこともたくさん話してくれました。大介は『ここで暮らす』と決めたんだ!と私は思いました。彼は態度でそう伝えてくれました。実はその時、『帰る』と言って欲しかった。それが、その時の私の本心です。複雑な思いで相当な時間苦しみました。でも、大介が自分で決めたことですからね、全力で応援します。土日に帰ってくるのが楽しみです」と笑顔で話してくれました。

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 《プロフィール》1992年8月、門真市生まれ。3人兄弟の長男。2011年、大阪府交野支援学校高等部を卒業。同年から枚方市の社会福祉法人が運営する作業所に。20歳の春に枚方市のグループホームに入居。趣味はビデオ鑑賞。

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記事・写真=上村直美(JDS大阪支部 『ダウン症ニュースWeb』編集部)



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