欧州は巨大な単一系統(50Hz)となっています。チェコあたりからスペインの先まで、1つの系統になっています。地図でみると線路のように1つに繋がっていますが、すべてが単一系統として運用されているかどうかは不明です。
系統図は ENTSO-E という機関で公開されています。
https://www.entsoe.eu/map/Pages/default.aspx
欧州では、電力の売買が自由化されているのですが、安定供給のためにはロードバランスや潮流を適切に管理する運用が大事なのです。国によっては発電過剰だったり消費過剰だったり・・・その埋め合わせのために「国際連系線」とよばれる国をまたぐ送電線で電力のやりとり(売買)を行っています。とは言うものの遠距離で売買をしようとしても実際の電力を送るのではなく、「最終的な供給・消費の収支」が合うように発電量・送電量が調整されるのです。上記の地図をみると国内はメッシュ状に多数の送電線がありますが、国をまたぐ送電線はそれほど多くないことが分かります。
2015年、国際会議での発表がてら、欧州各地をまわり、電力波形・周波数変動データを収集してきました。しかし、その場所の選定をどうするか。。。そこで、上記のENTSO-Eの巨大地図のお世話になっています。
この系統図から選んだ地点(訪問日程順)
- スイス:Laufenburg ・・・スイスのオペレータ(Swiss Grid)の本拠地であり、太い回線が多数集結、ドイツとのやりとりをしている。近場に原発もあり周囲の様子をみたかった。
- ドイツ:Simbach/Braunau am Inn ・・・ドイツ-オーストリアを結ぶ国際連携線。Inn川をはさんでドイツ・オーストリアの変電所が接続
- オーストリア:Villach ・・・かつて仕事で住んだところ。周囲はほとんどが水力発電で、大消費地からも遠い。Pureな波形ではないかと予想
- オーストリア:Wien郊外 ・・・東欧諸国と接続される巨大変電所。一帯にはLNG発電所が多数。消費地に近い
- ドイツ:Aachen ・・・ ドイツ・オランダ国境近く。波形はあれているかもと予想
- ベルギー:ベルギー・フランス間にある連携線 ・・・ 帰国直前の静養もかねてベルギーのDinant という町を起点に現地を視察。