東京電力の電力波形(50Hz)をコンセントからモニタする実験を続けていますが、溜まりに溜まったデータを解析していて、珍しいシーンを発見しました。
研究会で発表しそこなったので、YouTubeに測定の様子を公開しました。
Rapid Mains Frequency Decsent in Tokyo https://youtu.be/ejQsBP8EW80
周波数変化率(ROCOF)が瞬間的に -0.05 Hz/s になっており、Synchro PRIMO の目盛りからすっ飛んでしまいました。数秒で低下は収まり -49.8 Hz で安定したのですが、もし低下が止まらなければ、あっという間に49Hzを割るところだったでしょう。 この回復はどうやったのか?
電力系統工学では「周波数制御」として解説されています。今回の現象は、「ガバナーフリー運転」が働き、複数発電機の間の「速度調定率」できまる周波数に落ち着いたのだと思います。急激な負荷の変動を、発電機間で「うまく分担」して「ちょっと低めの周波数」で(自立的に!)安定させたのです。
データを細かくみると、現象の発生する数十秒前に、わずかな「(進み方向への)位相飛び」がありました。推測ですが、どこかの系統で工事等で計画的に切り離したのでしょう。周波数低下のカーブは綺麗なexpカーブだったです・・・
動画では公開しませんでしたが、この後、数分くらいでの50Hzに何事もなく戻っています。ご安心くださいませ。
こんな技は三相同期発電機のみなせることで、パワーエレクトロニクス技術満載?のパワーコンディショナーでこんな制御はできるのでしょうか? 分散電源は大ブーム、でもやばくなるとさっさと「解列」して逃げてしまう・・・ 「3相同期発電機」は歴史も古くレガシー技術ではありますが、こんな秘めた能力について、皆さんにも知っていただきたいと思います。
下記はイギリスでのワンシーン。一瞬周波数が -0.3 Hz まで低下しています。フランスからの緊急送電でしのいだみたいです。 Synchro PRIMOが検出したのは、これと同じ現象です。
https://www.youtube.com/watch?v=UTM2Ck6XWHg
参考図書
荒井純一(監修)ほか, ”基本からわかる電力システム講義ノート" , オーム社.