
著者の作品は初めて読みました。
山岳ミステリーです。
山好きなボクにとっては,当然読んでみたくなる一冊です。
著者は『闇に香る嘘』で江戸川乱歩賞を受賞しデビューし,『生還者』は第69回日本推理作家協会賞の長編及び連作短編集部門の候補作となったそうなので,わくわくして読み始めました。
しかし,読み進むと多くの疑問や矛盾に???となりました。
ミステリー小説だから詳細は書けないけど,いくら小説でもそれはあり得ないだろうと。
それ以前に,舞台のカンチェンジュンガ。
山好きな読者なら,この山のどのあたりで遭難が起きたのか,知りたいと思うでしょう。
ところが,地図もルートも記載がありません。
山岳小説なら地図で示すのが当たり前でしょう。
それを読者に想像しろと言うのでしょうか。
白馬の遭難についても同様です。
一応,ブックカバーの折り返しには以下のように概要が記載されているので,記載しておきます。
「雪崩で死亡した兄の遺品を整理するうち,増田直志はザイルに施された細工に気付く。死因は事故か,それともー。疑念を抱く中,兄の登山隊に関係する二人の男が生還を果たす。真相を確かめたい増田だったが,二人の証言は正反対のものだった!ヒマラヤを舞台にいくつもの謎が絡み合う傑作山岳ミステリー。」
とあります。
この作品が高い評価を得たのは「ミステリー」部分についてなのでしょう。
とても山岳小説と言えるものではありませんでした。