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ブックカバーの折り返しには以下の記載があります。
「終戦の三日後,男は遺書を残しゼロ戦に乗って旅立ち,東の空のかなたに消えていった」
大東亜戦争中にそういう人物が存在したことは知っていたので,詳細を知りたいと思って読んでみました。
主人公の大田正一氏は,太平洋戦争末期に「人間爆弾」と呼ばれた特攻兵器「桜花」を発案したとされる人物であり,終戦の三日後に遺書を残して茨城県神之池基地を零戦で飛び立ったまま帰りませんでした。
ところが太田氏は生きていたのです。
戦後,偶然出会った戦友の何人かと言葉を交わしてもいます。
その後の足取りは判然としませんでしたが,1950年に「横山道雄」となって大阪に現れた大田氏は,結婚して三人の子供をつくり,1994年にその生涯を終えました。
この本は,太田正一自身が発案した「桜花」に翻弄された生涯を著者が取材して書き上げたものです。
著者は,太田氏の上官,戦友などに取材して詳細な証言に基づいてこの本を作り上げているのだけれども,肝心なところで確たる資料が乏しすぎます。
さらに,なぜか主人公の先妻とその子供たちに取材をしていないのです。
もし何らかの事情で取材ができなかったのであればそのことを書くべきですよね。
結局真実がわからず,謎が深まるばかりのフラストレーションの溜まる結末でした。
それがゆえに筆者は「幽霊」というタイトルを付けたんだろうか。
今日のおまけ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/6d/2d9cc3664ebbe9d05ca8d4dffdb9125e.jpg)
今朝,丹沢の山並みが東京からも綺麗にみえました。