![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/24/09/21a90fb3f9690a363566ff90c251c042.jpg)
みなさんこんにちは、平野です。前々回から、私が国際子ども権利センターカンボジア事務所での1年で学んだことをもとに、人身売買の実態について書いています。前々回は人身売買の被害と加害の実態について、そして前回は「嘘の職業斡旋」に焦点をあてて村の女性や子どもが出稼ぎにでる背景をご説明しました。今回は、人身売買業者とは何者なのか、についてです。
【誰が最終的に子どもや女性を騙すのか】
誰が村人に甘い話を持ちかけて騙すのか。ある種の典型として、宝石などで着飾った都会風な女性が村人を言葉巧みにあざむくイメージがあり、実際に人身売買防止を呼びかけるポスターにもそういったシーンを描いているものがあります。そのポスターでは、派手な女性が親にお金を渡しており、少女はいやそうにしているのですが、やや強引にその女性に引っ張られています。
しかし実際にこのようなケースばかりなのでしょうか。もちろんそれも存在しているのでしょうが、同時に就職斡旋業者や親戚、友人、知人、隣人に話を持ちかけられて出稼ぎに出て被害に遭うケースも多々見られます。またそういった知人隣人は、往々にして地域で信頼のある人だったりします。
【人身売買に関与する人間は複数いる】
先ほど触れたポスターの例では、その派手な身なりの女性が都市部まで少女と同行し、そして買春宿等に連れて行ってしまうことが想像されます。しかし多くのケースでは、村から最終的に連れて行かれる場所までに複数の人間が関与していると言われます。特にタイやマレーシアなど国境を越えるケースでは、その数は5人6人になることも珍しくありません。例えば、村で職業を斡旋する人間、国境沿いの州まで連れて行く人間、国境で受け渡しする人間、タイ側であるところまで連れて行く人間、最終目的地まで連れて行く人間といった感じです。単に人間の運搬を頼まれる運転手なども含めていくと、相当な数になります。
【どこまで分かって関与しているのか】
そして複数の関係者の中で、どの人間とどの人間が確信的に関与しているのか、それが判然としないことも多いのです。例えば、ある村から10人の出稼ぎ者がある地点まで一緒に行き、そこから二つのグループに分けられ、さらにその先の地点で分けられ…その結果10人中9人は普通の仕事に就き、1人が人身売買の被害に遭ったとします。その場合、10人を束ねて運んだ業者はその被害を事前に知っていたのでしょうか、いなかったのでしょうか?
もちろんどこかに悪意ある人間がいるわけですが、関係する複数の人間には、自分も騙されて親戚に嘘の就職斡旋をしてしまった、過程の一部分に関与したが全貌は理解していない、怪しい話かなとちょっと思ったが気にしないことにした、といったさまざまな意識レベルでの関わりがあるのです。そしてそれは、次回お伝えしますが、カンボジアにおける人身売買が絵に書いたような明瞭な組織犯罪ではない、ということでもあります。これらのことが人身売買の摘発や予防を困難にしているのです。
※写真はカンボジアの農村の風景です。のどかな風景ですが、貧困から嘘の職業斡旋に騙されて村を出て行く人々があとを絶ちません。
人身売買の撲滅にあなたの力を貸してください↓
http://jicrc.org/pc/member/index.html
【誰が最終的に子どもや女性を騙すのか】
誰が村人に甘い話を持ちかけて騙すのか。ある種の典型として、宝石などで着飾った都会風な女性が村人を言葉巧みにあざむくイメージがあり、実際に人身売買防止を呼びかけるポスターにもそういったシーンを描いているものがあります。そのポスターでは、派手な女性が親にお金を渡しており、少女はいやそうにしているのですが、やや強引にその女性に引っ張られています。
しかし実際にこのようなケースばかりなのでしょうか。もちろんそれも存在しているのでしょうが、同時に就職斡旋業者や親戚、友人、知人、隣人に話を持ちかけられて出稼ぎに出て被害に遭うケースも多々見られます。またそういった知人隣人は、往々にして地域で信頼のある人だったりします。
【人身売買に関与する人間は複数いる】
先ほど触れたポスターの例では、その派手な身なりの女性が都市部まで少女と同行し、そして買春宿等に連れて行ってしまうことが想像されます。しかし多くのケースでは、村から最終的に連れて行かれる場所までに複数の人間が関与していると言われます。特にタイやマレーシアなど国境を越えるケースでは、その数は5人6人になることも珍しくありません。例えば、村で職業を斡旋する人間、国境沿いの州まで連れて行く人間、国境で受け渡しする人間、タイ側であるところまで連れて行く人間、最終目的地まで連れて行く人間といった感じです。単に人間の運搬を頼まれる運転手なども含めていくと、相当な数になります。
【どこまで分かって関与しているのか】
そして複数の関係者の中で、どの人間とどの人間が確信的に関与しているのか、それが判然としないことも多いのです。例えば、ある村から10人の出稼ぎ者がある地点まで一緒に行き、そこから二つのグループに分けられ、さらにその先の地点で分けられ…その結果10人中9人は普通の仕事に就き、1人が人身売買の被害に遭ったとします。その場合、10人を束ねて運んだ業者はその被害を事前に知っていたのでしょうか、いなかったのでしょうか?
もちろんどこかに悪意ある人間がいるわけですが、関係する複数の人間には、自分も騙されて親戚に嘘の就職斡旋をしてしまった、過程の一部分に関与したが全貌は理解していない、怪しい話かなとちょっと思ったが気にしないことにした、といったさまざまな意識レベルでの関わりがあるのです。そしてそれは、次回お伝えしますが、カンボジアにおける人身売買が絵に書いたような明瞭な組織犯罪ではない、ということでもあります。これらのことが人身売買の摘発や予防を困難にしているのです。
※写真はカンボジアの農村の風景です。のどかな風景ですが、貧困から嘘の職業斡旋に騙されて村を出て行く人々があとを絶ちません。
人身売買の撲滅にあなたの力を貸してください↓
http://jicrc.org/pc/member/index.html