菅井滋円 作品集

絵を始めて半世紀以上の歳月が流れた 絵に向かう時何時も満たされないモノがある その場がここになりつつある。

友へ

2016年02月26日 | 菅井滋円 作品集


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先日の個展の際にはお心ずかいありがとうございました。 不運にも貴方の奥様に見ていただく機会を亡くしました 非常に残念に思っております。
貴方のお嘆きはよくよく解かります。
わたくしも五人の喪主をしてまいりました 最後はわたくしの膀胱癌の最中に 女房が3キロのS字結腸癌で。  11年前の7月7日に他界しました。

母が買い求めた立派な仏壇がありましたが 過去帳だけを残し 捨てました  僧侶も以来断りました。

しばらくして肝臓癌ができ その病と向き合うことになり 今日に至っております。

貴方はわたしのメールが気に障ったのでしょう。
友人として奥様の「死」は理解できないと思っているのでしょう 乗り越えなければいけないハードルと思うのですが どうか乗り越えて下さい。

いつもわたしを励ませて呉れるのは レンブラントのことです 2度目の妻を失い 嘗ての弟子の筆代わりとして 屈辱の賃金を得て そして27歳になった将来ある息子に旅立たれ 孤独の老いた自画像を描いた巨人 曰く
「人生は空しい・・」
と。
人生を知り 絵をよく知った人の言葉は重い。

貴方から見て わたしが解かりきった言葉を使う 生意気な奴と思うでしょう。 どう思われてもかまいませんが こんなことをわざわざ手紙を寄越すわたしを 憎たらしく思って下さい それが貴方の脳細胞に刺激を与えるのであれば幸いです。

イマ貴方からのメールを拝見しました。
嬉しい言葉を読むコトが出来ました 明日この手紙を投簡します 元気を出しましょう。

             菅井 滋円