菅井滋円 作品集

絵を始めて半世紀以上の歳月が流れた 絵に向かう時何時も満たされないモノがある その場がここになりつつある。

柏野 2

2016年03月18日 | 菅井滋円 作品集
柏野 2
アトリエの登記簿に わたしのアトリエは 明治5年に建てられたのだという記録がある 路地の長屋の平屋である。
その家に安上(やすあがり)りで必要なだけのコンパクトに改装してもらった それから40年が経った。

西陣の西 紫野の一隅 柏野という地域にある。
この辺りは蜘蛛の巣のような 細い路地が張り巡らされている そこは小さな家が並び 無数に屈折した細い道がある  ここを京都市民でも探し出すことは難しいだろう 路地の中の一番奥にある家では 閑静と云うより この前には行く人は全くない  向かい隣の住人 かつて8戸あった長屋も わたしのアトリエを含めて3戸になった。

西陣織はここで織られていた 柏野は織屋の町であった。
あたり一帯激しく鳴り響いていた 力織機の音はイマ絶えてない トキはこの辺り織機を奪った そして過ぎ去った。

ここにはわたしの最も初期の作品や未完成モノや無数のエチュードなどが詰め込まれている 整理をしなければならない 多くの廃棄しなければならない山がある。

そのようなことを考えながらの入院となった。


            


                       柏野のアトリエ