菅井滋円 作品集

絵を始めて半世紀以上の歳月が流れた 絵に向かう時何時も満たされないモノがある その場がここになりつつある。

石佛

2016年05月13日 | 菅井滋円 作品集
石佛
紫野に蓮台寺と云う寺がある その辺りは平安京や室町時代には 死人(しびと)を捨てに行ったところである。
蓮台寺は永い歴史があり 春には桜の前に咲く杏(あんず)が白い その傍らにギャラリーのように 夥しい石佛が佇立している。
石佛にはまたそれぞれ趣がある  中にはこれは平安、室町時代くらい・・と思はせる石佛も数多くある。
蜘蛛を退治した武将の源頼光を語る欅は聳え立ち 平安朝最後の京仏師定朝も ここに眠っている。
アトリエから歩いて10分くらいの距離でよく訪れる。   何度もその石佛群の中から気に入ったものを写生した。
先日このコーナーで掲載した「疾風」という選佛寺に納めた屏風のモチーフも この寺の石佛であり またカメラに収めた写真も多い まことに京都の石佛は歴史を刻み優美である 京都の石工(いしく)たちの技術力の高さが伺われる。
国東半島の石佛は巨大で 急峻な坂をのぼり熊坂の不動の名でよく語られているが その巨大さに驚いたのは昨年の栗生工氏との旅であった。

亀岡の国分寺にある石佛は 手の平に乗るくらいの小さなモノもあるが 現地に立って思ったことは 幼子を失った親の嘆きが聞こえて来る。

わたしの描きたいモチーフは 先人の残した石佛の中に秘められたモノである。
石には故人からのメッセージが伝わっていると思うのだが・・・



  

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