今、熊野古道を歩くのは日本人よりも外国人の方が多い。それも
欧米人が主で中国人や韓国人は少ない。彼らが魅力を感じるのは
スピリチャル(精神的)なところ。熊熊古道には「レイキ(霊気)」
を感じるという。
熊野山地は神道や仏教以前から山岳修修行者が集団生活をして
祈りを捧げたところ。先祖や自然への崇拝という日本宗教の原初的
形態だった。男女、貴賤を問わずという心の広さもあった。
熊野古道が世界遺産に登録された20年前、大手旅行会社が組んだ
ツアーで連日大型バスが乗り付け、押し寄せた観光客に地元は疲弊、
大量のゴミにも悩まされた。
そこで熊野古道の西の玄関口、田辺市が招聘したのはカナダ人の
ブラッド・トウル。国際交流で本宮市(今は田辺市と合併)の教育
委員会にいた時に地元民も歩かないような山道を休日ごとに歩いていた。
トウルは集落ごとに勉強会を開き、住民と目指すものを話し合った。
そして、開発よりも保全と保存、生活に配慮した観光、団体より個人、
などを決め、目的意識が高い個人旅行者をターゲットにした。
(12/15、朝日GLOBE特集「Kumano」より)
2007年、関西を離れるにあたり熊野古道を歩いた。周参見から見老津
の「大辺路(オオヘチ)」と、紀伊勝浦から熊野本宮大社の「中辺路」。
今回の写真は大辺路編。