西國十六番札所の京都市の音羽山清水寺と、山号、寺号、
キヨミズという読み方も全く一緒なのが、今回訪れた坂東
三十二番札所の「清水寺」。
西國二十五番の御嶽山清水寺の読みもキヨミズで、この
三つを「日本三清水」という。西国三十三ヶ所巡りは結願
しているので、今回で三清水制覇である。
さて、今回の清水寺、最寄り駅は外房線「長者町」駅。
茂原から再び上総一ノ宮を過ぎて三つ目の駅だが、途中に
「東浪見(トラミ)」という駅がある。
外房線は千葉から房総半島を横断して太平洋岸に向かう
が、このあたりまだ九十九里海岸までは2キロほどある。
着いた長者町駅は意外にも有人駅。笠森観音で同じバス
だった男性も再び一緒に降りた。タクシーが一台停まって
いるが、片道4キロ半、往復9キロを歩く。
しばらくは外房線に沿って一緒に降りた男性と歩くが、
駅員が教えてくれた県道経由をとる男性と別れ、手元の
地図を見ながら踏切を渡って細い道を進む。
長閑な田園地帯を2キロほど行ってから丘越えの峠道に
左折。地元のウォーカーだろうか、颯爽と歩くご婦人に
あっさりと抜かれる。
峠道を下り切って案内に従って右折すると再び田園風景
となり1キロほどで清水寺入口となる。その直前に見える
参道の傾斜はけっこうキツイ。
滑り止めの溝が掘られる急坂を上ると、すぐに下界を
見下ろす風景となる。
50メートルほどの標高差を上って清水寺の山門に着くと、
静かで落ち着いた佇まいである。
古く渋い山門に対し、その奥の四天門は華やかである。
この四天門を潜った右手が百体観音堂で、中央に西國、
坂東各三十三ヶ所、秩父三十四ヶ所を合わせた百体の観音
様が並ぶ。
右手には明治末期の住職が仏師に彫ってもらったという
赤穂四十七士の像が並ぶ。一人一人の表情が豊かだ。
最後の石段を上って本堂に向かう。右手の鐘楼と池の
佇まいが好い。この池は「千尋の池」で濁ってはいても
湧水が枯れることがなく寺名の由来となっている。
今の本堂の建立は江戸の後期、文化十四年とこれも古い。
文化十四年に本堂を建て替えた時に仮堂として建てら
れた「奥の院堂」に十一面観音像が立つ。
帰りの電車は1時間に1本。往復で2時間、滞在30分
というスケジュール通りに山を下りる。戻りは途中から
山裾の南回りをとる。距離は往きと全く同じはず。
時速5キロを維持して余裕で長者駅に戻り、笠森観音
のチェアリングで飲み残したカップ酒で打上げ。
外房、京葉、武蔵野線経由2時間で三郷に戻る。途中
の千葉港でこの日初めての海を見る。ドア・ツー・ドア、
ジャスト12時間の上総の旅を終わる。