じんべえ時悠帖Ⅱ

空気機関車

 今日の朝日新聞土曜版「フロントランナー」より。

 家の2階から若桜(ワカサ)駅が見えた。子供の頃から運転士になる

のが夢だった。工業高専4年の時にその若桜鉄道が社員を募集した。

後はないかもしれないと中退して入社した。

 運転士として十数年経った30代半ば、会社が廃車になって30年の

SL(C12)を買った。上司から「図説蒸気機関車」を渡され動くように

してくれと言われる。赤字会社に整備士を雇う余裕はなかった。

 動くところが一つもない錆び付いた蒸気機関車との格闘が始まった。

そんな中で蒸気機関車を圧縮空気で動かす技術を確立した元国鉄機関士、

恒松孝仁氏を招請した。上司が鉄道展で会って交渉してくれていた。

 数日恒松氏から直接教えてもらい、帰り際に「大丈夫、これ動くよ」

と太鼓判を押された。そして2007年の会社の開業記念日に間に合った。

恒松氏が事故で亡くなった後の後継者として、今全国を飛び回っている。

 若桜鉄道車両係長、谷口剛史氏(49)である。係長室は修理工具や

資料で埋め尽くされている。趣味はモータースポーツのジムカーナ。

「乗り物が好きだが、飛行機は見るもの」と言う。

 蒸気機関車を蒸気で動くように整備するには数億円かかるが圧縮空気

で動かすのは数百万円で済むと言う。SLはやはり「動態保存」でないと

後世に残らない。そのためのお手伝いをして行きたいと語る。

           

今朝の日の出は雲の上から

日の出から30分後、まるで満月のよう


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