新天皇の「即位の礼」が終わり、令和元年も残すところ、
ちょうど十週間、七十日である。
読書の秋、ということで今日は久々に本の話。
先日、信州への墓参の車中で読もうと、隣の図書館で文庫本
を漁っていて見つけたのがこの本。
京都や京都ファンの方なら「丸竹夷」をご存じと思うが、
碁盤の目のような京都の横(東西)の通りを、北から順に
詠んだわらべ唄の出だしである。
京都御所の前の丸太町通りから、平安京の南の入口である
朱雀門があった九条通りまでを詠んでいる。
江戸の終わりか明治のはじめ頃に作られたという、わらべ唄
は七五調で調子は良いが、その節は抑揚がなく繰り返しも多い
単調なものである。
丸竹夷二押御池(まるたけえびすに、おしおいけ)
姉三六角蛸錦(あねさんろっかく、たこにしき)
四綾仏高松万五条(しあやぶったか、まつまんごじょう)
雪駄ちゃらちゃら魚の棚(せったちゃらちゃら、うおのたな)
六条七条とおりすぎ(ろくじょうひっちょう、とおりすぎ)
八条こえれば東寺通(はっちょうこえれば、とうじみち)
九条大路でとどめさす(きじょうとおじで、とどめさす)
「雪駄ちゃらちゃら」は「雪駄鍵銭」とも書いて、昔の、
雪駄屋町通、鍵屋町通、銭屋町通があった時代に唄われたと
言われる。
また、六条以降の歌詞についてはいくつかあり、その一つが、
六条花屋で数珠買うて
北七越えたら木津屋橋
塩三哲に梅八条
九条東寺でとどめさす
塩三哲が塩小路のこととすれば、このほうが実際の通りを
よく拾っている感じもする。
小さな通りの名は時代とともに変遷し、また通り自体が
なくなることもあって、これが歌詞が諸説ある理由だろう。
「寺御幸」は、そう、縦(南北)の通りを順に詠む。
これは省略するが、京都では横の通りと縦の通りの辻(交差点)
で場所を表す。四条烏丸、五条堀川などである。
さて、本の内容はこの辻で起こる連続殺人事件の推理もの。
最後の二つの現場を予測したまでは良いが・・・。
あとは読んでのお楽しみ。