自燈明・法燈明の考察

感染症と経済活動

 今朝は起きたら雨が止んで、日差しが出ていました。久しぶりの日差しは良いものです。でも気温は上がってきて暑くなりそうですね。

 さて、昨日から今朝にかけてですが、様々なニュースを見てきましたが、今の人類社会とは、愚かというか、抜き難い問題を抱えて混乱している様に見えました。

 その一つは、やはり新型コロナウィルスの国内市中感染の増加。もう一つはWHOからアメリカの離脱です。



 四月末から国内では緊急事態宣言を発令、確かに法的に強力な強制力(罰則)を持つものではありませんでしたが、それなりに効果が上がり、感染者数は下がりました。
 しかしこの期間、経済活動も急激に低下したので、休業や廃業に追い込まれた処もそれなりにありました。また日本政府の対応については、それなりにやっていたと思いますが、どうしても従来型での対応の延長であり、やはりこの緊急事態に対応出来たというモノではありません。本来、この様な緊急事態では政治主導で動く必要があったのですが、その政治自体が主導できる状態になかったのは、皆さんも御認識している処でしょう。

 そして緊急事態が解除され、経済活動を再開しましたが、一月以上経過した現在、想定通りに市中感染者の数はここに来てうなぎ上りになっています。しかし政府はイベントの規制緩和を行い、赤羽国交相は8月から「GOTOキャンペーン」という国内旅行活性化の政策を推し進める事を表明しました。

 政府は最近の感染者数の増加を「検査数を増やした事」による事であり「重症者数は少ない」と述べています。しかし検査数の中での陽性率も上がり、40代以上の感染者数も増えています。でも政府は何ら制限を課すことを考えては居ないようです。

 要は今の日本の政府は、感染者数の抑制よりも、経済活動の温存にハンドルを切っている訳です。

 確かに自粛するのは良いのですが、それにはその期間の経済的な支援が付かなくてはなりません。どんなに感染症が拡大しようと、今の社会では「支払う金を支払わない事」は許されないのです。それをやってしまった場合、その人達は社会の中での生存すら許されない構造なのです。

 だから自粛には国家としての補償がペアで必要になるのですが、その国家(政府)はこれ以上財布を振る事は難しいと判断したのでしょう。だから「自粛」から「自衛」と言い、要は各個人や各企業に感染防止を丸投げしたのでしょう。

 先日「武田鉄矢の今朝の三枚おろし」というラジオ番組を聞いていたら、武田氏が「経済学とは、欲望を数値化した学問である」という言葉を言ってました。これには中々うまい言葉だと思いましたが、であれば今の人類社会は「資本主義社会」であり、経済活動で成り立っている事から、社会の基底は「人間の欲望」を肯定し、それによって立つ構造であると言う事なのでしょう。

 欲望を基底にしているので、その欲望を滞らせる事は、社会として当然容認出来る事ではなく、結果として今回の新型コロナウィルスの感染症防止も限界に来ているという事なのかもしれませんね。

 あと一つ、アメリカのWHOからの脱退を決めたと言いますが、これまでのアメリカは常に世界のリーダーとして振る舞ってきましたが、それもいよいよ限界に来たという姿が具体的に示された事の様に思えます。

 確かに今のWHOは、テドロス事務局長が中国寄りの姿勢を示し、今回のパンデミックについても有用な働きをせずに、常に中国を見ていたという批判があります。しかし今の世界では国際的な医療協調を行う為に、WHOは重要な国際機関で有る事には違いないでしょう。

 そのWHOからアメリカが脱退する事は、今の国際社会にとっては、極めて憂慮すべき事ですが、アメリカのトランプ大統領はその国際的な視点を、あまり持っていない様です。そしてこれは今まで世界のリーダーシップを取ってきたアメリカ国民の意識も変化したという事なのでしょう。

 今の世界、気候変動にパンデミック、また大国間の関係も変化していますので、ここ数十年の形とは大きく変わってきています。でも社会の根っこにある人間の欲望というのは、より強くなっていませんかね?

 そんな社会の形を考えると、様々な事が気になってしまいます。


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