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韓国大慌て、「ノート7がここまで酷いとは!」 サムスンが落ちた「リコール10倍の陥穽(かんせい)」

2016-10-12 17:40:51 | 韓国

韓国大慌て、「ノート7がここまで酷いとは!」

サムスンが落ちた「リコール10倍の落とし穴」

2016年10月12日 東洋経済
 

韓国サムスン電子は10月11日に「ギャラクシーノート7」の生産中止を決定した。同製品の欠陥品となった原因を把握できなければ、

失墜した信頼を回復することは難しいという声が高まっている。しかも、信頼回復ができないことに現実味が増してきているのが現状

だ。そのことは、同社の先行きに大きな不安の影を落としている。


アップルの「iPhone7」に対抗すべく、満を持してサムスンが上市したギャラクシーノート7のリコール・生産中止がもたらした影響は、ど

のくらい深刻なのか。

韓国の輸出全体にも影響

まず数字的な影響。今2016年12月期第4四半期(10~12月)だけでも、7000億ウォン(約645億円)の機会損失が予想されてい

る。また同社株価も同製品の欠陥が知られた9~10月で140万~150万ウォン(約13万~16万円)の変動を記録。同社に部品を供

給するメーカーの今年度の営業利益が10~15%減額するとの予想も出ている。


さらには、韓国の輸出全体にも影響を与えている。9月の輸出は前年同月比で5.9%減。携帯電話端末の輸出に限れば、同27.9%

減との結果が出ているほどだ。


サムスンブランドの信用に対するダメージも深刻だ。9月2日にサムスンのコ・ドンジン無線事業部社長が緊急記者会見を開いた際の

説明は次のようなものだった。「ギャラクシーノート7が爆発した原因は、バッテリーセルの問題と確認した」。


ところが、交換したバッテリーまで発火。その検査能力・発言自体に信憑性がなくなった。コ社長が説明する通り、他社から購入した

バッテリー自体の欠陥による発火であるならば、バッテリーを良品に入れ替えた時点で発火が起こるはずがない。これでは話にならな

いのは当然だ。


二次電池専門家の間では、「ギャラクシーノート7の欠陥原因がわからないまま、迷宮入りしてしまうのではないか」と囁かれている。韓

国・電子部品研究院次世代電池研究センターのパク・チョルワン元センター長は「ギャラクシーノート7には、サムスンが保有する最先

端の技術がほぼ投入されている。そんな製品の欠陥が原因をおろそかにしたままでは、消費者が次のモデルを信頼できるだろうか」と

指摘する。


パク氏はさらに「原因がわからない何らかの問題がバッテリーに加わり、それが壊れたままの状態が続いて機器全体に伝わり、加熱し

た可能性がある。バッテリーが加害者ではなく被害者である可能性も念頭に置き、入念な原因分析をすべきだ」と主張している。


「リコール10倍の陥穽」に落ちた

二次電池関連企業に勤務した経験のある別の専門家は「バッテリーの爆発にはさまざまな原因が絡み合っているのが普通だ」と言う。

でだからこそ原因究明は簡単ではない。ところがサムスンは原因究明に時間をかけず結論を急いだ。「事態の早期終結を狙って早期

の販売再開を決定したようだが、いまこそ、欠陥品となった理由が何だったのかをきちんと究明すべきだ」と忠告する。


そもそも、サムスンはライバルのアップルよりも早く最新製品を上市するため、また各種プレミア技術をアップルよりも先に搭載するた

めに焦っていた。さらには欠陥でリコールとなった状況を早期に収拾するために事を急ぎすぎた。こうした「焦り」が欠陥とリコール費用

を拡大させる要因になったという指摘も出ている。


すなわち、サムスンが製品開発の初期から生産、販売に至るまでの段階ごとに、発見された欠陥を解決しようとしたため、収拾費用が

膨大になってしまう「リコール10倍の陥穽」に落ちてしまったのではないか、ということだ。


これは、開発段階なら100ドルで解決できた欠陥が、設計が終わった後に発見されれば1000ドル、生産に入った後には1万ドル、発

売後には10万ドルの解決費用が必要というのが、「リコール10倍の陥穽」が意味するところだ。ギャラクシーノート7は今年8月19日の

発売前段階で、韓国国内で40万台の予約を集めたほど初期の販売量が多かったこと、また9月2日にリコールの実施を発表した後に

もサムスンの製品を避ける消費者が少なかったことが、リコール費用を高める悪材料となってしまった


こうした中でサムスンがすぐにやるべきことは何か。まずは、ギャラクシーノート7の欠陥原因を調査し、把握することに加え、リコール

によるブランドイメージの悪化という最悪の事態をどう食い止めるかが、喫緊の課題だ。


サムスンは2015年に、1997年のアジア通貨危機以降初めてとなる研究開発費削減と関連人材のリストラを行っており、これが今回

の事態を招くきっかけとなったとの指摘も出ているのが現状だ。責任者の追及も必要だ。責任の所在究明が終わった後、年末に予定

されているサムスングループ経営陣の人事異動にも波乱が起きる可能性もある。


韓国政府の対応にも批判の声

サムスンの対応に加え、韓国政府の対応にも批判の声が出始めている。リコールから生産中止まで、政府の対応が遅すぎる、との批

判だ。


米国政府は被害が報告された直後に調査に着手した。それと比べると、韓国政府の姿勢はあまりにも消極的だった。10月11日に

なってようやく新製品の使用・交換・販売中止を勧告したこと、前日にサムスン側との協議した後だったことも、批判の的だ。専門家ら

は、「ギャラクシーノート7の生産中止以降、残された課題は旧型・新型製品の100%回収。政府は今からでもスピードを上げるべきだ」

と口をそろえている。


リコールを管掌する国家技術標準院は、10月11日にサムスン電子水原(スウォン)事業所の現地調査を行った。新たな欠陥を確認し

た同院が、10月1日にソウル市内の一般家庭で発生したギャラクシーノート7の発火事故などを調査するためで、事故発生後10日が

過ぎてからの調査だ。10月5日に米サウスウエスト航空機内でギャラクシーノート7の発火事故が発生し、消費者製品安全委員会

(CPSC)がすぐさま調査に着手したことと比べると、あまりにも遅い対応だ。


10月10日に生産中止を決定した後になって、安全性調査を本格化させたことも問題として指摘されている。安全性調査は事故調査と

は違い、欠陥のない製品に対して安全性テストを行う措置だ。9月22日にリコールを最終承認した当時、国家技術標準院はメーカー側

の原因分析(バッテリーの欠陥)をそのまま受け入れた。ところが10月になって新型製品に相次いで問題が発生してからようやく、調査

に身を乗り出している。


国家技術標準院関係者は「特定品目に対する安全性調査は初めてであり、できるだけ早く行う」と述べた。だが、生産中止になったた

め、安全性調査を行う必要性はすでになくなっている。


専門家らは、リコールから生産中止までの過程において、政府側が主導権を握れないまま、メーカー側の意向に引きずられていると指

摘する。前出のパク・チョルワン電子部品研究院元センター長は「国家技術標準院の製品安全諮問委員会の資質が問われる。政府の

未熟な対処能力が事態を拡大させた」と指摘する。同院は「サムスンから新型製品のリコール計画書を受け、問題なく回収が行われる

ようにする」と述べているが、どこまで徹底できるか。今後の姿勢が問われることになるだろう。