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中国の米大学への干渉「日本と連携して脅威に対応を」 米研究者が提言

2018-11-05 12:15:55 | 中共日本浸透工作・中共浸透工作・一帯一路・中国経済侵略

中国の米大学への干渉「日本と連携して脅威に対応を」 米研究者が提言

 2018.11.2   古森義久

 

 米国ワシントンの大手研究機関「ウィルソン・センター」が9月に発表した中国による米国主要大学への

干渉についての調査報告書が大きく波紋を広げている。米国の主要大学が長年、中国政府工作員によって

中国に関する教育や研究の自由を侵害され、学問の独立への深刻な脅威を受けてきたことを明らかに

したからだ。調査を実行した米国人の若手女性中国研究者アナスタシャ・ロイドダムジャノビク氏が

産経新聞のインタビューに応じ、米側大学が中国から学問の自由を組織的に侵害されてきた事実が

証明されたことを強調した。また、米側の教職員が中国の報復への恐怖を表明したことを明らかにし、

日本と連携しての対中政策の開始を提案した。一問一答の要旨は以下の通り。

(ワシントン駐在客員特派員 古森義久)


-若手中国研究者としてどんな動機でこの画期的な調査をすることを決めたのか

 「中国が国際的な地位を高めるにつれ、自国への外部の認識を気にして影響力を行使するようになった。

卑近な例では今年5月に外国航空会社に圧力をかけて、台湾が中国の一部であることを明示することを

命令した。中国がこの種の試みを米国の高等教育機関に対してどう実行しているかを知ることは非常に

重要だと感じた」


-調査の過程で最も難しかったことはなにか

 「最大の障害は調査対象の人たちの神経過敏さだった。聞き取りをした大学の教職員の多くが率直に

語ることを恐れていた。たとえば率直な答えを『反中』とか『人種差別』と断定されるのではないか、

という恐れが顕著だった。自分が率直に述べたことが中国側の報復を招くときに、自分の大学が守っては

くれないだろう、と恐れた人も多かった。中国側が反発して、自分の大学への中国人留学生を減らすと

いうような被害を恐れた教職員もいた」


 -調査結果は中国の干渉で米国の主要大学の学問の自由が侵された事実を立証したといえるのか

 「調査結果は米国の大学の教室内での中国に関する批判的な教科を制限しようとする中国当局の

影響力行使と干渉活動の累積的な効果がきわめて憂慮すべき傾向を生んでいることを明示した。

米国主要大学の教授、学生、教職員らの多くが中国側の検閲の規則に従って活動していることにもなる。

この状態は学生たちの学習だけでなく米国一般の中国についての認識をも阻害する。

 大学は自由な思考の殿堂であり、人々が自由なアイデアを安全で自由に交換できる場所でなければならない。

その基本が侵されてきたことは明白だ。これまで中国のこの種の活動が体系的、学術的に調査された

ことはなかった点も重要だと思う」


-中国側が米国の大学をとくに重視する理由はなにか

 「中国共産党は米国の大学が中国にとっての重要かつ危険な思考が最も顕著に生まれてくる源泉と

考えてきた。天安門事件後の中国共産党の議論や指令にそういう判断が明記されている。

つまり中国共産党への批判的な思考はまず米国の大学から発せられる、中国に批判的な思考の持ち主の

多くは米国の大学を活動拠点としている、という認識だ。

 だから『中国学生学者連合会』の在米留学生や在米中国外交官が米国の大学に中国の独裁を批判的に

とらえる教科、チベットやウイグルを支持する活動、台湾との交流などに抗議を続けるのだ」


-あなたは調査報告の結びで今後の対策として大学と政府との協力も提案しているが

 「中国の干渉に対して学問の自由を守るために、大学が政府と協力して、情報を共有し、対策を

連携させるシステムが有効だと思う。たとえば一つの大学が(チベット仏教最高指導者の)ダライ・ラマ

14世を招こうと計画し、中国側から激しい干渉を受けた場合、その情報を米国政府を介して他の

諸大学ともシェアして共闘すべきだ」


-日本も同じような問題を抱えているが、日本についての考察は

 「日本、カナダ、西欧諸国など民主主義国は学問の自由を尊重するから、みなこの中国の問題に

ともに直面している。だから共通の脅威に対して協力しあう必要があると思う。米国は日本など

同盟諸国とは安全保障面での脅威に関する情報をシェアしている。中国の影響力行使や干渉行動に

対してもその種の提携作業が必要なときだと思う」 

     

 ウィルソン・センターの「米国の高等教育への中国の政治的な影響と干渉の活動の研究」はコロンビア、

ジョージタウン、ハーバードなど全米25の主要大学を対象とし、中国関連の学術部門の教職員

約180人からの聞き取りが主体だった。結論は以下の要旨だった。


・中国政府の意を受けた在米中国外交官や留学生は工作員として米国の各大学に圧力をかけ、教科の

内容などを変えさせてきた。


・各大学の中国の人権弾圧、台湾、チベット、ウイグルなどに関する講義や研究の内容にとくに圧力を

かけてきた。その結果、米側に広範な自己検閲が起きた。


 ・その工作は抗議、威嚇、報復、懐柔など多様で、米側大学への中国との交流打ち切りや個々の

学者への中国入国拒否などを武器として使う。

     

 アナスタシャ・ロイドダムジャノビク氏 米国生まれ、2014年に米国プリンストン大学卒業、16年に英国オックスフォード大学で国際関係の修士号取得、17年に中国の清華大学でグローバル研究の修士号取得、同年3月から米国のウッドロー・ウィルソン国際学術センター研究員。18年9月から台湾国立大学で語学研修中。

https://special.sankei.com/a/international/article/20181102/0001.html