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世界で食肉値上がり、豚コレラで中国輸入急増。 牛・豚・鶏肉の価格上昇、各国に波紋

2019-09-25 02:11:15 | 中国・中国共産党・経済・民度・香港

世界で食肉値上がり、豚コレラで中国輸入急増

牛・豚・鶏肉の価格上昇、各国に波紋

2019 年 9 月 24 日 14:26 JST   WSJ By Lucy Craymer and Jacob Bunge

 中国国内の豚肉価格は50%上昇。写真は冷凍豚肉を買い求める香港市民 
 
 

 中国が世界中で食用肉を買いあさり、各地で牛肉や豚肉、鶏肉の価格が上昇している。世界最大の

人口を抱える同国は食肉供給に空いた大きな穴を埋めようと奔走している。


 中国の食肉バイヤーが買い付けを加速させているのは、アフリカ豚コレラが猛威を振るい、全国の

養豚場での飼養頭数が4割近く減少したためだ。国内の豚肉価格は急騰し、食肉輸入量が大幅に

増加した。それが世界的な肉の供給を圧迫し、世界経済に波紋を広げている。


 ブラジルでは中国向け鶏肉出荷量が1年前に比べて31%増加。鶏の胸肉やもも肉などが約16%

値上がりした。欧州では豚肉の小売価格が平均5%上昇。中国に輸出される国産肉が増えたためだ。

オーストラリアの食料品店ではラム肉の価格が14%上昇。ニュージーランドの店頭に並ぶ牛ひき肉は

過去最高水準まで値上がりしている。

 

 

 英国の人口2万7000人の町メルトン・モウブレイにも中国の買いあさりが影を落としている。

ペストリーに豚肉を詰め込んだ名物の「ポークパイ」を値上げせざるを得なくなったのだ。

英国農業園芸開発公社(AHDB)は今月、中国の需要増の影響で、国内豚肉価格が2017年11月以来の

高水準に達していると述べた。


 中国の大量買いの背景には、致死率の高いアフリカ豚コレラの感染拡大に歯止めがかからず、

多くの農家が豚を殺処分し、新たな豚の飼育を中止していることがある。米中貿易戦争が膠着

(こうちゃく)状態にあり、関税合戦を繰り広げる中、米国からの農産品輸出が落ち込み、中国は

空前の豚肉不足に直面している。


 米国の消費者は今のところ、さほど大きな価格変動を感じていないが、変化は間近に迫っている

かもしれない。中国当局が米国産豚肉など一部農産品を制裁関税の対象から外す可能性に言及した

ことを受け、米国市場の赤身豚肉先物12月限は今月すでに4.5%上昇。ただドナルド・トランプ

米大統領は20日、米国は2020年の大統領選前に中国との貿易協議で合意に達する必要はないと述べた。


 多くの米食肉加工会社はこの1年間、欧州や南米の競合企業が中国への豚肉供給にしのぎを削るのを

注視してきた。大手のタイソン・フーズやサンダーソン・ファームズは、中国の輸入増によって世界の

需給が逼迫(ひっぱく)すれば、そのうち自社にも価格上昇の恩恵があるとの見方を示した。


 一部の豚がアフリカ豚コレラに感染していると判明した韓国の養豚場。防護服を着た作業員が殺処分のため豚を誘導している(9月17日)

 

 

 「世界的に見てあれほどの量のタンパク質が不足していれば、必ず価格に影響するはずだ」。

タイソンのノエル・ホワイト最高経営責任者(CEO)は9月の投資家会合でこう語った。

 

 中国の豚肉消費量は年間1220億ポンド(約5530万トン)。主としてギョーザや肉団子、

炒め物などの料理に使われる。以前はその大部分を国内で調達していた。アナリストの推計では

豚コレラの影響で中国の2019年の豚肉生産量は最大357億ポンド減少するという。これは昨年の

国際的な豚肉取引量のほぼ2倍に相当する。

 

 国内の豚肉価格が50%急騰する中、中国当局は一部で豚肉を配給制にしたり、豚肉の代わりに

鶏肉や他の肉を食べることを奨励したりしている。

  

 5~7月の中国の豚肉・鶏肉・牛肉・羊肉の輸入量は70%増加し、世界中の食肉価格を押し上げた。

牛肉・羊肉・豚肉・鶏肉の価格動向を示す国連食糧農業機関(FAO)の世界食肉価格指数は年初から

10%上昇し、2015年序盤以来の高水準にある。


 ブラジル農業畜産供給省の声明によると、同国では、中国当局から輸出承認を得た食肉加工工場

(ロバ肉の加工を含む)が25カ所増え、計89工場となった。

 ブラジル食肉加工大手BRFは豚肉および鶏肉の輸出能力を約30%高めた。中国の需要に対応すると

同時に国内市場の供給量を維持する狙いもある。


 隣国アルゼンチンでは多くの国民にとって牛肉のない生活は考えられないが、価格高騰のため

牛肉を食べない人も出てきた。業界データによると、インフレと中国への輸出急増(牛肉は今年

2倍以上、鶏肉は68%増加)で、ステーキの価格は1年前から51%上昇したという。


北京の市場で鶏肉を購入する買い物客。5~7月の中国の豚肉・鶏肉・牛肉・羊肉の輸入量は70%増加 

 

 

 スペインの豚肉加工大手エルポソは、生産量のどの程度を国内市場に供給し、どの程度を中国に

出荷するかを見極めようとしている。中国向け輸出の方が高収益につながるのだ。スペイン国内では

安価な部位の豚足ですら市場から姿を消しつつある。中国でははるかに高い値がつくと、エルポソの

アジア担当販売責任者ジョン・ヒッキン氏は話す。


 豪最大都市シドニーの北部では、食肉加工販売店のテンダー・グルメ・ブッチャリーが中国の

旺盛な食肉需要を実感している。店長のロン・バーガン氏は、ラム肉の価格が高くなりすぎたため、

値上がり分をすべて顧客に転嫁すれば、売り上げが落ち込むと話す。

 そのため同店では利益を削ることにした。ラム骨なし肉を1ポンド当たり約20.29ドルと、

1年前より約10%高い価格で販売している。

 「食肉業界にとって難題ばかりだ」とバーガン氏は話す。干ばつで国内の牛や羊が減少し、ただでさえ

国内の供給はひっ迫していたという。

 
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