中国がバヌアツに軍事基地建設を計画 マスコミ報道
中国当局が、太平洋の島国バヌアツに軍事基地を建設する計画。10日、豪紙「シドニー・モーニング・ヘラルド」が、
匿名の消息筋の話を引用したオーストラリアのメディア「フェアファックス・メディア」の情報として伝えた。
消息筋によると、基地建設に関する協議はすでに始まったが、バヌアツ政府への正式な提案はまだ行われていないという。
消息筋は、中国は段階的に行動すると考えている。まず中国は、同国の軍艦が修理及び軍用品補充のためにドックに自由に出入りする
合意を結び、その後、同合意が基地建設に関する条約の基盤となる可能性があるという。
計画が実現した場合、中国の軍事基地がオーストラリア沿岸から2000キロ以内にでき、中国にとって太平洋地域で初めての
海外基地となる。現時点で同地域に軍事基地を持つのは米国のみ。
なおバヌアツは、国内に外国の軍事基地ができる可能性を否定している。
10日、バヌアツのレゲンバヌ外相は豪放送協会(ABC)に対し「バヌアツ政府では誰も、バヌアツにおける何らかの中国の
軍事基地について話したことは一度もない」と述べ、「我々は非同盟主義国であり、軍事化に関心はない。国内の一切の軍事基地に
関心はない」と語った。
また中国国防省報道部も、中国紙「環球時報」に対し、オーストラリアのマスコミの報道は事実に全く反していると答えた。
中国は南太平洋諸国で、インフラ建設などを通じて影響力を強めている。バヌアツはこれまで中国が軍事拠点化を進める
南シナ海問題で、中国寄りの立場を取ってきた。
ヘラルド紙は豪政府関係者の話として「中国はまず軍艦の寄港や燃料補給から始め、徐々に野心をあらわにしていく」との
コメントを紹介した。
バヌアツは人口27万人で、オーストラリアの東約2千キロに浮かぶ島しょ国。豪シンクタンク、ロウイー研究所によると、
中国は2016年までの10年間で、バヌアツに2億4300万ドル(約250億円)の援助を行っており、日本(9500万ドル)、
米国(8400万ドル)を上回る。