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<新型コロナウイルス>【上海】新型肺炎厳戒で上海がゴーストタウンに! マスクに大行列、食料買い占め、デマも

2020-02-02 21:47:08 | 医療・疾病・疫病・パンデミック・新型コロナウイルス

新型肺炎厳戒で上海がゴーストタウンに!マスクに大行列、食料買い占め、デマも

2020.1.31 5:12   DIAMOND online   王 青:日中福祉プランニング代表

https://diamond.jp/articles/-/227412

中国・上海で有名な観光地の外灘(バンド)の様子。いつも大勢の観光客で賑わうが、人がほとんどいない。筆者の友人が撮影

 

今回の新型肺炎は日本でも大きなニュースになっている。現地の中国では、当然ながら、

それ以上の騒ぎであり、中国・上海出身である筆者(日本在住)のもとには、多くの

友人、知人から相談や情報確認の連絡がひっきりなしに来ている。現地の中国の現状を

お知らせする。(日中福祉プランニング代表 王 青)

 

巨大経済都市の上海でもゴーストタウン状態となった

 中国の新型コロナウイルス肺炎は、中国国内にとどまらず、世界各地に広がった。

感染者数がどんどん増えており、各国政府が警戒する事態となった。

 

 本来なら、1月24日は中国の旧正月(春節)の大みそかで、そこから7~10日間の

大型連休が始まる。異郷で働く人や大学で勉強する学生らは、実家にいる家族の

元に帰り、一家団らんの時を楽しみにしていた。ところが、新型コロナウイルス肺炎の

蔓延で事態が一気に変わった。約4700万人が帰省できず、家族と離れ離れでの新年を

余儀なくされたのだ。

 

 各地の地方都市政府もいろいろな対策を打ち出して、対応に追われていた。

上海市は1月24日に、すべての公共施設を閉鎖すると発表した。

 上海博物館や科学技術館が閉館、ディズニーランドまでもが休業に追い込まれた。

そして予定されていた多くの春節のニューイヤーコンサートも中止となった。

移動手段はかなり本数を減らした地下鉄とバスしかない。なぜなら、タクシーはすべて

運休となっているためだ。

 その地下鉄もガラガラで、道にも人影がない。上海の有名な観光スポットのバンドでは、

黄浦江の夜景を楽しむクルーズも運航停止している。「新天地」もずらりと並んでいる

店のシャッターは固く下ろされたままになっている。

上海市内の地下鉄もガラガラ。筆者の友人が撮影

 

 2500万人の人口があり、いつも大勢の人でににぎわう都市は、今やゴーストタウンと

なった。人気がない上海の街頭の写真を見て涙を流す人もいた。

 政府は外出を控え、マスクを着用するようにと呼びかけている。

 市民の今の心境をひと言でいえば、「恐慌」である。

 

マスクは売り切れ続出。仕方なくビニール袋をかぶる人々も

 筆者は日本に在住しているが、ここ数日は中国各地にいる友人から「マスクを買って

送ってほしい」との連絡がひっきりなしに来ている。「マスクはすべて売り切れ、どこに

行っても手に入らない!」からだ。

マスク購入のために行列する人々。上海市で筆者の友人が撮影

 

 ある友人からは、マスクを購入する長蛇の列の写真が送られてきた。マスクの値段は

高騰し、10枚入りで700元(約1万1000円)まで値上がりしているが、それでもすぐに

売り切れとなった。病院でもマスク不足が深刻だ。医者と看護師には、1日に2枚の

マスクしか配給されていない。1枚のマスクは4時間しか使えないとの規程があるが、

友人である医師は「実際の勤務時間が10時間を超える日がほとんどだ」と明かしてくれた。

マスクが購入できないため、ビニール袋をかぶる人もいる。SNSで拡散されていた写真

 

 これまで中国に行く日本人がいつも不思議に思っていたのは、PM2.5などで空気が

悪いのに、地元の人がマスクをほとんど使わないことだ。逆に、マスクをしている人は

日本人だとすぐに分かったほどである。

 ところが、今は、誰もがマスクをしている。これまでマスク嫌いで拒絶していた

お年寄りまでも皆着用しはじめた。もし街でマスクをしていなかったら、周りから

怪しい目で見られるようになったぐらいだ。スターバックスをはじめ、カフェや喫茶店も

マスクなしでは入れないところが多い。

上海のスターバックス。マスクなしでは入れないという告知と閉店のお知らせ。筆者の友人が撮影

 

 1月27日には、ようやく上海市政府がマスクを統一して調達し、毎日300万枚の

マスクを1000の薬局で販売し始めた(1人10枚までの限定)。このニュースが流れた途端、

薬局の前に長い列ができ、そして衝突があちこちで起こり、警察まで出動したという。

 

 マスクを買えなかった人は、仕方がないので、ビニール袋や大型のペットボトルを

かぶって外出している。こうした様子はやはり中国人の目から見てもおかしいので、

SNSなどでも写真が出回っている。

マスクの代わりに大型のペットボトルをかぶる人も。SNSで拡散されていた写真

買い占めで食料品も品薄。農場で野菜を仕入れる介護施設の経営者

 不足しているのはマスクだけではない。食料品も品薄だ。

 スーパーや市場に行っても、買い占めによって野菜などの食料品は普段と比べると

種類が少なく、価格も2倍以上。とくに保存食となるインスタントラーメンや

ビスケットなどの売り場の棚が空っぽになっている。

買い占めで食料品も品薄。筆者の友人が上海市のスーパー「カルフール」で撮影

 

 筆者と仕事上親しくしている上海市の介護施設の経営者は、施設の食料と職員の

食材の確保に奔走している。朝早くスーパーに行って食材を買おうとしたら、

これまで見たことのない異様な光景を目にしたという。

 人々がパニック状態に陥り、ものを奪うように買い占めているという。

結局、その経営者は知り合いの農場へ行って、トラックで野菜を仕入れてきたそうだ。

 

政府は「必要のない外出をしないように」と呼びかけている。これに対して、市民は

「外出しないのが、社会貢献には一番いい行動だ」と協力的ではある。

冷蔵・冷凍食品もほとんどない。上海のカルフールで筆者の友人が撮影

 

 では、家でどう過ごしているのか?その様子がSNS上を賑わせている。料理を作って

その写真をアップする人もいれば、行くはずだった観光ツアーのスケジュールをつくる人、

家の中を旅行先風に飾り付ける人まで現れた。

 「やることがなく食べるばっかりで、これまでのダイエットが台なし」と嘆く人。

1日中ゲームで遊び、そして寝る。好きなマージャンをやりたくても、

人が行き来しないから、4人まで集まらない。

 

 また、SNSでは自虐的なコメントも多い。

「今となって、やっとワンちゃんの気持ちが分かった。散歩したい!」

「夫婦がずっと家にいて仲良くなり、11月にベビーブームが起こるのではないか、

少子化が解消できる」

「食べたい時に食べる、寝たい時に寝る、スマホ、テレビだけの生活…、これはまさに

夢の生活だ」

「これから犯罪率が下がるのは間違いなしだ。というのも、皆、犯罪者のごとく、

自由を失い、刑務所にいる苦しみを味わったからだ」

 

 そんな中で、旧正月に公開を予定していた人気映画の制作陣が、ネットで作品を

無料視聴できるようにした。これまで多くの資金を映画の宣伝に突っ込んでいたのに、

これで興行収入や映画館との契約はどうなるのだろうか。物議を醸す中での敢行と

なったが、ネットでは歓迎の声が上がり、大きな話題となった。

 

外出できずにスマホばかりの日々。拡散されるデマやフェイクニュース

 四六時中、ずっとスマホをいじったり、ネットでしか外部とのつながりがない中で、

SNSへの投稿が普段よりも爆発的に増えた。日ごろの数倍の量となり、普段あまり

投稿しない人まで、記事のシェアをしたりするようになった。SNSで飛び交っている

内容はほぼ100%といっていいほど新型肺炎のことだ。

 

 一つの記事が拡散され、何度も目につく。それほど人々は、不安で仕方がないのだ。

そんな中で、拡散されているデマやフェイクニュースも少なくない。

 筆者が見たニュースでは、「日本が中国へ1000人以上の医療チームを派遣して武漢に

到着した」というもので、もっともらしい写真までついていた。ほかには、香港の

有名俳優が新型肺炎に感染したというものもあった。

 なかには「爆竹は空気中のウイルスや細菌を殺す効果がある。政府が都市部で爆竹を

禁止したことが今回の新型肺炎を生んだ」「たばこには殺菌効果があるので、感染防止の

ために吸ったほうがいい」といった話まで出回っている。

 かつてのSARS(サーズ)騒動のとき、日本の乳酸菌飲料のヤクルトに

「感染の予防効果がある」との噂(うわさ)が流れて品薄になったことがあるが、

爆竹やたばこはどう考えても空気を汚すだけで効果があるとは思えない。

 

SARSの教訓はまったく生かされていない

 多くの専門家らは、今回のことは「偶然ではない、大自然から我々人類への警告と

復讐だ」という。そして野生動物が感染源とされる今回の新型肺炎に、「SARSの

教訓はまったく生かされていない」と指摘している。

 

 実際、SNS上では、動画や写真で多種多様な野生動物を販売する不衛生な市場の

様子や、野生動物を食べる人々の様子が拡散されて、非難の対象となっている

(ただし、これに関しては中国国内ではなく、海外で撮影されたものなど信憑性に

問題のあるものも含まれている様子である)。

SNSの写真・動画ではコウモリなどの野生動物を食べる様子や、多種多様な野生動物を販売する不衛生な市場の様子が拡散されて非難の対象となっている

 

 ある専門家の声は、おそらく多くの中国人の考えを代弁しているものであろう。

「いつものにぎやかなお正月は、今年はマスクをしながら家に引きこもる、寂しい

ものになった。しかし、なぜこんな事態になったのか、どこがいけなかったのか、

自分の心と対話して振り返る、いい反省の機会となる。必ずしも悪いことじゃない。

そして、国民一人ひとりが考えて反省すれば、国も国民も変わるきっかけとなる」

 

 中国政府は本来1月末までの旧正月の連休を、2月9日まで延期すると発表した。

この長い「自宅軟禁状態」はまだまだ続くことになる。

 


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