ティファニーの運命、中国と共にあり
第3四半期決算の不調、原因は中国からの需要減退
2018 年 11 月 29 日 10:42 JST THE WALL STREET JOURNAL
――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」
2018年前半の米高級宝飾ティファニーは、、オードリー・ヘプバーン演じるホリー・ゴライトリーが
言うところの「ひどく悪いことなんかとても起こりそうもない」場所だった。だが、彼女は次のように
続けていたかもしれない。「ただし、中国に頼りすぎていなければね」
ティファニーは今年、新しいジュエリーコレクションの発売や婚約指輪の売上高急増(今どきの若者は
結婚を嫌がる傾向があるにもかかわらずだ)、1961年の映画で使われた「ムーンリバー」のラップリ
ミックスなどによる企業イメージの一新を達成した。5月に業績が予想を上回った際には株価が24%急騰し、
7月には過去最高値を記録した。
しかし、夏以降は株価が年初の水準にまで反落。28日の8-10月期(第3四半期)決算発表後はさらに
12%下落した。第3四半期の1株利益は0.77ドルとほぼ予想通りだったが、売上高は10億1000万ドルとなり、
予想の10億5000万ドルを下回った。世界の既存店売上高は2%の伸びにとどまり、ファクトセットの
5.4%というコンセンサス予想を下回った。
こうした低迷の原因は、中国本土に加え米国や香港の中国人買い物客を含む中国人消費者からの
需要減退にある。中国は高級品支出の約3分の1を占める。中国の消費拡大は高級ブランドにとって
追い風となったが、過剰な依存はリスクにもなっている。中国経済の減速懸念を受け、LVMHモエヘネシー・
ルイヴィトン(LVMH)をはじめとする高級ブランド株は軒並み下落した。世界の高級ブランド銘柄で
構成される「S&Pグローバルラグジュアリー指数」は9月末以降12%低下している。
ティファニーにとって、こうした減少分は米国の旺盛な需要で相殺された。北米の第3四半期の
既存店売上高は前年同期比5%増加した。これは、若い消費者にアピールする取り組みが奏功したことを
示唆している。同社は新しいマーケティングキャンペーンや商品ラインに加え、店舗にも多額を
投資している。店舗は依然、同社の売上高の90%以上を稼ぎ出している。ニューヨーク5番街の
旗艦店には現在、ティファニーブルーの箱でできたトランスフォーマー風の巨大ロボットが飾られている。
これは明らかにテクノロジーにたけた若者をターゲットにしている。
中国の消費が以前の水準に戻れば、株価は回復する公算が大きい。中国の高級品売上高は2009年と
16年の低迷後は回復している。さらに、ティファニーは最も重要な北米市場について、正しく理解しつつ
あるようだ。
株を買うなら今だ。でなければティファニー株は再び輝きすぎて手が出なくなるかもしれない。