憤るアマゾン、減らぬ「やらせ評価」はSNSのせい
米アマゾン・ドット・コムが電子商取引(EC)サイト上の偽カスタマーレビューを抑制するため、SNS
(交流サイト)に積極的な協力を求めたと、米CNBCなどが6月16日に報じた。
アマゾン「SNSは十分に資源を投じるべき」
アマゾンでは、人間による監視や機械学習を使ったシステムで偽レビューを削除している。
だがそれでも消費者を欺く書き込みが後を絶たない。それはSNSというアマゾンの監視の目が届かない
プラットフォーム上に、偽レビューの出品や、書き込みを売り込んだり、執筆者を募ったりするグループ
が数多く存在するからだという。
アマゾンは同日、自社のブログでSNS企業の対応の遅さを非難した。
アマゾンによると、同社は2020年1~3月、約300のグループが偽レビュー取引に関与しているとして
SNS企業に注意した。報告を受けたSNSがそれらのグループをサイトから削除するのにかかった日数は
平均45日だった。
21年1~3月には約1000のグループについて報告。削除するのにかかった日数は平均5日と、改善が
見られた。アマゾンは一定の成果があったしSNSの努力を認めたものの、「SNSは、我々が報告する前に
発見・削除できるように十分に資源を投じるべきだ」と非難している。
英競争当局がフェイスブックに注意
同社は名指しすることは避けた。だが、ここのところ問題視されているフェイスブック上ではびこる
偽レビュー取引グループを懸念しているようだとCNBCは報じている。
英競争規制当局の競争・市場庁(CMA)は21年4月、フェイスブックが偽レビューを売買していた
1万6000団体をSNS上から削除したと発表した。
フェイスブックはシステムを改良し、こうしたコンテンツを自動で発見・削除する仕組みを導入した。
新規投稿も禁止したほか、検索機能も改良し容易に探せないようにしたという。
フェイスブックや傘下の写真共有アプリ「インスタグラム」では製品やサービスの偽レビューを違法
取引する行為が横行しており、CMAが事前に懸念を伝えていた。CMAは20年1月にも同様の指摘をして
おり、フェイスブックはこうした行為がサイト上に表示されないよう努めることを誓約した。
レビューの見返りに代金払い戻し
米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、好意的なレビューを書く見返りに、商品の代金を
払い戻すという手口が一般的。払い戻しにはオンライン決済のペイパルが使われるという。具体的には
フェイスブック上に「アマゾンレビュー」といった名称のグループを作成し、書き手を募っている。
また、商品に35ドル(約3900円)のギフトカードを同梱し、金銭受け取りの条件としてレビューを
書いたり、五つ星をつけたりすることを義務付けているものもあるという。
パンデミック以降のアマゾンの純利益は260億ドル(約2兆8800億円)に積み上がり、過去3年間の
合計を上回った。プライム会員は5000万人増えて2億人超となった。こうしてアマゾンでの買物が
増えるとともに、レビュー操作も増えていると同紙は報じている。
アマゾンによると、同社は20年に全体の約99%に当たる2億件以上の疑わしいレビューを掲載前に
削除した。それらのアカウントが再び投稿できないようにする措置も講じ、関与した出品者アカウントを
停止したと説明している。