【ハノイ】中国とベトナムなどが領有権を争う南シナ海のパラセル(西沙)諸島海域で今月上旬、中国海警局の公船がベトナム漁船に
体当たりして沈没させていたことがわかった。
漁船が所属する同国中部クアンガイ省の漁業組合関係者が16日、読売新聞に明らかにした。
南シナ海の一層の軍事拠点化を進める中国が、ベトナム漁船襲撃を今年に入って再び活発化させていることを改めて示した形だ。
関係者によると、中国公船は7日夕、操業中のベトナム漁船を追跡し、体当たりしてきたという。
漁船は程なく沈んだが、乗員6人は近くの僚船に救助され、無事だった。
また12日午後には、同じ中国公船搭載の小型艇2隻が、同組合所属の別の漁船(乗員11人)を襲撃。漁業設備を破壊したほか、
魚や食料の保管庫に薬品を投入して使用できないようにしたという。
関係者は「いつ死者が出てもおかしくない」と、中国船による体当たりに懸念を強めている。死者が出る事態となれば、ベトナムでくす
ぶり続ける反中感情に火が付く可能性がある。