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【WSJオピニオン】ユナイテッドをボイコットせよ 社会の健全さのため、時には企業への罰が必要

2017-04-13 09:05:06 | 朝鮮半島有事・非核・南北朝鮮

【オピニオン】ユナイテッドをボイコットせよ

社会の健全さのため、時には企業への罰が必要

――筆者のホルマン・ジェンキンス・ジュニアはWSJ論説委員で「ビジネスワールド」欄担当コラムニスト

***

 米ユナイテッド航空は長らく、不作法は大目に見るとしても、感心できない企業だった。

 覚えているだろう。1990年代半ば、ユナイテッドは採算割れが続き、キャピタルゲインも期待できない中、従業員に株

式の55%を保有させる名案を思いついた。あたかもそれで従業員のインセンティブ報酬が改善するかのように。


 従業員も愚かだとは言わないが、それらしい形容詞が脳裏をよぎる。従業員バイアウト(EBO)を主導したパイロット組

合の委員長は、従業員が会社の経営権を握るのは、金の卵を産むガチョウを生かしておく(訳注・目先の利益より将来

の利益を優先させる)ためではなく、単に「会社の首根っこを押さえつけて最後まで卵を産ませる」ためだと組合員に語っ

た。


 1994年から2002年に会社が経営破綻するまでパイロット組合は主要株主だったが、彼らはタイミングの悪い賃上げ

をひたすら要求し続け、未申告の違法なストライキを決行した。2008年にはストは計8日以上に及び、あるときは329

便が欠航になり、3万6000人の乗客が足止めを食った。健康なパイロットが病欠で乗務を拒否したのだ。


 インセンティブが聞いてあきれる。「地獄の夏」と呼ばれた2000年にも同様の戦術が行われたことを乗客は覚えてい

るだろう。従業員が買収計画を進めていた1993年にもそうした慣行は存在した。つまりこうなる。従業員は顧客の間で

評判を落としたうえで会社を乗っ取ろうとしていたのだ。


 通常、われわれは企業の擬人化を避けようとする。もちろん企業には「文化」があるが、それは決して不変ではない。

社員は変わるし、経営陣も変わる。市場の状況も変化する。


 2005年にはユナイテッドを擁護する声が多かった。このとき筆者は、米国の破産制度はまだ社会全体の利益のため

に機能しているのか、それとも単に組合労働者のためにゾンビ企業を存続させる手段となったのか、その遅きに失した

テストケースだと指摘した。当時はいくつもの航空会社が、破産裁判所を都合良く使って債務やその他のレガシーコスト

(負の遺産)を整理していた。ユナイテッドもそうだ。そうやって市場に復帰する会社がある一方で、義務を守ろうとする

同業者はますます苦境に陥った。


 ユナイテッド航空は再編させるよりも清算させよう、と当時われわれは提案した。ユナイテッドに相応の犠牲を払わせ

ることにより、業界の残りの企業に収益を好転させるチャンスが生まれると。


 これに対し、ユナイテッドの従業員からは山のようなメールが届いた。


 上記のすべてが最近起きた目に余る乱暴行為の背景にあるとわれわれは考える。国が重要な岐路にあるという印象

すら受ける。


 ユナイテッドは9日夜、シカゴ発ケンタッキー州ルイビル行きの便がオーバーブッキング(過剰予約)となり、4人の乗務

員を搭乗させるため機内の席を空ける必要があった。800ドルという安い補償金で自発的に席を明け渡す客は一人も

おらず、ユナイテッドは降機を求める乗客を4人選んだ。この中のある紳士は明らかにチケット代を払った席に座る権利

があると考えていた。


 この男性がアザラシの赤ちゃんのような姿で満席の機内から引きずり出される動画がソーシャルメディアに投稿され、

これまでに記録的な再生回数に達した。ユナイテッドは最近ほかの企業では例がないほど物笑いの種になった。オス

カー・ムニョス最高経営責任者(CEO)が乗客を「再割り振り」した方法について正式に陳謝したが、事態は一向に改善し

ていない。あるいは深夜番組のコメディアンならば、もう少しましなコメントができたのだろうか。

 

オーバーブッキングのユナイテッド航空機、乗客引きずり出しの一部始終 United Airlines Has Man Dragged From Overbooked Flight


 確かに、この状況にあまりにも重要な意味づけをするのは考えものだ。しかし社会の健全性のために時には企業に罰

を与える必要がある。米国民はこれを擁護するつもりか? これほど有名で象徴的な企業が顧客をこのように扱うのを

許すのか? ボイコットの動きもちらほら現れている。これを国家再生の瞬間としようではないか。


 米国は現在、国が分断されているという示唆にあふれている。ドナルド・トランプ米大統領は難なくそれを味方につけ

た。また、ベストセラーとなった経済学者タイラー・コーエン氏の近著「The Complacent Class」のテーマでもある。だ

からこそ、ユナイテッドのボイコットを広めよう。ユナイテッドの名がいつの日か、米国が好転するきっかけになったと記

憶されるように。


 ボイコットし、ユナイテッドをかたどった何体かの人形を燃やすのだ。ユナイテッドのゲート係員を本当に蹴り飛ばして

はいけないが、それを表す絵文字を作ってもいいだろう。


 ところで騒ぎの間、シカゴの空港の警備員に問題はなかったのか? 「私は一切関係ない。ユナイテッドがオーバー

ブッキングのミスを礼儀正しく、金銭で解決できなかったのなら、罪のない顧客を手荒に引きずり下ろすのは私の仕事で

はない」と言う警備員がいなかったか? われわれの国家を覆う不安がここにも垣間見える。警察は装甲車両が到着す

るまで、包囲や逮捕を執行できない。コロンバイン高校の銃乱射事件では警察が外で待機し、銃撃の終了を確認してか

ら中に踏み込んだ。


 トランプ氏に投票した有権者のみなさん、あなたがたは米国を再び偉大にしたかった。それならチャンスだ。ユナイテッ

ドをボイコットせよ。