役に立たない国連決議 有事には国際法守る気なしの核保有国
2017.04.29 夕刊フジ(ケント・ギルバード)
米トランプ政権は、北朝鮮への対応で、軍事的選択肢も排除しない強硬姿勢を示している。
これに対し、「金日成(キム・イルソン)主席生誕105周年」を祝う15日の軍事パレードで、金正恩(キム・ジョンウン)朝
鮮労働党委員長の側近、崔龍海(チェ・リョンヘ)氏は「米国が無謀な挑発をしかけるなら、朝鮮革命武力は即時、殲滅
(せんめつ)的な打撃を加え、全面戦争には全面戦争で、核戦争には朝鮮式の核打撃戦で対応する」と述べた。
また、北朝鮮「アジア太平洋平和委員会」は21日夜、「水爆から大陸間弾道ミサイルまで、すべてを持つわれわれは、
米国のいかなる挑発にも対応する準備がある」との報道官声明を公表。さらに、「われわれの首脳部を狙う敵対勢力
は、南が灰となり、日本列島が沈没し、米国本土に核が降り注いだとしても、後悔してはならない」と、有事の際は米国
の同盟国である日本と韓国も攻撃することを示唆した。
北朝鮮は建国以来、国際的な批判や制裁に屈せず、遠慮や謙遜なども一切なく、嘘とハッタリを上手に使って、ひたす
ら国益を追求してきた。国益よりも諸外国の顔色を重視して譲歩を重ねてきた日本は見習うべきだ。
北朝鮮の最大の国益とは、金王朝の安泰である。正恩氏は水爆と大陸間弾道ミサイルを自前で開発し、米国から核
保有国として認められれば、それがかなうと信じている。
これは祖父、日成氏と、父、金正日(キム・ジョンイル)総書記の悲願でもあり、正恩氏にとっては宗教教義にも等しい
絶対的正義である。
彼の核兵器に対する強い信仰心を、平和的な話し合いで放棄、改宗させられると考える人は、「平和ボケ教」の信者
である。私は信教の自由を尊重するので、彼らが宗教家や宗教団体として活動するのであれば文句はない。
しかし、政党や新聞社、テレビ局などに潜り込み、政治家やジャーナリストなどに偽装して「平和ボケ教」を布教する行
為は見過ごせない。美辞麗句で大衆をだまし、「殉教者」の道連れを増やす気か。
もう一つ、「日本は国連決議に従うべき」などと、これまた寝ぼけたことをいう日本人が多い。はっきり言うが、国連や国
際法、国際条約など、有事の際は何も役に立たない。
例えば、国連安保理常任理事国である、米国、英国、フランス、ロシア、中国の五大国は核兵器を保有する。これは有
事の際、国益のためなら国際法を無視して、敵国の一般市民を核兵器で大量虐殺することもやむを得ないという意味
だ。
それが、UN(United Nations)、すなわち、「連合国」の本質である。決して絶対的正義などではない。