電子レンジは人類にとって脅威
マンチェスター大学の学者たちは、電子レンジが環境に影響を与えていることを明かにした。大学のホームページに、研究に関する
プレスリリースが掲載された。
報告書によると、EUだけでも電子レンジは年間680万台の自動車と同じ量の二酸化炭素を排出している。このような排出量は、
地球温暖化を促進する大きな要因となっている。
なお学者たちは、環境に最も有害なのが電子レンジのエネルギー効率の低さだと指摘している。
EUでは平均で電子レンジが3つの大型ガス発電所の年間生産量に相当する電力を消費しているという。
小型家電、地球温暖化の一因に 研究
【1月19日 AFP】電子レンジ、オーブン、電気ケトル、ヘアドライヤーなどの小型電化製品がさまざまな形で環境に害を与えている
との研究結果が18日、発表された。研究者らは、この影響を軽減するために消費者が貢献できる余地は決して小さくないとして行動を
呼びかけた。
環境科学の学術誌「サイエンス・オブ・ザ・トータル・エンバイロメント(Science of the Total Environment)」に掲載された
論文によると、欧州連合(EU)では電子レンジ1億3000万台で使用される電力によって毎年770万トンの二酸化炭素(CO2)が
大気中に排出されている。これは自動車約800万台の年間排出量に匹敵するという。
論文の主執筆者で、英マンチェスター大学(University of Manchester)のアレハンドロ・ガジェゴ・シュミット(Alejandro
Gallego-Schmid)氏は、発電に使われる燃料を考慮すると「電力消費が及ぼす影響が最も大きい」と指摘する。
電子レンジに加え、電気掃除機1億5000万台、電気ケトル1億4400万台、ヘアドライヤー1億台以上と欧州だけでも膨大な数の
家電製品が使われているため、そのCO2排出量は極めて重大になる。
化石燃料をエネルギーミックス(電源構成)から除けば、小型家電製品に起因する排出量が大幅に削減されるのは明らかだろう。
だが、これは一朝一夕では実現しない。現在、石炭と天然ガスはEUにおける発電の40%以上を占めている。世界の他地域では、
この数字が約70%にも及ぶとされる。
化石燃料からの移行が実現するまでの間、電力を大量消費する家電機器の環境への被害を抑えるための方法は他にもあると
ガジェゴ・シュミット氏は話す。
まず第一に、消費者が浪費を抑えることだ。同氏は、AFPの取材に「平均して、電気ケトルでは必要な量の1.5倍の湯が沸かされて
いる」ことを指摘し、「EUには、電気ケトルが約1億4400万台ある。環境への影響は非常に大きく、改善の余地もまた非常に大きい」
と説明した。電子レンジで食品を調理したり温めたりする際にも大半の人々は必要な時間より長く機器を作動させているという。
■電力消費以外の要因も
日々安価になり、より多くの機能を備えたモデルや、新しいキッチンの配色に合う製品など、次々と買い替えたくなる気持ちも
抑えるべきだろう。
ガジェゴ・シュミット氏によると、英国でリサイクルに出された電子レンジ100台を調べた別の研究チームの報告によると、
半数がまだ正常に機能し、残りの多くも容易に修理できるものばかりだったことが分かったという。欧州では2005年、廃棄処分された
電子レンジから出たごみが約18万4000トンに上った。
小型家電製品のライフサイクルを考慮すると、全CO2排出量における電気使用の割合は約67%にすぎない。これ以外では、
製造に関連する排出量が約25%で、部品の原料に関連するのが約6%、リサイクル関連が約1%となっている。このように、
トースター、電子レンジ、ドライヤーなどの機器によって生じるCO2汚染は、電源プラグを壁のコンセントに差し込むことによって
のみ発生するわけだけではないと、論文は指摘する。
こうしたデータから見えてくるのは、「製造、輸送、耐用年数を経た廃棄物の管理などの各分野において改善の余地があるという
ことだ」とガジェゴ・シュミット氏は話した。