韓国、文政権の「経済失策」に悲鳴 日本の民主党政権の二の舞いか
韓国経済が不調だ。文在寅(ムン・ジェイン)政権の「失策」がやり玉にあがり、現状は日本の民主党
政権の失敗を彷彿(ほうふつ)とさせる。
「来年も最低賃金引き上げで中小企業はさらに厳しくなる」。韓国の中小企業経営者の悲鳴を
韓国経済新聞は伝えている。文政権による最低賃金の引き上げ政策で人件費が膨らみ、経営体力の弱い
中小企業が人員削減を迫られているのだ。
今月発表された韓国の今年7~9月期の実質国内総生産(GDP)改定値は前期比の年率換算で
2・27%増と速報値(2・31%増)から下方修正された。前期(2・40%増)に比べると経済成長の
鈍化はより明白だ。
中国経済の減速や米中貿易摩擦の激化などで外需が弱含み、企業は設備投資を手控える動きを強めている。
加えて「文政権による経済政策の『失策』などを理由に雇用・所得環境の頭打ちが続き、家計消費も
弱含むなど、景気は急速に力強さを失っている」。第一生命経済研究所の西浜徹主席エコノミストは
こう分析する。
聯合ニュースによると、韓国政府は今年の経済成長率を2・6~2・7%と予測。7月に発表した
見通しから0・2~0・3ポイント引き下げた。来年も今年と同程度の成長が続くとみており、
昨年に3%台へ回復した成長率は再び2年連続で2%台に落ち込むことになる。
不振の要因として文政権の経済政策を挙げる声は多い。昨年5月に発足した文政権は「所得主導の成長」
を掲げ、分配重視の政策を推進してきた。公共部門を中心に雇用を創出し、最低賃金の引き上げや
労働時間の短縮などを進め、生活費の負担を軽減して可処分所得を増やすことにより成長につなげる
戦略だ。だが、現状はむしろ「副作用が顕在化した」(日本総研の向山英彦上席主任研究員)。
最低賃金は今年、前年比16・4%増となり、来年も10・9%増と2年連続の大幅な引き上げが
予定されるが、人件費の負担増を嫌った中小企業や零細企業が従業員の削減に動くなど雇用環境の悪化を
招いている。
文大統領の支持率も下落し続けている。韓国の世論調査会社「リアルメーター」が発表した11月
最終週の調査結果(2513人対象)によると、文氏の支持率は48・4%で前週よりも3・6ポイント低く、9週連続で下落。大統領就任以来、最低となった。「不支持」も就任後、最高の46・6%で、
支持と不支持の割合が肉薄してきた。
不支持の理由には「雇用や投資の悪化の継続」「経済回復に対する期待感の急落」などが挙げられている。
低迷する景気に国民の不満が高まっていることを示した形だ。
韓国の現状は、かつての日本の民主党政権を想起させる。
民主党政権は、子ども手当や高校授業料の無償化といった家計支援で、内需主導の成長を実現する
青写真を描いたが、経済は低空飛行を続けた。安倍晋三首相は民主党政権の経済政策について
「分配ばかりを重視し、経済全体のパイをどう大きくしていくかの発想が十分でなかった」と切り捨てている。
文政権は支持率が低下傾向にある中、経済副首相兼企画財政相と大統領府の政策室長という経済政策の
司令塔2人を更迭した。だが、分配色の強い政策路線は堅持する構えで、このままでは日本の
民主党政権の二の舞いとなる懸念は拭えない。
こうした文政権の姿勢について、日本総研の向山氏はこう批判している。
「問題の根源に、文政権の『原理主義的な』思考があり、このことが状況判断にも影響を及ぼしている」
https://special.sankei.com/a/international/article/20181231/0001.html