ジブラルタル沖タンカー拿捕、イラン側が「相応措置」を警告
【7月5日 AFP】イベリア半島(Iberian Peninsula)南端の英領ジブラルタル(Gibraltar)沖で
イランの石油タンカー1隻が拿捕(だほ)された問題で、イラン政府は5日、タンカーを直ちに
解放するよう英国に要求した。イラン側は、タンカーの拿捕は米国の指示を受けての行為だったと
非難している。
ジブラルタルの警察と税関当局は4日早朝、英海兵隊の支援を受けて全長330メートルのタンカー
「グレース1(Grace 1)」を拿捕。当局は、タンカーが欧州連合(EU)の制裁に違反してシリアへ
原油を輸送していた疑いがあるとみている。
タンカーが拿捕されたのは、ジブラルタル南方沖4キロの地点。ジブラルタル側は同域を英国の
領海とみなしているが、ジブラルタルの領有権を主張するスペインは、同域はスペインの領海だと
している。一方でイランは、同船が航行を阻止されたのは、公海上だったと訴えている。
イラン外務省によると、ロブ・マケア(Rob Macaire)駐イラン英大使を呼び、同省高官が
「英国の今回の動きは容認できない」と延べて正式に抗議したという。
さらに「これまでに入ってきている情報に基づけば、タンカーの拿捕は米国の求めに応じたものであり、
同船を直ちに解放するよう要求した」としている。
イランが今月1日、2015年の主要国との核合意で定められた濃縮ウランの貯蔵量の上限を
超過したと発表したことを受けて、EUは対応の検討を余儀なくされ、双方の関係は不安定になっていた。
イランの主要な諮問・仲裁機関である公益判別会議のモフセン・レザイ(Mohsen Rezai)議長は、
英国が同船を解放しない場合、イランは「それに相応する措置として、英国の石油タンカーを拿捕
せざるを得ない」と警告した。
イラン石油タンカー「グレース1」の拿捕に関わった英海兵隊が撮影した画像。英国防相提供(2019年7月4日撮影)
英領ジブラルタル沖で、ジブラルタル警察や英海兵隊に拿捕されたパナマ船籍のイラン石油タンカー「グレース1」を捉えた写真。英国防相提供(2019年7月4日撮影)
イラン石油タンカー「グレース1」の拿捕に関わった英海兵隊が撮影した画像。英国防相提供(2019年7月4日撮影)
イベリア半島南端の英領ジブラルタル沖で拿捕(だほ)されたイランの石油タンカー(右)と、付近を巡回する英海軍の船(2019年7月4日撮影)
タンカー拿捕 米大統領補佐官「素晴らしいニュース」
2019.7.5 09:57 https://www.sankei.com/world/news/190705/wor1907050005-n1.html
【ワシントン】ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は4日、英領ジブラルタルの
自治政府が欧州連合(EU)の制裁に反してシリアに原油を輸送しようとした疑いがある
大型タンカーを拿捕(だほ)したことについて、「素晴らしいニュースだ」とツイッターで歓迎した。
タンカーはイラン産原油を運んでいたとみられ、ボルトン氏は「米国と同盟国は、不法な取引で
イランとシリアが利益を上げられないよう引き続き取り組む」とした。