グーグル、トランプ氏当選嘆く幹部の動画流出。保守系サイト
2016年の米大統領選直後、ドナルド・トランプ氏の当選を嘆く米グーグル幹部の動画が流出した。
シリコンバレーの米ハイテク大手に対しては、保守派の意見を閉め出しているとの批判も出ており、
今回の動画はこうした状況で、グーグル幹部が社内で政治問題についてどのような発言を行っているのか、
その一端が垣間見えた格好だ。
保守系ウェブサイト、ブライトバードが掲載した動画によると、グーグル共同創業者で親会社アルファベットの社長、
セルゲイ・ブリン氏は2016年11月、全社員が出席する対話集会の冒頭、選挙結果を受けて「多くの人が気分を害し、
悲しんでいる」と発言。「移民・難民出身である私自身も、多くの皆さんと同様、非常に不快だと感じている」と述べた。
グーグルは目下、個人情報のプライバシー問題、外国勢力による選挙への介入、政治的なバイアスなど多くの
問題で厳しいを追及を受けている。
トランプ大統領はグーグルのネット検索結果は「不正操作されている」と不満を表明 。
グーグル側は検索結果に思想的な観点は考慮されていないと反論している。
先月には、選挙介入を巡る米議会の公聴会にアルファベットのラリー・ページ最高経営責任者(CEO)が出席を
拒否したことでも批判を浴びた。公聴会には、 フェイスブック からシェリル・サンドバーグ最高執行責任者(COO)、
ツイッターからはジャック・ドーシーCEOがそれぞれ出席。証言者の机上には「ページ氏」と書かれた名札が
置かれたまま、グーグルの空席が目立った。
グーグルは今回の動画について、会議では 「世論を二分する長い選挙期間を終えて、従業員、幹部ともに
個人的な 意見を明らかにした。定期開催される全社員によるこうした会議では、グーグル社員はみな、
自由に意見を述べることができる」と説明。会議での発言内容に「当社が事業を構築していく上で、政治的な
偏見が影響を与えたことを示すものは何もない」とした。
グーグルの人事担当副社長アイリーン・ノートン氏は2016年の会議で、「グーグルが極めてリベラルで
民主党寄りであるのは極めて明らか」と述べている。ノートン氏はトランプ氏の大統領当選に不満を表明した
複数の幹部の1人だが、一方で民主主義のプロセスを尊重するよう呼びかけた。
また会議では、複数の社員から、グーグルの技術が陰謀説や偽ニュースなどの拡散に寄与したとの批判が上がった。
ジェフ・セッションズ司法長官は、グーグルなどハイテク大手が不当に競争を阻害し、意図的に保守派の声を
抑えようとしているとの「高まる懸念」に対応するため、月内に州の司法長官を多数呼んで協議する考えを
明らかにしている。
トランプ大統領の当選以降、多くのハイテク関係者はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に対し、
ハイテク大手がどのようにリソースを配分するのかを決める上で、自分たちはその権利と責任があるとの
考えを示している。
あるグーグルのエンジニアは「一定の当事者意識がある」と明かす。彼は、グーグルが国防総省から請け負っていた
「プロジェクト・メイブン」に反対した人物だ。グーグルは6月、軍事目的でのドローン関連技術利用に対する
社員からの抗議を受け、国防総省との契約を更新しなかった経緯がある。
そのエンジニアは、自身や同僚がグーグルを成功させ、「儲かる」会社にしたことで、自らの立場を確立したと
思うと話す。
私生活と仕事の境界がなくなる中、社員が職場で政治問題を話すようになる一方で、それが企業にとっては
ジレンマを生む。こう指摘するのは、コンサルタント会社アクセンチュアの最高技術・イノベーション責任者の
ポール・ドハーティー氏だ。「社員の意見に対応することは称賛に値するが、社員が会社の方向性を決めることにも
なり得る」
米国メディアの政治的傾向