任天堂に巣ごもりの追い風、「あつ森」快進撃
2020 年 5 月 8 日 07:57 JST WSJ By Jacky Wong
任天堂の「あつまれ どうぶつの森」は発売直後から人気の巣ごもりアイテムになった
――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」
***
任天堂に巣ごもり消費の追い風が吹いている。幾つか課題もあるものの、勢いは
続きそうだ。
同社は予想を上回る2020年3月期決算を発表した。新型コロナウイルスの感染拡大を
受けたロックダウン(都市封鎖)がゲーム事業を押し上げた。3月下旬に発売された
新作ソフト「あつまれ どうぶつの森」は瞬く間にヒットし、主要市場の販売本数は
発売後6週間で1340万本を達成。家庭用ゲーム機「スイッチ」向けのソフトとして
過去最高の滑り出しとなった。
プレーヤーは自分だけののどかな南国の島を作って愛らしいタヌキと交流し、
カブ(株)を交換できる。ソフトの人気はスイッチ本体の販売もけん引した。
スイッチ本体の販売台数は1-3月期に前年同期比32%増の327万台となった。
2月から3月にかけての中国工場閉鎖による部品不足で生産が遅れたが、その問題は
徐々に解消に向かっている。それでも、需要の盛り上がりに供給が追いつかず、
依然として本体を入手するのは至難の業だ。
ロックダウンのさなかにあって、ゲーマーはソフトを物理的なパッケージで購入する
のではなく、ダウンロードしている。任天堂のソフト売上高のうち、1-3月期はデジタル
販売が半分近くを占め、利益率が向上した。
「あつ森」はなお人気の巣ごもりアイテムにとどまり、任天堂は4-6月期も好調と
なる公算が大きい。ただ、同社は慎重な業績見通しを示し、今年度(21年3月期)の
売上高は前年度比で8%減少すると予想している。業績予想に慎重なのはいつもの
ことだが、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)が長引けば、多くの開発者が
在宅勤務を余儀なくされ、新作ゲームの発売が遅れる可能性もある。
ただ、楽観的な見方を維持する理由も残っている。スイッチ本体を新たに手にした
人々は、ロックダウンの解除後もゲームを買い続けるかもしれない。ユーザー基盤が
拡大すれば、さらに多くの外部開発業者が引き寄せられ、スイッチ向けにさらなる
ゲームが制作される可能性がある。一例として、米ゲームソフト大手エレクトロニック・
アーツ(EA)は今週、スイッチ向けゲームの発売を増やすと述べた。
任天堂はまだまだハイスコアを狙えるかもしれない。