元イラク派遣航空部隊指揮官 織田邦男氏に聞く 「政争の具にせず、問題の本質直視を」
2018.4.5 20:58 産経新聞
--日報には何が書かれているのか
「航空自衛隊航空支援集団司令官としてイラク派遣航空部隊指揮官を2年8カ月務め、日報を受ける立場にあった。
日報には派遣部隊の日々の任務に関するすべてが書かれていた。天候や情勢、隊員の状況、任務の成果、他国から得た機微な
情報を含めた今後の任務に影響のある事項などだ」
--日報の目的は
「2つある。指揮官の指揮を適切にし、任務の教訓もまとめるためだ。指揮官は日報を読み現地の状況を把握し運用構想を練る。
運用構想は司令部組織を挙げて検討するため、幕僚は日報データを共有する。教訓は全活動を終了した後に取りまとめ、
次の国際平和協力活動に生かす」
--将来にわたり日報の価値は高いと
「そうだ。日報は軍事用語でいえば戦闘速報で、速報がまとめられ戦闘詳報になり戦史につながる。日報は歴史的な1次資料といえ、
陸上自衛隊研究本部(現教育訓練研究本部)など教訓をまとめる部署に日報は保管されるべきだ」
--南スーダン国連平和維持活動(PKO)とイラク派遣の日報問題をどう分析しているか
「イラクについてはまだ判断できないが、いったんは『破棄され不存在』とされた後に日報データが見つかるという経緯を
たどった南スーダンは日報に『戦闘』という文言があったからではないかと推察している。自衛隊のPKO参加は紛争当事者間での
停戦合意が前提だが、南スーダンでは政府軍と反政府勢力の衝突が相次いでいた。陸自は国会で問題にならないよう忖度して
南スーダンの日報を破棄された扱いにしようとしたのではないか」
--情報公開のあり方と日報問題の本質は
「陸自に公文書管理への認識の甘さがあったことは否めないが、軍事作戦の戦闘速報にあたる日報を他省庁と同じ行政文書と
位置づけ、情報公開の対象にしていることが正しいのか疑問だ。恐らく日本以外にはなく、欧米では永久保存とした上で
30年後や50年後に完全開示しているという」
「日本の情報公開法ではその都度、開示か不開示かを判断し、秘密保全上の問題があれば黒く塗りつぶして部分開示するのが
原則だが、情報開示請求が相次げば選別は膨大になり、防衛省・自衛隊の機能は麻痺しかねない。ましてや日報を書く隊員が
戦闘という言葉を使わないよう忖度するようになれば、指揮官は状況を正確に把握できなくなり指揮を誤る。
日報問題を政争の具にするのではなく、憲法の制約に伴うPKO参加の前提を見直すことまで含め問題の本質を直視すべきだ」
自衛隊日報問題 門田隆将氏「日報は機密性が高い。これを要求している人達って、どの国の利益のためにやっているのかと言うこと。
明らかに特定の国が得するように野党が動いている。」