クルーズ船の乗客数万人、下船許されず。豪州沖に14隻
2020年3月27日 16時31分 朝日新聞
シドニーに19日、到着し、乗客が下船した大型クルーズ船ルビー・プリンセス号=ロイター。27日までに乗客の160人以上が新型コロナウイルスに感染していたことがわかった
クルーズ船観光が好きな人が多いオーストラリアで、シドニーなどへ戻ってきた
10隻以上の乗客の下船が許されない事態になっている。船内には計数万人がいると
みられる。国内の感染者が3千人を超える状況で感染をさらに広げる心配からだ。
豪紙オーストラリアンなどが27日、伝えた。
同紙によると、26日夜の時点でシドニー沖には、地元ニューサウスウェールズ州が
入港を認めない11隻がいる。いずれも乗客2千~3千人規模の大型船だ。州は乗客の下船を
認めるのは「入港の新たな方法が決まった後」と説明している。
この措置は、シドニーに19日、到着したクルーズ船「ルビー・プリンセス号」の
失敗例の後に始まった。同号では、到着時にインフルエンザのような症状があった
乗客と乗員計13人が新型ウイルスの検査を受けたが、結果が出る前に州当局がほかの
乗客2700人の下船を許してしまった。翌日に4人の陽性結果が判明。その後、下船済みの
乗客からも州内で感染が続々と発覚し、27日には162人に増えた。
この様子を見た西オーストラリア州政府も今週、パース近郊のフリーマントルに着いた
3隻の下船を認めない事態になった。結局、同州は27日、乗客のうち州民約200人は
約20キロ沖にあるロットネスト島で隔離し、ドイツなど外国人客はパースから空路、
帰国させる方針を示した。
豪州人の間ではクルーズ船観光が人気で、業界団体によると、2018年には135万人が
乗った。2月に横浜に停泊していたダイヤモンド・プリンセス号にも、200人以上の
豪州人が乗っていて、豪政府のチャーター機で帰国した164人のうち10人が豪州で感染が
確認された。(シドニー)