トランプ氏「カナダ首相には裏表ある」 NATO首脳に笑い種にされ
マイクがオンだと知らず……歴史に残る政治家のうっかり発言
2019/12/5 BBC
「常にマイクが入っていると思え」。これが政治における黄金律だ。
冷戦真っただ中の1984年、ロナルド・レーガン米大統領のジョークがソヴィエト連邦との関係を
悪化させた。
毎週行っていたラジオ演説のサウンドチェック中、レーガン大統領はスタッフ相手にこんな冗談を言った。
「アメリカ国民の皆さん、私はきょう、ロシアを永遠に非合法化する法案に署名しました。5分後に
爆撃を開始します」
このジョークは放送されなかったものの、録音されており、後日公開されてしまった。
その結果、ソ連ではレーガン氏に対する抗議が巻き起こり、ソ連軍は一時、極東に警戒態勢を敷く
事態となった。
2. ジャック・シラク仏大統領:「料理が下手な国の人は信用できない」(2005年)
フランスのジャック・シラク大統領は、ロシアを訪問中にこの発言をしたとされている。
仏紙リベラシオンによると、シラク氏はロシアの飛び地カリーニングラード市の750周年記念式典で、
ロシアとドイツの首脳と話していた。
マイクが切れていると思ったシラク氏は、イギリスのことを指して、「あんなに料理が下手な国の
人は信用できない。あの国はフィンランドの次に食事がまずい」と言ったとされる。
「イギリスが欧州の農業にもたらしたものといえば狂牛病だけだ」
公に放送されることはなかったものの、シラク氏の広報チームは一度もこの発言を否定しなかった。
当時イギリスとフランスの関係は、農業の補助金や、フランスのイラク戦争不関与などで冷え切っていた。
3. ジョージ・W・ブッシュ米大統領:「おい、ブレア!」(2006年)
サンクトペテルブルクで行われた主要8カ国首脳会議(G8サミット)で、ジョージ・W・ブッシュ
米大統領はトニー・ブレア英首相とざっくばらんな会話をした。
「Yo, Blair!(おい、ブレア!)」として知られるこの会話はまず、ブッシュ氏がブレア氏に
「おい、ブレア! 元気か?」と話しかけ、ジャケットの贈り物に感謝した後、レバノンの武装勢力
ヒズボラについて侮蔑的な発言をした。
シリアがイスラエルとの摩擦の中でヒズボラを支援していることに触れたブッシュ氏は、
「ヒズボラにこれ(ののしりの言葉)を止めさせるために、国連にシリアをどうにかさせるべきだ」
と話した。
「コフィ(・アナン国連事務総長)にアサド(シリア大統領)に電話をかけさせて、ことを動かすべきだ」
ブッシュ氏の「おい、ブレア」という呼びかけは、ブッシュ、ブレア両氏のライバルによって
揶揄された。一方で、ブッシュ氏は実は「Yeah, Blair(そうだ、ブレア)」と言っていたのでは
ないかと指摘するジャーナリストもいる。
いずれにせよ、こっそりとマイクが拾っていたこの会話は、両氏の親密な、しかしたびたび物議を
かもした関係をよく表している。
4. ゴードン・ブラウン英首相:「偏屈な女」(2010年)
労働党のゴードン・ブラウン首相はこの日、イングランド北部のロッチデールで市民と対話していた
ところ、ひとりの女性から移民の多さについて怒りをぶつけられた。
やり取りの後、ブラウン氏は車に戻ったものの、放送局スカイニュースのマイクを服に付けたままだった。
マイクが入っていることに気づかないまま、ブラウン氏は側近に「(女性との会話は)ひどかった。
あの女としゃべらせないでほしかった」と語った。
女性に何を言われたのかと聞かれると、「何もかもだ! 前は労働党支持者だったと言う、ただの
偏屈な女だ。まったく馬鹿げている」と答えた。
ブラウン氏は後に、この女性(ジリアン・ダッフィーさん)を訪問して謝罪したほか、
BBCのラジオ番組の取材でも謝罪を繰り返した。
5. ニコラス・サルコジ仏大統領:「もう耐えられない」(2011年)
これは、2011年にフランスで行われた主要20カ国・地域首脳会議(G20 サミット)での、
ニコラス・サルコジ仏大統領とバラク・オバマ米大統領の会話だ。
共同記者会見の直前、記者団に同時通訳の機器が手渡されたが、サルコジ、オバマ両氏が出てくる
まではヘッドフォンを付けないよう指示された。
何人かの記者はこれを無視して、待機中の両氏の会話を聞いてしまった。
それによると、サルコジ氏はイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相について「もう耐えられない。
彼は嘘つきだ」と話した。
これに対しオバマ氏は、「うんざりしてるでしょうが、私は彼と毎日やりとりをしなければならない」
と答えている。
このやりとりは数日間、伏せられていたが、フランスのニュースサイト「Arret sur Images」の
ダン・イスラエル氏によって公になった。
イスラエルは当時、フランスともアメリカとも関係が悪化していた。