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オーストラリアが米英から原子力潜水艦導入へ。 AUKUSで中国の海洋進出を封じ込め / 潜水艦契約破棄は「裏切り」 仏が豪米を非難

2021-09-17 12:11:00 | 防衛・安全保障・インテリジェンス

オーストラリアが米英から原子力潜水艦導入へ AUKUSで中国の海洋進出を封じ込め

2021年09月16日(木)10時59分   Newsweek

https://www.newsweekjapan.jp/kimura/2021/09/aukus_1.php

オーストラリアも原子力潜水艦を保有することに shaunl-iStock.

 

[ロンドン発]アメリカ、イギリス、オーストラリアが15日、新たな安全保障パートナーシップ「AUKUS

オーカス」を締結した。平和やルールに基づく国際秩序を支援するのが狙いで、手始めに3カ国が協力して

オーストラリア海軍の原子力潜水艦導入を進める。志を同じくするアングロサクソン海洋民主主義国家の

同盟関係を強化し、中国の横暴を抑えるためインド太平洋地域での連携を強化する。

 

同じく海洋民主主義国家の安倍晋三前首相が提唱した「自由で開かれたインド太平洋」構想に基づき、

日米豪印4カ国(クアッド)の関係も強化されてきた。ジョー・バイデン米大統領は今月24日、米ワシントン

のホワイトハウスで対面形式による初のクアッド首脳会談を開く。AUKUSとクアッドをシンクロさせれば、

中国に対する強力な抑止力となる。インド太平洋で共通した利害を持つ有志の海洋民主主義国家は対中

スクラムを組む必要がある。

 

バイデン大統領とボリス・ジョンソン英首相、オーストラリアのスコット・モリソン首相は「われわれの

永続的な理想とルールに基づく国際秩序への共通のコミットメントとして、インド太平洋地域における

外交、安全保障、国防協力を強化することを決意する」と宣言した。 情報と技術を共有するため、安全

保障・国防関連の科学技術、産業基盤、サプライチェーンの統合を深める。

 

ファイブアイズの信頼が裏打ち

オーストラリアの原子力潜水艦開発は相互運用性、共通性、相互利益に重点を置いた3国間の共同作業だ。

最初の18カ月間で目標を絞り込む。オーストラリアは核物質と核技術の不拡散、安全、セキュリティーを

確保するため、核物質が核兵器に転用されないことを担保する保障措置、透明性、検証、説明責任に関する

最高水準の措置を順守する。オーストラリアは国際原子力機関(IAEA)を含め非核兵器国としてすべての

義務を果たす。

 

AUKUSはアングロサクソン5カ国の電子スパイ同盟「ファイブアイズ」を通じて広範な情報を共有してきた

3カ国間の信頼と協力関係に裏打ちされている。

 

オーストラリアには原子力産業がないため原子力潜水艦の導入には政治的・技術的な課題があり、2016年、

現在のコリンズ級潜水艦6隻に代わる次世代のアタック級潜水艦の設計・建造をフランス企業ネイバル・

グループ(旧DCNS)に発注した。海上自衛隊のそうりゅう型が本命とされたが、土壇場で逆転された。

当時のマルコム・ターンブル豪首相が、日米豪の安全保障トライアングルが強化されるのを警戒する

中国に配慮したためともささやかれた。

 

今回、フランスの設計で最大12隻のディーゼル潜水艦を建造する900億ドル(約9兆8400億円)の計画は

撤回され、核抑止力を持つ米英の協力でオーストラリアはこれまでタブーとされてきた原子力潜水艦の

導入に踏み切る。米海兵隊の最新鋭ステルス戦闘機F35Bを載せた英最新鋭空母クイーン・エリザベスの

空母打撃群も南シナ海や日本など極東に展開しており、中国が軍事的にインド太平洋で受けるプレッシャー

はかなりなものになる。

 

ひと昔前まで資源国家オーストラリアと「世界の工場」になった中国の関係は蜜月だった。

しかし、中国のチベット自治区や新疆ウイグル自治区での少数民族弾圧、南シナ海や東シナ海への強引な

海洋進出、経済侵略、スパイ行為に対して、オーストラリア国内でも中国への警戒論が強まった。

バラク・オバマ米大統領(当時)が「アジア回帰政策」に転換してからはオーストラリアの対中外交は

アメリカと歩調を合わせるようになる。

 

オーストラリア産ワインや食肉、大麦、綿花を巡る貿易摩擦、次世代通信規格5G参入や新型コロナウイルス

の起源問題を巡ってオーストラリアは中国と徹底的に対立している。オーストラリアには親中の政治家が

多かったが、現在のモリソン首相は対中強硬派でバイデン大統領との足並みはそろう。ジョンソン首相は

まだ中国に色目を使っているが、欧州連合(EU)離脱後、アメリカやオーストラリアとの同盟強化は不可避

の選択肢だった。

 

短命政権に終わった日本は

オーストラリア海軍はイギリスの26型フリゲートを最大9隻調達する。イギリスは60年以上にわたり、

世界トップクラスの原子力潜水艦を建造・運用してきた。英軍需産業のロールスロイスやBAEシステムズ

が原子力潜水艦の専門知識や経験をオーストラリアに提供する。オーストラリアが核兵器を保有すること

は今のところ考えられないが、原子力潜水艦を保有すればその選択肢を残すことにもなる。

 

インド太平洋は領有権争い、北朝鮮の核・ミサイル問題、気候変動、テロなど地政学上の火種を抱えて

いる。サイバー空間を含む新たな安全保障上の課題の最前線でもある。ジョンソン首相は「アメリカと

イギリス、オーストラリアは自然な同盟国で、地理的に離れていても関心事や価値観は共有されている。

AUKUSは3カ国の距離をこれまで以上に縮め、インド太平洋におけるわれわれの利益を守る」と力を込めた。

 

一方、日本ではコロナ対策が後手、後手に回る中、東京五輪・パラリンピックを強行する形となった

菅義偉首相が1年も経たないうちに退陣を表明。今月29日に自民党総裁選の投票が行われるが、中国の圧力

には決して屈しない指導者を選んでほしい。左派メディアの攻撃に翻弄されて短命政権が繰り返され、

日米同盟が揺らげば、喜ぶのは中国の習近平国家主席とロシアのウラジーミル・プーチン大統領の権威

主義国家連合だ。

 

AUKUS(オーカス)に日本も入りたいところですが、原子力潜水艦の保有がないため入れませんでした。

Quad(クワッド)においても原子力潜水艦は必ず配備しなければならない。米、インド保有、オースト

ラリアは間もなく保有国となる。問題は日本である。

国産を開発していたら間にあいません。米国から借りる、米国から古い原潜を買うという方法(高橋洋一

案)で一刻も早くこの問題を解決しなければクワッドにおける安全保障が成立しません。

 

潜水艦契約破棄は「裏切り」 仏が豪米を非難

2021年9月17日 3:03    AFP  発信地:パリ/フランス

https://www.afpbb.com/articles/-/3366676?cx_part=top_topstory&cx_position=1


オーストラリア・シドニーで、豪海軍の潜水艦「ウォーラー」を視察するマルコム・ターンブル首相(当時、右から2人目)とフランスのエマニュエル・マクロン大統領(左から2人目、2018年5月2日撮影、資料写真)

 

【9月17日 AFP】オーストラリアが、フランスと交わしていた潜水艦の大型契約を破棄し、米国製の原子力

潜水艦を配備すると決めたことを受け、フランスは16日、豪政府の「裏切り」を非難し、米国はドナルド・

トランプ(Donald Trump)前政権と同様の行動を取ったと批判した。

 

 フランスのジャンイブ・ルドリアン(Jean-Yves Le Drian)外相は公共ラジオ局フランス・アンフォ

(France Info)に対し、「これはまさに裏切り行為だ。オーストラリアと築いてきた信頼関係が裏切られ

た」と主張。

 

「私はきょう、大いに怒り、恨んでいる。これは同盟国同士がすることではない」と述べ、オーストラリア

はフランスとの契約をどう破棄するのか説明する必要があると指摘した。

 

 米国については、「この一方的で突然かつ予測不可能な決定は、トランプ氏の行動と非常に似ている」

と断じ、今回の事態は「受け入れられない」もので、「理解不能」だとした。

 

 米ホワイトハウス(White House)の高官はAFPに対し、米国はこの件についてフランスと事前協議して

いたと説明。だが仏大使館の報道官はこれを否定し、事前協議はなかったと主張した。

 

 フランスの政府系造船企業ナバル・グループ(Naval Group)は、開発中のバラクーダ(Barracuda)級

原子力潜水艦を基にした通常動力型潜水艦12隻をオーストラリア向けに建造する企業として選ばれていた。

受注額は2016年の契約発表時で約500億豪ドル(約4兆円)だった。

 

 しかし、ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領と豪英両国の首相は15日、新たな安全保障協力の

枠組み「オーカス(AUKUS)」を発表し、オーストラリアへの原潜配備を表明。米国はごく一部の同盟国に

しか原潜を提供しておらず、オーストラリアはその特権を得た形となった。

 米英豪の新たな安保協力は、インド太平洋地域で影響力を拡大する中国への懸念を反映している。

同地域ではフランスも、海外領土のニューカレドニア(New Caledonia)や仏領ポリネシア(French

Polynesia)を含む自国の利権保護に努めている。(c)AFP

 

 


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