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冷麺騒動「冷麺食ってる場合か」に沈黙…韓国が北朝鮮に「低姿勢」な理由 /【朝鮮日報社説】半強制的に訪朝させられた揚げ句、北の高官に

2018-11-01 20:50:41 | 朝鮮半島有事・非核・南北朝鮮

10月29日に開かれた韓国国会・外交統一委員会の国政監査で、9月の南北首脳会談に際して起きた、

ある出来事が明らかにされた。


文在寅大統領の特別随行員として訪朝した韓国企業のトップらが、平壌の有名レストラン・玉流館で

冷麺を食べていたところ、北朝鮮の対韓国窓口機関・祖国平和統一委員会の李善権(リ・ソングォン)

委員長がその場に現れ、次のように言ったという。


「冷麺がのどを通るのか」

李氏は、平壌名物である冷麺の「のどごし」についてたずねたわけではない。南北の経済協力がなかなか

進まないのに、どうして悠長に冷麺なんか食べていられるのか、と皮肉を言ったのだ。

日本風に言えば「冷麺なんか食ってる場合か」といった感じだろうか。


そのとき李氏と同じテーブルに座っていたのは、SKグループの崔泰源(チェ・テウォン)会長、

サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長、LGグループの具光謨(ク・グァンモ)会長ら、

まさに世界的な大企業グループの総帥たちである。


彼らに対しこんな「上から目線」でものを言えるのは、北朝鮮高官ぐらいしかいないだろう。

ちなみに、国政監査でのやり取りを報じた韓国メディアの報道を見た限りでは、韓国側が怒りを表したり、

反論したりしたわけではなかったようだ。

この問題と関連して韓国紙・朝鮮日報は「北朝鮮は常に高圧的だが、韓国側はいつも低姿勢を続けている」

とする統一省OBのコメントを紹介している。


それもまあ、ある程度は仕方のないことと言えるかもしれない。北朝鮮の幹部らは、いつ金正恩党委員長に

よって粛清されるかわからない環境の中で仕事をしている。


金正恩氏も部下たちがそのことを忘れないように、処刑したスッポン養殖工場支配人の動画をテレビで

放映したり、人体が「ミンチ」にされてしまう残酷な処刑を見学させたりしている。


また、恐ろしいのは指導者だけではない。政敵のワナにかかれば、一族郎党が抹殺される危険もある。


そんな環境の中でのし上がってきた北朝鮮の高官らは、われわれ自由社会の「一般人」とは一味も二味も

違っていることだろう。特に相手側の首都という「アウェー」においてトラブルになれば、何が起きるか

わからない。


では、金正恩氏は近いうちにソウルを訪問すると宣言しているわけだが、彼らの一行が「アウェー」

において「低姿勢」に転じることはあるのか。恐らくそれはないだろう。


韓国側が低姿勢なのは、猛獣のような北朝鮮をうまく手なずけるためでもあるのだろうが、

それは北朝鮮側もお見通しだろう。彼らは知っていて、自分たちの要求を強引に押し付けようとするのだ。

そしてよほど注意しないと、彼らの要求を押し込まれてしまう。これもまた、遂に「核」を手にした

立場の強さのなせる業だろうか。


そんな北朝鮮も、「制裁緩和は非核化の後」との原則論を曲げない米国にはしびれを切らしている。

やはり「物理的暴力」を背景にした国際政治の最前線は、一筋縄ではいかないのだろう。


玉流館の平壌冷麺。黒っぽい麺が特徴らしい。(時事通信)

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「冷麺発言」の北朝鮮高官「プロジェクトを持ってきてくれれば…」

 北朝鮮の祖国平和統一委員会の李善権(リ・ソングォン)委員長は、今年9月に平壌で行われた

南北首脳会談当時に訪朝した企業関係者に対し、昼食会で「冷麺が喉を通りますか」などと皮肉を

込めたが発言を行い、「何か提案やプロジェクトを持ってきてくれれば、うまくやることができるのに」

などと述べていたことが31日までに分かった。

冷麺の名店、玉流館での昼食会に出席した関係者は、李委員長が「こっちはこれだけ(料理を)

準備したのに、手ぶらで来たのか」と発言したという話もあるが、自身は聞いていないとした。

それでも、「プロジェクトを持ってきてくれれば」という発言は耳にしたという。

 

 昼食会の出席者を含む複数の消息筋によると、李委員長の「冷麺発言」は、大企業A社のトップが

麺のおかわりを注文したときに飛び出したもので、まるで冷笑したような発言だったという。

当時の出席者は「わざわざそんなことを言わなくてもよいのに、瞬間的に空気が凍りついた」と話した。


 食事の席に出席した人物は「北朝鮮側は何度も(現代財閥の創業者である)鄭周永(チョン・ジュヨン)

会長に言及し、『鄭会長は違った』と即座に投資決断を求めた」と振り返った。

また、別の財界関係者は「北朝鮮が韓国企業の事情を知らずにそう発言した面もあろうが、北朝鮮の

政治的な状況も関係していたのではないか。今でこそハト派(対話派)が勢いを得ているが、

もしタカ派(強硬派)が優勢となれば、柔軟な発言をしたことを責められる。それで強硬な発言を行った

側面がある」と指摘した。


 一方、韓国国家情報院の徐薫(ソ・フン)院長は31日、同院で行われた国会情報委員会の国政監査で

李委員長の「冷麺発言」について、「事実だとすれば、無礼で容認できない」と述べたという。

与野党関係者が明らかにした。

徐院長は李委員長の発言を知っているかとの質問に「把握しておらず、メディア報道を通じて知った」

と答えた。徐院長は「黙っているべきことではない。明らかに取り上げるべき問題だ」とも語った。

野党・自由韓国党の金聖泰(キム・ソンテ)院内代表が「必ず李委員長から謝罪を取り付けてもらいたい」

と迫ると、徐院長は「統一部(統一省)長官ら関係機関と協力したい」と答弁したという。

金院内代表は情報委レベルで李委員長の交代と韓国国民に対する謝罪を求める決議案を採択することを

李鶴宰(イ・ハクチェ)情報委員長に提案し、李委員長も同意したという。

丁世鉉(チョン・セヒョン)元統一部長官も同日、李委員長の発言について、「無礼を通り越し、

南北関係を進展させまいとする好ましくからざる行動だ。北朝鮮側が深く謝罪するなどの措置を取るべきだ」

と述べた。


 丁元長官がラジオ番組で、「おそらく李委員長は韓国の企業経営者に向けた言葉ではなく、

(北朝鮮の)上部に報告されることを期待していたのではないかと思う。自分は点数を稼いだかもしれないが、

南北関係においては、企業経営者の対北朝鮮投資を難しくした」と指摘した。

その上で、「鉄道・道路工事のための現場調査も米国が口実をつくって規制する中、企業経営者に

そんなことを言うのは、物事をやろうとしているのではなく、ぶち壊そうとけんかを売るものだ」と断じた。

丁元長官は「面と向かって『冷麺を食うな』と言われれば、(サムスン電子の)李在鎔(イ・ジェヨン)

副会長であれ、(SKの)崔泰源(チェ・テウォン)会長であれ投資する気になるだろうか」と疑問を呈した。

 

【社説】半強制的に訪朝させられた揚げ句、北の高官に侮辱された韓国財閥トップたち

 

 記事入力 : 2018/10/30 11:02  朝鮮日報

 

  北朝鮮・祖国平和統一委員会の李善権(リ・ソングォン)委員長が先月平壌で行われた南北首脳会談の際、

サムスングループなど韓国大手企業グループのトップらに対し「今冷麺がのどを通るか」

(編注:周囲の空気を読まずに食事する人をなじる言葉)などと面と向かって皮肉を言い、

侮辱していたことが後から分かった。

当時、韓国企業トップらは北朝鮮の有名レストラン・玉流館で冷麺を食べていたが、その席に

李氏が突然現れ、韓国と北朝鮮との経済協力が進まないことに不満を示すためこのような言葉を

口にしたという。韓国統一部(省に相当)の趙明均(チョ・ミョンギュン)長官は29日に行われた

国政監査で野党議員からの質問に「そのような話を聞いた」「北朝鮮は南北関係を速やかに進展させたい

という思いがある」などと答弁し、一連の事実関係を認めた。

 


 サムスン、現代自動車、SK、LGグループなど韓国大手財閥のトップらは大統領府の要請を受け

半強制的に平壌での首脳会談に同行した。北朝鮮側が企業経営者らの訪朝を強く要請したのが

その理由のようだが、言い換えれば北朝鮮は彼らの訪朝に関する実質的な決定権を持っていたことになる。

北朝鮮は核開発によって今も国際社会から二重、三重の制裁を受けている。このような状況で韓国の

世界的企業が北朝鮮への支援に乗り出すのは事実上の自殺行為に他ならない。

 


 北朝鮮は世界で最も貧しい、文字通り失敗した国の一つだ。喜劇のような封建王朝体制によって

政権を三代にわたり世襲し、住民を外部の世界と隔離することで絶対的な権力を維持している。

経済規模に至っては韓国の中小都市一つにも及ばない。このような国の政府関係者が世界的企業の

トップらを呼びつけ、自分たちに金が回ってこないと言っては「冷麺がのどを通るか」などと侮辱した。

無礼と卑しさが北朝鮮政権の本来の姿ではあるが、それにしてもこんな言葉まで黙って聞かなければ

ならないのか。なぜ韓国政府は自国で最高の企業経営者らに対し、北朝鮮のような貧しい国でこれほど

非常識な仕打ちを受けさせたのか、全くもって理解できない。

 


 北朝鮮がここまで威勢が良い理由は核を持ったという自信から来るのだろう。世界が注目する中で

米国大統領と首脳会談を行ったことも、また新たな自信を持つ理由になったはずだ。

だからこそ李善権氏は趙長官をぞんざいに扱ったのだ。今からこのような状況では、今後もし彼らの

戦略が成功し、インドやパキスタンのような事実上の核保有国になった場合、韓国に対してどのような

態度を取るか十分に想像がつく。北朝鮮がどのような国であっても、交渉は続けねばならないし、

北朝鮮に住む同胞も助けねばならない。しかし北朝鮮政権がどのような集団であるかは一瞬たりとも

忘れてはならない。


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